つみたてNISA(積立NISA)おすすめ比較&徹底解説[2024年]

「つみたてNISA」は50代半ば以降の人が老後資金を作る最適な制度!「iDeCo」との比較や商品の選び方など、50~70代の「つみたてNISA」活用術を解説!

2018年7月30日公開(2022年3月29日更新)
深野 康彦
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つみたてNISAのおすすめ証券会社はココ!

 「つみたてNISA(積立型の少額投資非課税制度)」は、年間40万円の投資金額を上限として最長20年間にわたり積立投資ができ、利益が非課税になるお得な制度です。年間の投資金額の枠が比較的少額ということと、積立期間が長期間であることから、どちらかと言えば「若年層向け」の印象を持つ人もいるのではないでしょうか。

 しかし、「つみたてNISA」は、50代半ば以降のリタイア準備世代や、60歳以降のリタイア層にもおすすめできます。今回はその理由や、実際に投資する商品の選び方など、50代後半からの「つみたてNISA」活用法について詳しくお話ししましょう。

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「預貯金はあるが投資は経験がない」という
50代半ば以降の人こそ「つみたてNISA」が最適!

 まず、50代半ば以降の高めの年齢層の中でも、特に「投資は未経験」という人たちに、「つみたてNISA」は向いている制度です。

 一般的に言うと、年齢層が高いほうが、若年層より預貯金などの金融資産を多く保有しています。さらに、退職金を一括でもらうと、金融資産が一時的に大きく増えます。

 しかし、「お金はあるけれど今まで投資の経験がない」という人が、「長い老後に備えよう」と考えて、大きな額を一気に投資するのは非常に危険です。一括投資で買いのタイミングを見極めるのは簡単ではありませんし、リスクや手数料が高すぎる金融商品を買ってしまうなど、商品選択を誤る危険もあります。

 お金を持っている投資未経験者ほど、「時間分散」をしっかり効かせた投資をするべきだと私は考えます。複数回に分けて買うことで、高値つかみのリスクを軽減できるからです。その点、積立投資という形でシステマチックに時間分散ができ、さらに長期の積立投資に適した低コストの投資信託が対象となっている「つみたてNISA」は、投資未経験者が最初に利用するのに非常に向いていると言えるでしょう。もちろん、運用で得た利益が全額非課税というメリットもあります。

 ただし、同じ投資未経験者でも、十分な預貯金がない人は別です。金融中央広報委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、50代以上でも実は3割が貯金ゼロ世帯です。そうした人たちは、投資や「つみたてNISA」を考える前に、まずは現預金を貯めることが大切です。

【※関連記事はこちら!】
つみたてNISAに向いている人、向いていない人は?「iDeCo」より「つみたてNISA」を活用すべき人と、「つみたてNISA」を絶対に使ってはいけない人とは?

公的年金だけではインフレリスクに対応できない
「つみたてNISA」で補完して老後に備えるべき!

 50代半ば以降の人に「つみたてNISA」をおすすめするもう一つの理由が、インフレリスクへの対応です。老後の暮らしの支えになるはずの国民年金や厚生年金、国民年金基金などの公的年金・準公的年金は、残念ながらいずれも物価上昇に対して弱い制度です。物価が上がっても、支給額は増えにくい仕組みになっているからです。そのため、老後への備えとして、公的年金だけではなく、インフレリスクに対応できる金融商品を活用する必要があります。

 「でも、インフレ率は上がっていないし、そんなに気にしなくても大丈夫なのでは?」と思われる方もいるでしょう。確かに数字だけを見ると、消費者物価指数(総合)の上昇率は1%未満で、日銀が目標としている物価上昇率の2%には届きそうもありません。しかし、消費者物価指数には、我々の実生活を必ずしも正しく反映しているわけではないという問題があります。

