北朝鮮による弾道ミサイルが本日8月29日5時58分ごろに発射され、北海道襟裳岬上空を通過し、6時12分ごろ、襟裳岬の東1180キロメートルの太平洋上に落下しました。
これを受け、米朝軍事衝突懸念が再び強まっています。外国為替市場では、「地政学リスク」への懸念を背景に、円買い・ドル売りが加速しました。
外国人投資家の日本株売りが止まらないうちは
日経平均株価の先高感は強まることはない
昨日8月28日の日経平均株価の終値は、前日比2.71円安の1万9449.90円でした。5日移動平均線(28日現在1万9414.95円)、200日移動平均線(同1万9310.16円)を上回っている一方、25日移動平均線(同1万9766.96円)、75日移動平均線(同1万9897.44円)は下回っていました。
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目先最大の注目ポイントは、最後の砦である200日移動平均線を終値でキープできるかですね。これを割り込むと、もう一段の下落を覚悟する必要があるでしょう。その一方で、25日移動平均線を超えてくれば、調整一巡感が強まり、上振れ期待を抱ける状況になると考えます。
なお、今回の北朝鮮のミサイル発射を受け、当面の日経平均株価のメインシナリオは、200日移動平均線を割り込んで、下値余地を探るというものです。
9月9日の北朝鮮の建国記念日、11日の米同時多発テロの日まで、米朝軍事衝突リスクが燻り続けることになると考えるからです。9月8日は先物・オプションのメジャーSQですから、このSQに向けてボラタイルな相場になりそうです。
ちなみに、足元では、米トランプ政権の政策実行力への警戒感に加え、円高の進行による日本企業の業績伸び悩みを警戒した、外国人投資家の日本株売りが止まりません。
外国人は8月第3週(14~18日)に、日本株を2057億円売り越しました。売り越しは4週連続です。また、8月第3週(14~18日)の日経平均先物とTOPIX先物を合算した売越額は3289億円でした。こちらも5週連続の売り越しです。
この外国人の現物及び先物売りが止まらないと、日経平均株価の先高観が強まることはないでしょう。むしろ、下振れを警戒するべきです。
大型株中心の日経平均株価にくらべ
ジャスダック市場やマザーズ市場は好調
一方、昨日8月28日の日経ジャスダック平均は5日続伸し、終値は前週末比17.67円高の3396.76円と、連日で1990年8月以来、27年ぶりの高値を更新しました。また、東証マザーズ指数も5日続伸しました。値動きの重い大型株を避けて、値動きの軽い中小型株に短期資金が流入している結果でしょう。
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小型材料株の多くは円高や外部環境の影響を受け難いため、新興市場を中心に個人投資家が積極的に参加していると推察されます。日経平均株価に代表される大型株が冴えない値動きが続く中、小型株が元気なので、個人投資家の相場の体感温度は高い状態が維持されているとみてよいでしょう。
実際、信用評価損益率は8月18日時点でマイナス9.05%と、前週のマイナス9.94%から改善しました。改善は4週ぶりのことです。これは中小型株を信用で買い建てている投資家の含み損が縮小したことが主因でしょう。
信用評価損益率が悪化するようだと、追証絡みの投げ売りを心配しないとなりません。しかし、これが改善するようなら、そのような需給悪化を懸念する必要がなくなります。その意味では、足元の評価損益率の改善はポジティブ材料です。
日経平均株価が25日移動平均線を超えるには、
トランプ政権への不安や米朝軍事衝突リスクの解消が必要
ですが、好調な小型株に乗れている個人は、一部のプロ、セミプロ級の投資家だけでしょう。大型株を抱えている多くの個人投資家の手の内、マインドは日々悪化しているはずです。これの関しては、テクニカル的に日経平均株価が少なくとも25日移動平均線を安定的に超えてこないと改善しないでしょう。
日経平均株価が25日移動平均線を超えるためには、外国為替市場での円高が是正されることが必要です。円高が是正されるためには、米国のトランプ政権の政策実行能力への不安が払拭されることや、米朝軍事衝突リスクが低下することなどが求められます。
米国政治に関しては、トランプ米大統領は8月22日、政府機関を閉鎖してでもメキシコ国境との壁は造ると明言しました。万が一、つなぎ予算も可決できないと政府機関の閉鎖は不可避です。また、債務上限引き上げ法案成立の調整は不調のようです。
このような状況を受け、フィッチ・レーティングスは8月23日、10月までに債務上限を引き上げねば米国債の格付けを引き下げる方向で見直すと警告しています。今後のトランプ政権と議会の交渉の行方次第では、米国株が波乱の展開となるリスクがあります。要警戒ですね。
まだ「暴落状況」ではないので
逆張りは避けて「赤札銘柄」を狙え!
こんな感じの投資環境ですから、あまり無理して市場参加する必要はないでしょう。参加するなら、「強い銘柄」だけにしておきたいですね。逆張り的に「弱い銘柄」を狙うことはお勧めしません。現状の東京株式市場は、暴落状況ではありません。
しかし、全体相場は調整局面です。よって、「暴落相場の赤札銘柄は買い」という相場格言を想起して行動するべきと考えます。「赤札銘柄」とは株価が上昇している銘柄です。外部環境の悪化にもかかわらず、当該銘柄を買いたい主体がいるからこそ、「赤札銘柄」になるのです。経験則上、このような「赤札銘柄」は調整局面終了後に、大相場に発展する場合もあるとされています。
一方、逆張り的に「弱い銘柄」を狙うのは、セリングクライマックスだけにしましょう。相場の下げ途中で「弱い銘柄」を買うのは資金効率が悪すぎると考えるからです。こちらに関しては、「落ちてくるナイフはつかむな」という相場格言を思い出すべきです。
非常にやり難い相場環境ですが、くれぐれもリスク管理を徹底して、当コラムの読者の方々には、上手く立ち回ってもらいたいと思います。私は、やりやすい環境の時はガンガン攻める、そうではない時は、デフェンスを重視した投資を推奨します。是非、環境変化に応じた柔軟な戦略変更、臨機応変な行動を心掛けてください。
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