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日本の港を「止まらない物流拠点」として再構築するための
「港湾ロジスティクス」の強化は国土交通省が主導する注目テーマ!
最近になって、これまでの「地味な存在」から「成長投資の可能性が見え始めた」へと大きく印象が変化した投資テーマがあります。それが「港湾ロジスティクス」です。
印象が変わった要因は、国土交通省の動きです。国土交通省は5月20日、「港湾ロジスティクスワーキンググループとりまとめ(案)」を公開し、港湾荷役機械やサイバーポート、次世代型倉庫を軸に官民投資のロードマップを示しました。
サイバーポートとは、港湾物流における手続きや情報を電子化・一元化するために国土交通省が主導して構築したプラットフォームのことです。「港湾ロジスティクスワーキンググループとりまとめ(案)」では、サイバーポートの利用登録社数を、2026年2月時点の1100社から2035年度末までに約1万1000社へ拡大する目標が提示されました。また、自動化・機械化や自動運転などに対応した次世代型倉庫については、2030年代までに40万設備トンの整備を目標として掲げています。
さらに国土交通省は5月29日、能登半島地震の教訓を踏まえ、「港湾施設の利用可否判断に係るガイドライン」を改訂。災害の発生直後における港湾施設の利用可否の判断を行うために必要な数値解析の考え方と検討項目の具体例を追加しました。
筆者は、こうした一連の流れをかなり前向きにとらえており、「港湾ロジスティクス」への注目度が高まるきっかけになるのではないかと考えています。
クレーンなど荷役機械の自動化や港湾手続きの電子化、
サイバー攻撃への対策など、港湾の強化は喫緊の課題に!
世界のコンテナ取扱量が2013年から2023年に1.3倍へ増えるなか、日本の港の取扱量はほぼ横ばいであり、国際基幹航路の寄港回数や直航率も低下傾向にあります。また、最近ではサイバー攻撃によるリスクも深刻化しています。実際、2023年7月には、名古屋港のシステムがランサムウェア攻撃を受け、約3日間にわたってコンテナの搬入・搬出作業が停止する事案も発生しました。
国際物流の競争が激しくなるなか、日本の港が世界中の船舶に選ばれるためには、岸壁やターミナルを増やす昔ながらの発想だけでは足りません。荷役機械の自動化やゲート前待機の削減、港湾手続きの電子化、背後地倉庫の高度化、さらに停電やサイバー攻撃への備えなど、日本の港を「止まらない物流拠点・システム」として再構築することが必須となります。
こうした日本の港湾に関する課題は政府も重視しており、高市政権が掲げる「17の戦略分野」でも「港湾ロジスティクス」が挙げられています。
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この「港湾ロジスティクス」の強化に向けた官民の投資によって恩恵を受けるのは、海運株だけに限りません。港湾荷役機械や港湾土木、ターミナル運営、倉庫自動化、通関・貿易データ連携を担う企業群にまで、広く分散すると考えます。
こうした状況を踏まえ、今回は「港湾ロジスティクス」関連銘柄に注目しました。具体的な銘柄としては、まず日本郵船(9101)、商船三井(9104)、川崎汽船(9107)などの海運大手や、NIPPON EXPRESS ホールディングス(9147)などの物流大手が挙げられます。ただ、今回は、恩恵を受けるであろう対象に広がりが見られるとの観点から、幅広い分野における注目銘柄をピックアップしました。
【上組(9364)】
日本の6大港に拠点を構える国内トップクラスの港湾運送企業
上組(9364)は、日本の6大港(東京港、横浜港、名古屋港、大阪港、神戸港、関門港)に強力な拠点を構える国内トップクラスの港湾運送企業です。港湾運送や倉庫、保管、通関、フォワーディングなどを一体化した総合物流サービスを手掛けています。神戸や東京のコンテナターミナルをはじめとした全国に広がる自社倉庫網と、自社スタッフによるオペレーションにより、迅速で安定した物流サービスの提供を実現。また、重量物や在来貨物など多様な貨物に対応し、港湾から内陸輸送まで一貫したソリューションを提供します。株価は2月27日につけた高値5818円をピークに調整が続いています。ただ、足元で52週移動平均線を割り込んできたため、調整一巡が意識されやすいでしょう。
上組(9364)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【三井E&S(7003)】
水素駆動クレーンの開発などで港湾の脱炭素化にも貢献
三井E&S(7003)は、港湾クレーンなどの荷役機械、ターミナル運営の基盤となるターミナルオペレーションシステム、遠隔監視システムなど、港湾荷役やターミナル運営を支える製品・システムを提供。さらに水素駆動クレーンや遠隔‧自動化クレーンの開発を進め、港湾の脱炭素化にも貢献しています。株価は3月3日につけた高値8438円をピークに調整が続いており、足元では52週移動平均線を割り込んで2025年8月以来の水準まで下げています。底入れを見極めつつ、押し目狙いのスタンスで臨みたいところです。
