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岸田総理が最重要政策のひとつと位置づけたことで
「子ども・子育て政策」の関連銘柄に注目が集まる
1月23日に招集された第211回国会で、岸田首相は衆議院と参議院のそれぞれの本会議で施政方針演説を行いました。演説の主な内容は「防衛力の抜本的強化」「新しい資本主義」「子ども・子育て政策」「包摂的な経済社会づくり」「災害対応・復興支援」「新型コロナ」「外交・安全保障」「憲法改正」などでしたが、これらの内容が伝わった直後の株式市場で最も反応が目立ったのは「子ども・子育て政策」に関連した銘柄でした。
岸田首相は1月4日の年頭会見で「異次元の少子化対策」の実現に取り組むことを明らかにしており、今回の「子ども・子育て政策」は特に目新しい内容というわけではありませんでした。しかし、2022年の出生数が初めて80万人を割り込むと見込まれるなか、今回の施政方針演説で「子ども・子育て政策」が日本の経済社会の「持続性」と「包摂性」を考えるうえで最も重要な政策だと改めて位置づけたことには注目すべきだと考えます。
政府は、4月に発足する「こども家庭庁」のもとで、今の社会に必要な「子ども・子育て政策」を体系的に取りまとめつつ、6月の骨太方針の公表までに将来的な「子ども・子育て政策」の予算倍増に向けた大枠を提示する予定のようです。
財源確保のための増税の可能性が取りざたされるなど未だ不透明なところもありますが、「子ども・子育て政策」は未来に向けた最も有効な投資として、具体策の検討が進められることになります。
また、政府の動きに先行する形で、東京都の小池百合子知事は1月4日、18歳までの子どもに対して月5000円を給付することを発表しました。給付対象の世代や立場によってこの施策に対する意見は異なると思いますが、「子ども自身を応援する」というスタンスから親の属性で区別せずに一律で支給する点は評価できます。さらに東京都は、子どもが私立中学校に通う年収910万円未満の家庭に対し、2024年度から年間10万円の授業料の助成を行うことを「前向きに検討」しているということも伝えられています。
「子ども・子育て政策」関連銘柄のなかから
「教育ビジネス」を展開する企業を中心に銘柄を選定
「子ども・子育て」の支援に取り組んでいるのは、国や自治体だけではありません。
学校・教育機関や企業の人事・研修部門などに向けた日本最大級の教育分野の展示会「EDIX 教育総合展」が、5月10日~12日に東京ビックサイトで、6月14日~16日にインデックス大阪で、それぞれ開催されます。「EDIX 教育総合展」は、「学校業務支援」「教育DX」「ICT機器」「人材育成・研修」「学校施設・サービス」「保育・幼児教育」「STEAM教育」「教材・教育コンテンツ」の8つのエリアで構成されており、2022年には東京と大阪を合わせて約2万6000人が来場したそうです。
そこで今回は「子ども・子育て政策」の関連銘柄に注目しました。
幼児教育・保育の無償化はすでにスタートしており、また児童手当制度などもあるため、子育ての経済的負担は以前に比べて多少なりとも軽減されてきたと見られます。そのため、今後は子どもの教育により多くのコストを振り向ける余裕が出てくると考え、教育ビジネスを展開する企業を中心に銘柄を選定。さらに、現在の株価などを考慮して6社に絞り込みました。
【すららネット(3998)】
先生役のアニメキャラと一緒に学べる対話式教材「すらら」を提供
すららネット(3998)は、1人ひとりの状況に応じて学習を進められる対話式学習システム「すらら」を、国内の2000を超える塾や学校に提供しています。先生役のアニメキャラと一緒に、初めて学習する分野でも1人で学習を進められるよう設計されています。株価は、長期間ボトム圏で推移していますが、足元でリバウンドの動きを見せています。52週移動平均線が位置する1000円の大台回復と、その後の上昇トレンドへの転換に期待したいところです。
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【ブロードメディア(4347)】
eラーニングで学べる通信制高校「ルネサンス高校」を運営
