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金融政策決定会合での「資金供給の拡充」の決定が
株式市場・債券市場に対してポジティブに作用!
1月18日の金融政策決定会合で、日銀はイールドカーブ・コントロール(YCC)のもとでの金融市場調節方針について、金融政策の現状維持を決定するとともに、資金供給の拡充策を決めました。
拡充されたのは、金融機関から担保を受け取って低金利でお金を貸し出す「共通担保資金供給オペ」と呼ぶ制度です。これは公開市場操作の手法のひとつで、金融機関に収益機会を与えて国債などの購入を促すものとなります。
例えば、0.1%の低金利で期間5年の資金を日銀から借りた金融機関が、利回りが0.2%の5年もの国債を購入した場合、購入時点で0.1%分の利益(=0.2%-0.1%)が確定します。つまり、金融機関は日銀から借りた資金で国債を買い、満期まで保有すれば、裁定利益を必ず得ることができるのです。
今回の会合では、最長10年までの貸付利率を、従来の「年ゼロ%」から「年限ごとの国債の市場実勢相場を踏まえ、その都度決定する」方式に変更しました。
株式市場は、今回の日銀の決定を好感しました。実際、1月18日の日経平均株価は前日比652.44円高の2万6791.12円と大幅高となりました。
また、日銀が1月23日に実施した5年ものの「共通担保資金供給オペ」は応札額が予定枠の3倍となり、一定の応札が確認できました。そして、23日の債券相場でその応札結果が伝わると、新発5年もの国債の利回りが一時0.160%と、2022年12月20日以来およそ1カ月ぶりの低水準をつけて、日銀の目論見通りとなりました。
市場の一部に共通担保資金供給オペによる金利押し下げ効果の持続性に対して懐疑的な意見があることも事実ですが、現時点では、今回の日銀の拡充策は株式市場・債券市場にはポジティブに作用していると言えるでしょう。
株式市場が警戒する日銀の後任人事について、
政府は2月10日を軸に衆参両院に示す案が浮上
ちなみに、次回の金融政策決定会合は3月9日~10日です。このため、想定外の事案が発生し、臨時会合開催なんてことがない限り、それまで日銀の金融政策の変更はありません。
次の日銀絡みの相場の材料は、日銀総裁人事です。これに関して、岸田文雄首相は1月22日、「まず、人は代わる。人事の中身をしっかり決定したうえで国会に提示する」「(新総裁については)4月時点の経済状況を考えたうえで、これから判断しなければならない」と述べ、日銀の黒田東彦総裁を交代させると明言しました。
スケジュール的には、4月8日に任期満了を迎える黒田総裁の後任人事案について、3月19日に任期満了を迎える雨宮正佳、若田部昌澄両副総裁の人事案と併せて、政府が2月10日を軸に衆参両院の議院運営委員会理事会に示す案が浮上している模様です。
この人事案が「アベノミクスの修正」と受け取られるようだと、株式市場は再び大きく動揺しかねないため要警戒材料です。なぜならば、首相が総裁人事で「脱アベノミクス」を鮮明にした場合、金融政策の不透明感の強まりに加え、自民党最大派閥の安倍派(清和政策研究会)の反発を招き、政治リスク(政局流動化リスク)が高まる可能性もあるからです。
ただし、「インフレ潰し」に邁進し、景気・経済を顧みずに急激な金融引き締めを行いかねない人物が新総裁になれば話は別ですが、そうでもなければ誰が新総裁になっても日本の景気・経済に配慮したうえで金融政策を決めるはずです。このため中長期的には、今回の人事の影響をそれほど懸念する必要はないと考えています。ですが、そうは言っても「脱アベノミクス」を意識させる人事案なら、短期的に市場は大きく変動する見通しです。
日本・中国の新型コロナ政策の変更による経済正常化や
FRBの方針変更の兆しが、世界の株式市場にとって明るい材料に
ところで、岸田首相は1月20日、新型コロナウイルスの感染症法上の分類を、今春にも「5類」に変更する方針を示しました。厚生労働省の専門部会は1月27日の会合で見解をまとめ、政府は月内にも移行時期を決めます。医療体制は段階的に通常対応に移行し、マスク着用ルールも見直されて正常化に踏み出す見通しです。「5類」への引き下げの時期は、ゴールデンウィーク前後との案が浮上しているようです。
一方、中国では1月21日に、春節(旧正月)に伴う大型連休が始まりました。行動制限のない春節連休は4年ぶりのことで、帰省などで中国国内を移動する旅客数は2022年から倍増し、延べ約21億人となる見通しです。日本にしても中国にしても、コロナ政策の変更で経済が正常化することは、世界の株式市場にとってポジティブ材料です。
さらに、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は1月22日、FRBが1月31日~2月1日に開くFOMCで「今春に利上げを停止するために、労働需要や支出、インフレの鈍化がどの程度必要かを検討し始める可能性がある」と報じました。これによりFRBの利上げが最終局面に近づきつつあるとの見方が強まったことも、世界の株式市場にとって非常に明るい材料と言えるでしょう。
なお、岸田首相は通常国会初日の1月23日、衆参両院の本会議で施政方針演説を行い、少子化対策は待ったなしの課題だとして、最重要政策に位置づけました。「年齢・性別を問わず皆が参加する、従来とは次元の異なる少子化対策を実現したいと思います。そして、本年4月に発足するこども家庭庁のもとで、今の社会において、必要とされるこども・子育て政策を体系的に取りまとめつつ、6月の骨太方針までに、将来的なこども・子育て予算倍増に向けた大枠を提示します」と述べました。このため、足元の東京株式市場では「少子化対策関連銘柄」が人気化しています。国策ですので、「少子化対策」は息の長い物色テーマとなることでしょう。
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日経平均株価の25日移動平均線が上向きに転じたら、
「ベアマーケットラリー開始の明確なサイン」の可能性も!
日経平均株価に関しては、テクニカル的に見ると1月24日時点で、相変わらず25日移動平均線<75日移動平均線<100日移動平均線の順番でキレイに並んだ状態です。しかしながら、75日移動平均線が18日~24日まで5営業日連続で上向き(前日比プラス)となっています。すなわち「下降のパーフェクトオーダー(25日・75日・100日移動平均線がすべて下向きで、25日<75日<100日の順番でキレイに並んだ状態)」が崩れています。
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また、より短期の5日移動平均線も、1月20日〜24日の3営業日連続で上向きです。注目すべきは、23日と24日に連日で5日移動平均線が急上昇したことです。よって、今後、25日移動平均線も上向きに転じることが期待出来る状況になったと見ています。
もちろん、25日移動平均線が上向きに転じるまでは「種銭を減らさないこと」を最優先にして相場に臨むべきですが、25日移動平均線が上向きに転じたら、それは「25日移動平均線を押し目の下限にした、ベアマーケットラリー(下落相場中の上昇局面)開始の明確なサイン」になり得ると考えています。その場合は「押し目買い・噴き値売り」を基本方針に積極的な市場参加をおすすめします。
銘柄選定に関しては、今週から3月期決算企業の4-12月期決算発表が本格化しますので、それら決算内容をご自身が納得するまで吟味したうえで、選別投資することを心掛けましょう。買いサイン点灯ならば慎重かつ大胆に投資を行い、ぜひとも収益を獲得してください。
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