｢太陽光発電｣関連銘柄を解説！ 国有地などへの太陽光パネル設置による空港のカーボンニュートラル化計画の推進により、｢太陽光発電｣関連の株価見直しに期待

空港敷地内の使っていない土地に太陽光パネルを設置し、
2030年までに空港のカーボンニュートラル化を実現！

　政府は空港の脱炭素化を促すため、太陽光発電など再生可能エネルギー発電の拠点として空港周辺の土地を利用できるよう規制緩和する方針であることを、2月20日に日本経済新聞が報じました。

　現在、空港周辺の国有地などの利用には厳しい規制がかかっていますが、関連法に特例措置を制定した後、使われていない土地や建物の屋上に太陽光パネルを設置して、空港ターミナルや駐機中の航空機に給電する方針です。政府は、3月上旬にも航空法と空港法の改正案を閣議決定し、通常国会に提出する見通しで、成立すれば年内にも施行となるようです。

　国土交通省が2021年6月に開催した「空港分野におけるCO2削減に関する検討会（第2回）」の資料を見ると、空港のカーボンニュートラル化に向けた太陽光発電の導入目標が示されています。

　国内の全97空港において、空港敷地内で太陽光パネルを設置できる可能性のある土地や建物は約3700ha（ヘクタール）、空港周辺10km程度における未利用の国公有地などは約1万1300ha、合計で約1万5000haが太陽光パネルを設置できる可能性のある「導入潜在力」となります。

　そのうち、2030年までの目標として、JR山手線内の面積の約4割に相当する2300haに太陽光パネルを設置し、年間で発電出力230万kw、CO2削減量100万トンを目指すとしています。国内の空港における年間のCO2排出量は2018年度の推計で89万トンなので、この太陽光発電だけで、そのすべてを相殺できる計算です。

　さらに「空港分野におけるCO2削減に関する検討会」では、太陽光発電によって得られた電力を、航空機・地域のCO2排出削減やSAF（再生可能代替航空燃料）・水素の製造、さらには炭素クレジットの創出に活用することが計画されています。

空港の脱炭素化を進める規制緩和の実施によって、
「太陽光発電」への投資家の関心が再燃することに期待

　日本は、米国や中国などと比べて国土が狭いこともあり、それらの国と同規模の再生可能エネルギー設備を設置することは困難です。

　また、環境省の調査によると、太陽光発電の設備の設置により、土砂災害などの自然災害の発生や景観への影響、動物や植物など生態系への影響、森林の無断伐採といった問題が報告されています。

　さらに、日本は国全体が海に囲まれていることから洋上風力発電の成長性に期待が集まっており、以前に比べると太陽光発電に対する投資家の関心は薄まっているように見られます。
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　しかし、空港の脱炭素化を促すための規制緩和により、1万5000haもの土地を活用できる可能性が出てきたことで、太陽光発電への投資家の関心が再燃することが期待できます。

　脱炭素化に関しては、先進国における進捗度合いと比較して日本は遅れています。そのため、脱炭素化を加速させるうえで効果的な施策のひとつとして、空港周辺の土地活用のための規制緩和は高い確率で進められていくことになるでしょう。

　そこで今回は、改めて「太陽光発電」関連銘柄にフォーカスしました。具体的な銘柄としては、「太陽光発電」関連銘柄として過去に大きく注目されたものの足元で低迷している中小型株を中心に、再評価が期待できる銘柄を選定しました。

【ウエストホールディングス（1407）】
「太陽光発電」関連の中心的な銘柄

　ウエストホールディングス（1407）は、再生可能エネルギーを軸としたソリューションを提供する企業で、「太陽光発電」関連の中心的な銘柄になります。株価は、2020年前半から上昇ピッチが強まり、当時の1000円水準から2021年11月には7000円近くまで急伸しました。2022年に入って調整が強まり、高値から半値水準まで下げてきたので、押し目買いを狙いたいところです。

⇒ウエストホールディングス（1407）の最新の株価はこちら！

【フジプレアム（4237）】
超軽量太陽電池モジュールなどを提供

　フジプレアム（4237）は、クリーンエネルギー部門で太陽光発電システムを手掛けており、超軽量太陽電池モジュールや建材一体型太陽電池モジュールなどを提供しています。株価は、2020年3月の安値175円を底値に2021年1月の高値542円まで上昇しました。その後は300～400円辺りのレンジで推移していますので、まずはレンジ下限での押し目が狙い目。さらにレンジ突破後には、2021年1月の高値542円を意識したスタンスとなります。

⇒フジプレアム（4237）の最新の株価はこちら！

【岡本硝子（7746）】
太陽電池向けAlやAg電極用ガラスフリットを製造

　岡本硝子（7746）はガラス材料を手掛ける企業で、エネルギー分野では太陽電池向けAl（アルミニウム）やAg（銀）電極用ガラスフリットの製造・開発を手掛けています。2016年には、採光型太陽光発電ユニットの原理実証機がNEDO（国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構）の「太陽光発電多用途化実証プロジェクト」に採択されました。株価は、2021年1月の高値248円をピークに下落が続いており、足元で2020年3月以来の安値水準まで下げてきました。これは過去10年くらいにおける底値水準なので、ここからのリバウンドが意識されます。

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【東洋炭素（5310）】
太陽光発電でも用いられる高機能カーボンの専業メーカー

　東洋炭素（5310）は、高機能カーボンの専業メーカーです。カーボンは、半導体から自動車、産業機械、家電、医療機器、さらには宇宙航空まで幅広い分野で使用されており、太陽光発電の分野でも、主力材料であるシリコンの製造工程やウエハーの成膜工程などで用いられています。株価は2021年12月の高値3430円をピークに調整が続いていますが、足元で2800円水準がボトムとして意識されてきています。52週移動平均線が支持線として機能しているので、リバウンド狙いとなりそうです。

⇒東洋炭素（5310）の最新の株価はこちら！

【ワイエイシイホールディングス（6298）】
太陽電池の各種製造装置やシステムを提供

　ワイエイシイホールディングス（6298）は、傘下のワイエイシイメカトロニク社が、太陽電池の各種製造装置やシステムを提供しています。株価は、2月4日に1346円まで急伸した後、利益確定の売りが優勢となって1000円近辺まで下落しました。しかし、下値支持線として意識される75日移動平均線まで調整したので、ここからのリバウンドが期待できます。

⇒ワイエイシイホールディングス（6298）の最新の株価はこちら！

　以上、今回は「太陽光発電」関連銘柄を発掘しました。

　国土交通省では、再生可能エネルギー発電の拠点としての潜在力をフル活用するため、空港ごとの整備計画を早期に策定し、取り組みを進めるための支援策を検討するようです。この取り組みは、羽田空港など一部の空港だけではなく全国の空港が対象になるため、地域特化で強みを持つ企業を探してみるものいいかもしれません。

　また「太陽光発電」にとどまらず、「蓄電池」や「LED」「コージェネレーションシステム」などに物色が広がる可能性もあるので、そういった銘柄もチェックしておくといいでしょう。
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