 たとえば、量を減らして価格を据え置くという「ステルス値上げ」が増えています。こうした“実質的な値上げ”は、物価指数には反映されにくい面があります。また、消費者物価指数の中でも、生活への影響が大きい「エネルギー」(ガソリン、電気・ガス料金など)は5.6%、「食料品」(生鮮食品を除く)は1.1%上昇しています(いずれも2018年5月のデータ)。さらに、日銀の超金融緩和で預金金利がずっと低いままになっているため、我々の生活は数字以上に値上げの影響を受けているはずなのです。

 このように現時点でも見えない形で物価上昇が進んでいるうえに、今後の経済情勢によっては、インフレが加速する可能性もないとは言えません。50代のリタイア準備世代や65歳以上のリタイア層が今後のインフレリスクに備えることはやはり重要です。そして、利益が全額非課税という有利な形で株式などの積立投資ができる「つみたてNISA」は、インフレリスクへの備えとして非常に適している制度と言えるのです。

50代半ば以降から老後資金作りをスタートするなら
「iDeCo」より「つみたてNISA」のほうがおすすめ

 「老後資金を作る」というと「iDeCo(個人型確定拠出年金)」を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、50代半ば以降で始める場合、「iDeCo」にはおすすめできない点もあります

 まず、「iDeCo」は制度上、60歳までしか掛金を拠出できません。50代半ば以降にスタートするのでは、積み立てられる期間が非常に短くなってしまいます。しかも、加入期間が10年未満だと、受給開始年齢は遅くなります。たとえば55歳での加入だと、5年分しか掛金を拠出できないのに、現金を受け取れるのは63歳になってしまうのです。

 また、「iDeCo」では必ず口座管理料が徴収されます。「iDeCo」口座を作る金融機関の手数料が無料でも、国民年金基金連合会などへの支払いが月167円必要になります。さらに「iDeCo」の場合、会社員や公務員では拠出額は最大でも年間27万6000円と少額のため、手数料が占める比率も高くなります。先述の通り60歳以降は掛金の拠出はできませんが、その場合(運用指図のみ)でも月64円の手数料がかかります。

 「つみたてNISA」と同じく、「iDeCo」でも運用益は全額非課税ですが、それはあくまで運用の結果、利益が出た場合の話であって、最初から当てにはできません。もちろん、大きな違いとして「iDeCo」には掛金が所得税・住民税の控除の対象になるという、「入口」部分での節税効果があります。それを生かしたいのであれば、60歳までは「iDeCo」で、それ以降は「つみたてNISA」という「リレー式」で老後資金を作っていくのも一つの方法です。

 ただ、最長20年間にわたって積立投資が可能なことを考えると、50代半ばからの老後資金作りのメインには「つみたてNISA」のほうが向いていると、私は考えます。

【※関連記事はこちら!】
「つみたてNISA」で老後資金を賢く作る方法とは?長期で資産を増やすための商品選び&運用のコツと、自営業・会社員それぞれにおすすめの活用法を紹介!

年齢だけで考えるのは危険!50代半ば以降の人が
「つみたてNISA」で買うべき商品とは?

 さて、50代半ば以降の世代は、「つみたてNISA」でどのような商品を選べばよいでしょうか

 投資のセオリーでは「年齢層が高くなるほどリスク許容度は下がるので、リスクが低めの商品を選ぶべき」と言われています。しかし、「つみたてNISA」で扱っているのは、株式100%の投資信託・ETFと、バランス型投資信託のみです。では株式100%の投資信託は避けて、株式の比率が低めのバランス型投信を選ぶのがいいのでしょうか。

 実は「正解」は、その人の投資経験や保有している資産額、金融資産に占めるリスク資産の割合などによって異なります。年齢だけで考えるのは危険です。

 たとえば、「50代半ばで投資経験はなく、金融資産は2000万円あるがその内訳はほとんどが預貯金」という人がいたとします。その人が「つみたてNISA」で株式100%の投資信託を年間40万円×20年間積み立てたとしても、リスク資産は全体の3割程度ですから「リスクを取り過ぎ」というほどではないでしょう。