ブロードメディア(4347)は「スタジオ・コンテンツ」「放送」「技術」「教育」の4つのセグメントで事業を展開しています。「教育」セグメントでは、スマホ・タブレットなどを活用してeラーニングで学べる広域通信制・単位制の「ルネサンス高校」グループを3校運営。通信制高校ながら、生徒1人ひとりに担任の先生がつき、学習進捗に関する相談や進路指導などのサポートも実施しています。株価は2022年末から上昇が続いており、足元で2022年9月以来の水準を回復。2022年7月の高値1250円を意識したトレンドが形成されています。
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【JPホールディングス(2749)】
英語教育に特化した「バイリンガル保育園」を2023年4月に開設
JPホールディングス(2749)は、全国で「アスク」「GENKIDS」といった保育園や学童クラブ、児童館などの子育て支援施設を運営しています。2023年4月には、グループ初となる英語教育に特化した「バイリンガル保育園」を首都圏で3施設開設する予定です。2020年度から小学校でも英語教育が必修となっており、児童向けの英語学習ニーズは高いと思われます。株価は2022年末以降、強いトレンドがつづいており、足元で2018年8月以来の水準を回復しました。短期的には過熱感が警戒されるので、押し目狙いのスタンスで。
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【jig.jp(5244)】
プログラミング教育の環境整備や地域教育の人材育成を推進
jig.jp(5244)は、スマホ向けの動画配信サービス「ふわっち」や、オタク向けフリマ「オタマート」などのサービスを提供しています。「子ども・子育て政策」関連としては、簡単なプログラミングやIoTの実現に向いたパソコン「IchigoJam」を扱っています。2019年にはKDDI(9433)などと協力し、地方創生の一環としてのプログラミング教育の環境整備や地域教育の人材育成の推進を目的とした包括的パートナーシップを構築しました。2022年12月26日にIPOした後は株価が低迷していますが、足元で400円付近での底堅さが見られるので、押し目狙いのスタンスがおすすめです。
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【サイバーエージェント(4751)】
「QUREOプログラミング教室」を全国に展開
サイバーエージェント(4751)は、2013年5月にライフイズテックと合弁で小学生向けプログラミング教育事業を行う会社、CA Tech Kids(シーエーテックキッズ)を設立。現在までに、述べ約3万人以上の子どもたちにプログラミング学習の機会を提供しています。また、2020年からすべての小学校でプログラミング教育が必修となることを受け、2019年4月には「QUREOプログラミング教室」を開始。2020年11月には、国内外を含めて2000教室を突破しました。株価は2022年12月後半以降、緩やかなリバウンドが続いており、足元で上値抵抗線として意識されている75日移動平均線を突破しました。
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【POPER(5134)】
オンライン授業システム「ComiruAir」を提供
POPER(5134)は、学習塾専用のコミュニケーション&業務管理システム「Comiru」を手掛けています。2022年7月には、塾やスクールに特化したオンライン授業システム「ComiruAir」に、新機能「オンライン学習支援ルーム機能」を搭載。この機能を使えば学習塾がオンライン学習空間を提供し、生徒の自宅学習を支援することが可能となります。株価は2022年12月下旬に600円を割り込んだ後は緩やかなリバウンドを見せており、上昇トレンドへの展開に期待したいところです。
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以上、今回は「子ども・子育て政策」関連銘柄を発掘しました。
「子ども・子育て政策」については、4月に発足するこども家庭庁のほか、5月には「EDIX 教育総合展」の開催、6月には骨太方針の公表と関連イベントが続いています。そのため、株式市場で「子ども・子育て政策」関連銘柄への関心は次第に高まってくる可能性は十分にあるので、今回紹介した以外の関連銘柄を探ってみるのもいいでしょう。
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