日本全国の特産品が実質2000円でたくさんもらえると大好評なのがふるさと納税だ。特に2015年は、寄附の上限額が2倍にまで拡大され、より多くの人がその恩恵を受けたことだろう。さてこのふるさと納税、“納税”という名称を使っているが、実質は「自治体への寄附」であることは周知の通り。ふるさと納税がオトクなのは「寄附金控除」という制度を使って、税の軽減を受けられるからだ。そして、この控除を利用するには、確定申告の必要がある。ただし2015年から、条件を満たせば、確定申告をしなくても税額控除が受けられるしくみができた。それが「ワンストップ特例」だ。アナタは確定申告が必要なのか、そして増税額はどのようにして取り戻せるのか。詳しく解説しよう。
確定申告が免除になる受けられる条件を確認、
アナタは確定申告が必要、それとも不必要?
まず、確定申告をしなくてもいい「ワンストップ特例」を受けるための条件から確認しよう。
その条件とは、
(1)1年間に寄附した自治体が5カ所以下
(2)寄附したすべての自治体にワンストップ特例の申請書を提出した
(3)ふるさと納税以外に確定申告する事案がない
の3つだ。ふるさと納税以外に、株などの譲渡損益に関する申告や、医療費控除などの申告がある場合は、確定申告をする必要がある。
ただし2015年のふるさと納税に限って「2015年1~3月にはどこにも寄附をしていない」という条件が加わる。図のフローチャートで、自分はどのケースに当てはまるのかをまずは確認してほしい。
確定申告が不要のケースの人は
今年6月から来年5月までの住民税の減額で戻る!
さて2015年から始まった「ワンストップ特例」についておさらいをしよう。
ワンストップ特例とは先ほど挙げた4つの条件を満たした場合に限り、確定申告をしなくても、2000円以外の寄附したお金が全額が戻るしくみだ。
特に注意したいのが申請書の送付。これは2016年1月10日までに、各自治体に送る必要があったものだ。現時点で、まだ送っていない申請書が手元にあるならもう手遅れなので確定申告をしよう。
また、1カ所だけ申請書の送付を忘れた場合でも、確定申告で記載するのはその1カ所だけでいいのかといえばそうではない。確定申告をする場合は、申請書を送付した自治体もあわせて、すべてを申告しなければいけない。
さて、確定申告をした場合としなかった場合で、お金の戻り方が違うということをご存じだろうか。
確定申告をする場合は、所得税の還付と住民税の減額の2段構えでお金が戻る。しかし「ワンストップ特例」を利用する場合は、2000円以外の寄附額相当のお金は住民税の減額だけで戻ることになる(図を参照)。そのため、確定申告をした時のように、銀行振込などで現金を受け取ることはない点が大きく異なる。
2015年分の寄附額が反映されるのは、2016年6月~2017年5月に納める住民税だ。会社員ならほとんどの人が月割で住民税を納めているだろうから、戻ってくるお金の分が、毎月少しずつ減額されることになる。
確定申告が必要なケースの人は所得税分は現金で還付され
残りは住民税から差し引かれる2段階で取り戻せる
先述の確定申告をしなくてもいい4つの条件にひとつでも該当しなければ確定申告の必要がある。では、どうやってお金が戻るのか、その仕組みについて説明しよう。
確定申告が不要の人は住民税のみからお金が戻ると説明したが、確定申告する人は、所得税と住民税の2段階に分かれてお金が戻る。
まず所得税からの分は、還付金として指定の方法(銀行振込など)で現金が戻ってくる。おおよその目安は(寄附額-2000円)×所得税率だ(他の控除額などの状況により、このとおりとは限らない)。
そして、所得税から戻しきれなかった分が住民税から差し引かれる。2015年のふるさと納税分は、2016年6月~2017年5月の住民税が減額されることで戻ってくる。4~5月頃に会社からもらう住民税の決定通知書で、きちんと減額されているかを確認しよう。
ちなみに今年の確定申告は2月16日~3月15日だが、実は還付(払い過ぎた税金を返してもらう)申告だけの人は、年明け早々の1月1日から申告してもよいことになっている。株の譲渡益の申告など、還付以外の申告がない人はすぐに申告書を提出してもかまわない。
早く申告するほど還付金も早く振り込まれる。自治体から送られてくる「寄附金受領証」がすべて揃っているなら、税務署が混む前にさっさと済ませてしまうのがオススメだ。
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