 一方、同じ金融資産2000万円でも、「その4割を個別株や外貨預金で持っている」という人だと話は違ってきます。同じように「つみたてNISA」で株式100%の投資信託を買うと、20年後はリスク資産が約6割になってしまい、普通に考えればリスクを取り過ぎです。

 そこで、後者の場合は「つみたてNISA」では株式比率の低いバランス型投信を購入する、株式100%の投信を購入したいなら代わりに保有しているリスク資産を売却する、積立金額を減らすなど、何らかの調整をして、資産全体でリスクを取り過ぎないように気を付けることが重要です。

「つみたてNISA」を上手に活用して
老後資金の取り崩しスピードを遅らせる

 「人生100年時代」を迎えて、公的年金と、現預金中心の資産の取り崩しだけでは、いずれ老後資金が足りなくなる心配があります。しかし、「つみたてNISA」で積立投資をして、期待リターンが年率2~3%程度の運用ができれば、資産を取り崩すスピードを遅らせることができます。「つみたてNISA」で年率2~3%のリターンは、無理のある数字ではありません。

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「つみたてNISA」による資産の増え方や節税効果をシミュレーションした! 毎月1万円でも、投資先によって利益は100万円超、節税額は40万円超の差に

 仮に、50代半ばから「つみたてNISA」を始めて20年間続ければ、ちょうど75歳以降の後期高齢期に備えることができます。60歳、70歳でスタートする場合でも、先ほど述べた商品の選び方などの考え方の基本は変わりません。ただし、70歳を過ぎてから「つみたてNISA」を始めるのであれば、株式100%よりはバランス型、その中でも株式比率の低いものを選んで、50代、60代と比べてリスクを抑えた商品で積み立てを行うことをおすすめします。

 また、必ずしも20年間ずっと積み立てを続ける必要はありません。たとえば、60歳から10年間だけ積み立て、あとは新たな積み立ては行わずに持ち続けて、相場がいいときに売る、というのでもいいのです。高年齢層に限りませんが、「つみたてNISA」ではそのような使い方をすることも可能です。

 老後への備えを作る、あるいは老後資金を長持ちさせるために、投資は重要な手段です。失敗して資産を減らしてしまっては元も子もありませんが、「つみたてNISA」なら投資初心者でも無理のない形で資産運用ができます。また年齢に関係なく利用でき、いつでもやめられるという自由度の高さも魅力です。「つみたてNISA」をうまく活用して、豊かな老後を送っていただきたいと思います。

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(構成:肥後紀子)