三井E&S(7003)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【富士電機(6504)】
世界の港湾で採用される「RTGハイブリッドシステム」を展開
富士電機(6504)は、パワーエレクトロニクスとパワー半導体をコア技術として事業を展開。「港湾ロジスティクス」の関連事業としては、燃料電池開発の知見を活かし、港湾クレーン向けの水素燃料電池システムの開発を進めています。また、コンテナの巻き下げやブレーキ時に発生するエネルギー(回生エネルギー)を電気に変換し、蓄電池に貯めることで再びクレーンの動力として利用する「RTGハイブリッドシステム」を開発。世界の港湾で採用実績を増やしています。株価は、5月26日につけた高値1万7800円をピークに大きく調整を見せており、直近で13週移動平均線まで下落。同線および26週移動平均線を下値支持線としたリバウンドに期待したいところです。
富士電機(6504)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【五洋建設(1893)】
コンテナ船の超大型化で必要となる大水深岸壁の建設などを主導
五洋建設(1893)は、海洋土木の国内最大手です。東京、横浜、神戸など国内の主要な国際戦略港湾における大水深コンテナターミナルや、関西国際空港・羽田空港の滑走路の埋め立てなど、国家レベルのプロジェクトを数多く手掛けています。また、世界的な港湾ロジスティクスの潮流としてコンテナ船の超大型化が進むなか、超大型船が安全に接岸・荷役できるような大水深岸壁の建設や、航路の浚渫(海底を削って深くする工事)などで強みを発揮します。株価は5月12日につけた2172円を直近高値とした調整が継続。ただ、4月の直近安値水準である1600円辺りでの底堅さが意識されているため、ここからのリバウンドが期待されます。
五洋建設(1893)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【キヤノンマーケティングジャパン(8060)】
NACCS対応の貿易業務管理ソリューションを提供
キヤノンマーケティングジャパン(8050)は、グループ会社のキヤノンITソリューションズが、NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)に対応した貿易業務管理ソリューション「TradeWise 通関データベース Standard Edition」を提供。データ化や基幹システムとの連携により、取引実績の分析や関税計算、統計情報の作成など、さまざまな業務に活用できます。株価は、13週移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドを形成しているので、押し目狙いのスタンスで臨みましょう。
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キヤノンマーケティングジャパン(8060)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【ダイフク(6383)】
自動倉庫に対応した在庫管理システム「AWC」を開発
ダイフク(6383)は、物流自動化システム(マテリアルハンドリング)の分野で世界シェアトップを誇るグローバル企業です。無人搬送車や軌道台車システムを組み合わせることで、岸壁や荷さばき場から保管エリアまでの搬送を完全に自動化し、激しい入出庫のピークタイムに対応。また、自社開発した在庫管理システム「AWC」は、在庫管理や入出庫作業の管理、下位マテリアルハンドリング設備への指示、作業進捗管理など、自動倉庫の在庫管理に必要な基本機能をパッケージ化しています。株価は5月11日につけた高値7857円をピークに調整を見せ、13週移動平均線を割り込んできました。26週移動平均線を下値支持線とした押し目狙いのスタンスで臨みたいところです。
ダイフク(6383)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト) ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます拡大画像表示
以上、今回は「港湾ロジスティクス」関連銘柄を発掘しました。
海に囲まれた日本にとって海上輸送は重要な物流手段であり、実際、日本の国際貿易のほぼ99%は船舶による海上輸送に依存しています。こうした貿易活動の中核を担う港湾ロジスティクスの強化は、日本にとって喫緊の課題と言えるでしょう。「国策に売りなし」という相場の格言もありますが、政府も注力する「港湾ロジスティクス」関連事業の成長には大いに期待したいところです。
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