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日経平均株価の短期的な上昇局面はいったん終了し、
短期か中期かはまだわからないが、いったんは調整局面に!
日米の株式市場はともに足元で上昇が一服し、短期的な調整局面に入っています。
日本株に関しては、後述する「GPIFのリバランス売り懸念」や「ETFの分配金捻出売り」といった独自の需給面での悪材料があります。日本独自の需給要因だけなら日本株の調整は短期間で一巡する見通しですが、同時に世界的な景気後退懸念が一段と強まるようだと調整が長引く可能性が高まると見ています。現時点では、正直どちらに転ぶのか判断しかねる状況です。
6月27日の日経平均株価は、前日比160.48円(0.49%)安の3万2538.33円と4日続落しました。また、先週末の6月23日を基準とした週間の騰落率は924.54円(2.74%)の下げで、11週ぶりの下落となりました。6月16日までの10週間の日経平均株価の株価の累計上昇幅は6187.77円(22.49%)に達していましたので、流石に短期間でここまで急騰すれば当然の一服と言えるでしょう。
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なお、6月第2週(12~16日)の投資部門別売買動向を見ると、海外投資家の現物株の買い越し額は6414億円。12週連続の買い越しで、買い越し額の合計は6兆1750億円でした。一方、6月第2週(12~16日)の先物の投資部門別売買動向(日経平均先物、TOPIX先物、ミニ日経平均先物、ミニTOPIX先物の合計)では、海外投資家は6572億円売り越しました。つまり、この週の海外投資家は、現物株と先物との合算で158億円売り越しました。
私は、この週に先物を大幅に売り越したのは、商品投資顧問(CTA)など短期スタンスのトレンドフォロー型ファンドで、長期スタンスの海外勢は現物を買い越し続けたと見ています。そうは言っても、6月第2週の海外勢の先物の売り転換が、ここ最近までの上昇トレンドの転換点となった可能性はあります。つまり、中期的な上昇局面はいったん終了し、今後、短期で終わるか、やや長引くかわかりませんが、非常に高い確率で調整局面入りした可能性が高いと考えています。
「GPIFのリバランス売り」と「ETFの分配金捻出に伴う売り」が
6月末~7月初旬にかけて日本株の需給悪化の要因に!
ところで、ここにきて6月末~7月初旬にかけての国内の需給悪化の要因が話題になっています。具体的には「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のリバランス売り」と「ETFの分配金捻出に伴う売り」の2つです。
この2つに関しては、大和証券の試算が市場関係者の注目を集めています。レポートによると「GPIFが保有する国内株式の割合は年末の25.1%から現在は27.4%に上昇したと同証券(大和証券)では試算しており、国内株式の割合を基本ポートフォリオの25%に抑えるためには、5兆2000億円ほど売却する必要がある」ということです。また「7月7日と10日が決算日となるETFが分配金支払いのために解消するポジションは、合計で1兆1000億円超と過去最大になる見込み」とのことです。
GPIFの第4期中期目標期間(2020年4月1日からの5カ年)における基本ポートフォリオを見ると、日本株の資産構成割は25%で、乖離許容幅は±8%となっています。最近の日本株の上昇によりこの割合が高まったことで、おそらく6月末にかけて“リバランス売り”を出してくるでしょうし、実はすで出し続けているのかもしれません。ただし、GPIFは可能な限り市場へのインパクトを抑制する形でリバランスを粛々と実行しているでしょうし、今後も実行すると見ています。
一方、ETFの分配金捻出に伴う売りは、毎年恒例の売りイベントです。この一時的な需給悪化イベントについては、先回りして先物をショートしたり、主力株を空売りしたりする投資家が多いそうです。
ですが、この2つの需給イベントを通過すれば、日本株は通常の需給状況に回帰します。よって、今回の日本独自の需給を主因にした調整の賞味期限は7月中旬と考えています。
国外に目を向けると「世界的な景気悪化懸念の強まり」と
「欧米の中央銀行のタカ派スタンス」が日本株の上値を重くする原因に
ただ、日本株の上値が重くなっている理由は需給要因だけではありません。ほかにも「世界的に景気の先行きに悪化懸念が強まりつつあること」と「欧米の中央銀行がタカ派であり続けていること」という2つの理由があります。。
まず「世界的に景気の先行きに悪化懸念が強まりつつあること」については、6月の欧米の購買担当者指数(PMI)が軒並み低下し、市場予想から下振れしたことが要因のひとつです。
6月23日発表の米国の製造業・サービス業を合わせた6月のPMI速報値は、前月比1.3ポイント低下の53と3カ月ぶりの低水準となり、市場予想の53.5を下回りました。製造業PMIは46.3と市場予想を下回り、6カ月ぶりの低水準でした。また、同日発表された6月のユーロ圏のHCOB総合PMI速報値は好不況の境目とされる50に近づき、50.3と前月の52.8から低下。5カ月ぶりの低水準となり、市場予想の52.5も下回りました。この欧米のPMIの低下・下振れは、世界の景気敏感株である日本株にはネガティブに作用する見通しです。
このように景気悪化懸念が強まっている状況にも関わらず、欧米の中央銀行はタカ派スタンスをまったく崩していません。
米国ではパウエルFRB議長が、6月21日〜22日の議会証言でインフレ抑制の姿勢を改めて示し、FOMC参加者の多くが今年2回の利上げを予想していると語りました。また、FRBのボウマン理事も22日の講演で、インフレを抑制するために追加的な利上げが必要になるとの認識を示しています。さらに、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は、年内にあと2回の利上げをするのが「現時点では非常に妥当な見通しだ」と述べています。
一方、欧州では、ECBが6月15日に8会合連続で利上げを決めました。ECBのラガルド総裁は、利上げ停止は「考えていない」と述べ、次回の7月会合も利上げを続けると示唆しています。
日本株への投資は7月初旬までは控えるのが吉!
7月中旬の段階で市況を見ながら改めて市場参加を検討しよう
今後の投資方針ですが、「海外勢が先物で売り越しに転じたこと」「ETFの分配金捻出に伴う売り」、そして「GPIFのリバランス売り」などを総合的に考慮して、日本株については少なくとも7月初旬までは無理して投資をせず、それまでに発表される欧米の重要な経済指標や金融当局の要人発言などを吟味しながら、慎重なスタンスを維持するべきだと考えます。
ちなみに、ECBが主催する国際金融会議「ECBフォーラム」が、6月26日にポルトガルで開幕しましたが、最終日の28日には日米欧英の中銀トップが討論会に参加します。そこで、ラガルド総裁やパウエル議長の発言内容が市場の想定以上にタカ派的だと、それを嫌気する格好で欧米の株式市場が波乱の展開となり、その影響が東京株式市場に及ぶことが危惧されます。
いずれにせよ、ETFの分配金捻出売りが終了する7月中旬の段階で、相場に再び積極的に参加するか否を決めるべきでしょう。つまり、当面は、「君子危うきに近寄らず」の精神で、買いポジションを可能な限り持たずに、株式市場を眺めるだけにしておくことをおすすめします。
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