株ニュースの新解釈
【第86回】 2012年10月31日 保田 隆明

たった5商品しかない企業がどうして上場できたのか?

~北の達人コーポレーションにみる新興企業が評価される3つのポイント~

 先日、札幌証券取引所主催のセミナーに参加してきた。内容は主に二つで、一つは札幌証券取引所の新興市場であるアンビシャスの市場改革についての説明、そしてもう一つは今年アンビシャスに上場を果たした北の達人コーポレーション2930)の木下社長による講演である。

 まず、前者についてはアンビシャスの上場規則を改定し、定数的な上場基準を緩和する一方、北海道企業あるいは北海道にかかわりのある企業のみが上場を可能とすることを発表した。これまでの、単に上場しやすい新興市場という位置づけから、地元企業の成長を促進する市場に変身することになる。規則変更発表後、地元ビジネス界から数多くの前向きな反応があるということで、今後の動きに注目したい。

顧客の粘着度が高くなる商品のみを扱う

 その規則改定に先駆けて上場したのが、北の達人コーポレーションである。その名のとおり、北海道の産物を使用した商品を開発、販売する企業である。

 たとえば、便秘に悩む人のためのオリゴ糖商品や、肌荒れに悩む人のための砂糖(ビート糖)からできた保湿スキンケア商品など、どれも原料は北海道産である。今年8月末までの半期の売上高は6.6億円、通期の会社予想売上高は約14億円、営業利益率は約20%である。新興企業としては堂々の内容だ。

 そんな同社が扱う商品はたったの5商品のみである。便秘、肌トラブルなど、なかなか解消されない悩みに対応する商品ということで、一度効果を実感した人はリピーターになる。

 逆に言えば、そのような、顧客の粘着度が高くなる商品のみを扱うそうである。商品がコモディティ化するのを避けるために、業界紙の取材などは一切断っているとのことだ。

顧客の高い商品愛と模倣困難性がカギを握る

 正直なところ、たったの5商品でこの先大丈夫なのか、というのが第一印象であった。特定の商品やサービスが「当たる」ことで上場を果たす一本足打法の企業はこれまでにも少なからず存在する。

 しかし、それら企業は往々にして上場後しばらくすると当たった商品のブーム性が消滅することで、企業全体の成長性、収益性も鈍化し株価も低迷していく。5商品しかないのであれば、そのような道をたどらないとも限らない。

 ただ、この会社が面白いのは、それまでの社歴においてブーム性の大変さを身をもって体験していることである。

 かつて、足の折れたカニなどわけあり商材を扱うネットショップを運営していた同社は、一時メディアでも大いに取り上げられたそうだ。しかし、真似する業者がたくさん登場したということで、模倣が容易なビジネスは息が長くないことを痛感したそうである。それゆえに今の5商品は模倣が難しく、かつ、顧客に長く愛される商品に限定している。