深野康彦(ふかの・やすひこ)[ファイナンシャルプランナー]
ファイナンシャルリサーチ代表。AFP、1級ファイナンシャルプランニング技能士。クレジット会社勤務を3年間経て1989年4月に独立系FP会社に入社。1996年1月に独立し、現職。あらゆるマネー商品に精通し、わかりやすい解説に定評がある。主な著書に『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない』『ジュニアNISA入門』(ダイヤモンド社)など多数。
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※表内のデータは、情報更新時に公表されている「新NISA」の情報をまとめたものです。
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つみたて投資枠 成長投資枠 クレカ積立
還元率 
※1
投資信託 株式売買手数料(税込) 投資信託
国内株 米国株
250本 無料 無料 1277本 0〜
0.5%
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ネット証券大手の一つで、新NISA口座では日本株の売買手数料無料に加えて、米国株式&海外ETFの売買手数料も無料!「つみたて投資枠」対象商品のほとんどの投資信託を取り扱っており、すべてノーロード(購入時手数料が無料)。投資信託の積み立ては「100円」から可能で、少額から始めたい人に対応。「毎月積立」だけでなく、「毎週積立」「毎日積立」も選べる。三井住友カードなどによるクレジットカード決済「クレカ積立」を利用すると、カードの種類やその他の条件によってポイントが貯まる。「投信マイレージ」では保有額に応じたポイントも獲得できる。「成長投資枠」では米国株、中国株、韓国株、ロシア株(現在、注文停止中)、ベトナム株、インドネシア株、シンガポール株、タイ株、マレーシア株など海外株も豊富。単元未満株(1株から日本株が買える)「S株」は東証の全銘柄が対象で、成長投資枠で投資可能。売買手数料はゼロ円だ。「S株」では積立サービス「日株積立」を開始。株数指定(1 株単位)、金額指定(1000円以上、500円単位)で積立ができるようになった。カスタマーサービスセンターは「NISA・投信土日専用デスク」があり、週末も問い合わせに対応しているのも便利。「J.D.パワー2024年NISA顧客満足度調査 」<証券部門>にて、総合満足度ランキング1位を受賞した。
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つみたて投資枠 成長投資枠 クレカ積立
還元率 
※1
投資信託 株式売買手数料(税込) 投資信託
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234本 無料 実質無料 1176本 0.73〜
​1.1%
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※1
投資信託 株式売買手数料(税込) 投資信託
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※1
投資信託 株式売買手数料(税込) 投資信託
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※1
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つみたて投資枠 成長投資枠 クレカ積立
還元率 
※1
投資信託 株式売買手数料(税込) 投資信託
国内株 米国株
150本 137〜2200円
(約定代金による)
540本
【SMBC日興証券の新NISA口座のおすすめポイント】
2023年11月から投資信託情報サービス「日興の投信NISA」を開始。数多くの投資信託のなかからおすすめの21本に絞り込んでいるうえ、「なにごともバランスが大事よ」「私は世界の成長にかける」といったタイプごとに5〜6銘柄をピックアップしてくれるので、自分好みのNISA対応ファンドを選ぶ助けになる。SMBC日興証券では一部の投資信託で買付手数料が必要となるが、積立購入(投信つみたてプラン)の場合は全銘柄で買付手数料が原則無料となるので、上手に活用したい。
また、外国株式は、オンライントレードでは取引できないので注意しよう。単元未満株取引「キンカブ」は「100円以上、100円単位」の金額指定で株が買えるのがメリットで、dポイントでも株式投資ができる。「キンカブ」は売買手数料は無料で、100万円以下の買付ならばスプレッドも0%となっている(100万円超の買付時や売却時はスプレッド0.5~1.0%)。
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還元率 
※1
投資信託 株式売買手数料(税込) 投資信託
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91本 実質無料 332本
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2024年1月4日以降、新NISA口座では、日本株の売買手数料が全額キャッシュバックされ、実質無料に(上限なし)。投資信託は従来から購入手数料が無料となる「ZEROファンドプログラム」を行っているため、一括購入、積立買付とも手数料が無料だ。投信積立については、1銘柄あたり毎月100円から。低コストの人気ファンドを数多く取りそろえている。ファンド選びに迷った場合は、各自のリスク許容度に合わせた銘柄と投資割合を提案する「投信ロボ」が心強い。また、投資信託の平均保有残高が1000万円以上(プラチナ)、3000万円以上(プレミアゼロ)の場合は、信用取引の手数料が優遇されたり、IPOの当選確率がアップするサービスも提供している。単元未満株の取引も可能で取扱銘柄数も多いが、売買手数料は約定代金2万円まで220円、3万円まで330円、10万円まで660円(すべて税込)などだ。
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資産残高の0.693〜0.733%(年率・税込)※
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※ NISA口座に自動積立だけで入金した場合で試算した手数料。リスク許容度(ポートフォリオ)により異なる。また、各商品の値動きによりポートフォリオのバランスが崩れた場合は、手数料が表記の範囲を超えて変動する可能性がある。
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※手数料などの情報は定期的に見直しを行っていますが、更新の関係で最新の情報と異なる場合があります。最新情報は各証券会社の公式サイトをご確認ください。売買手数料は、1回の注文が複数の約定に分かれた場合、同一日であれば約定代金を合算し、1回の注文として計算します。投資信託の取扱数は、各証券会社の投資信託の検索機能をもとに計測しており、実際の購入可能本数と異なる場合が場合があります。※1 年会費無料のクレジットカードの場合。※2 1約定ごとプランで約定金額240万円までの売買手数料。

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