「夢の配当金生活」実現メソッド
【第11回】 2018年5月3日 個人投資家・立川 一(たちかわ・はじめ)

インフラファンドのメリット・デメリットを解説!
「J-REIT」と比較しても、「インフラファンド」には
高利回り+安定度、不況に強いなど、メリット多数!

 みなさんこんにちは、個人投資家の立川一です。

 前回は、米国株や「J-REIT」を活用した「増配株投資」の可能性を考えました。
【※関連記事はこちら!】
高配当な「米国株」や「J-REIT」の魅力を分析!増配株投資で成功した投資家が実践する「米国株」と「J-REIT」を利用した「分散投資」の戦略を公開!

 現在、私は日本の株式市場での「増配株投資」が有利だと考えていて、資金は日本株に偏っていますが、米国株や「J-REIT」には日本株にはない良さもたくさんあるので、ぜひ、読者の皆さんもポートフォリオに少しずつ取り入れていただければと思います。

 そして、今回は私が米国株や「J-REIT」以上に、今、もっとも注目している「インフラファンド」を取り上げてみたいと思います。

「インフラファンド」は、「J-REIT」とよく似た上場投信。
注目度は低いが、分配金利回りの高さと安定度は抜群!

「インフラファンド」とは、「J-REIT」と似た金融商品で、「J-REIT」と同じく東京証券取引所に上場しています。「J-REIT」がオフィスビルやマンションなどの不動産を保有して、その不動産で得られる収益を投資家に分配されるのと同様に、「インフラファンド」は太陽光発電施設や港湾施設などの「インフラ」を保有して、そこらか得られる収益を投資家に分配します。2018年4月20日時点で4銘柄が東証に上場していますが、それらはすべて太陽光発電施設を保有する「インフラファンド」になっています。

 「インフラファンド」の仕組みをもう少し細かく説明すると、投資法人が投資口を発行して得た資本金と借入によって「発電施設」を保有します。そして、その「発電施設」を専門的なノウハウを持って運営する「オペレーター」に賃貸し、「オペレーター」は売電して得た収益から賃貸料を投資法人に支払います。投資法人はその賃貸料を収益とし、経費を差し引いた利益を投資口の保有者に支払いますが、「J-REIT」と同じく利益の90%以上を分配すれば法人税が免除されます。

 一般的な上場株式や「J-REIT」と同じように、「インフラファンド」は証券会社を通じて購入することができます。しかし、日本初の「インフラファンド」である「タカラレーベン・インフラ投資法人 投資証券(9281)」が上場したのは2016年6月2日で、まだ登場して2年も経過していないのです。また、現時点で上場している「インフラファンド」は4銘柄しかなく、時価総額が小さいために機関投資家が本格的に購入できる状況ではありません。このように、まだ市場でも個人投資家でもほとんど注目されておらず、分配金利回りが高め(=投資口価格は安め)で推移しているのが現状です。

タカラレーベン・インフラ投資法人 投資証券(9281)の上場来の週足チャート2016年6月2日の上場後、一時は10万円を切るほど投資口価格は安め(=分配金利回りは高め)で推移している
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 上場している4銘柄の「インフラファンド」の2018年4月20日時点の分配金利回りは、5~6%という高い水準にあるので、たとえ増配をしなくても分配金による投資元本の回収が短い年数で実現します。例えば、分配金利回り6.25%の銘柄なら、税引き後で分配金利回り5.0%になるので、増配をしなくても20年で投資元本が回収できることになります。

 また、「インフラファンド」は現時点で高利回りであるだけでなく、利回りの安定度も抜群です。というのも、太陽光などの再生可能エネルギー源によって発電された電気は、2012年7月に始まった「固定価格買取制度」があるので、20年間、売電価格が固定されています。この「固定価格買取制度」のおかげで「インフラファンド」の収益は安定し、利回りの安定度も非常に高いのです。「インフラファンド」は安定した高利回りを望んでいる投資家に非常に向いている投資対象の一つと言えるでしょう。参考までに、いちごグリーンインフラ投資法人は、下記のように2026年までの分配金(+利益超過分配金)の予想を出しています。

いちごグリーンファンド投資法人(9282)の2026年までの分配金の予測※インフラファンド「いちごグリーンファンド投資法人」が公開している2026年までの分配金(+利益超過分配金を含む)の推移。2018年1月1日付で投資口1口につき、2口の投資口分割を実施しているため、2017年6月期については投資口の2分割を考慮し、実際の分配金を2で除した額を表示。なお、2017年6月期の実質的な運用期間は、7か月間。
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「インフラファンド」の利回りが高い秘密は、
減価償却の割合の高さによる「利益超過分配」!

 「インフラファンド」は、現状では以下の4銘柄が上場しています。

タカラレーベン・インフラ投資法人 投資証券 (9281)
いちごグリーンインフラ投資法人 投資証券 (9282)
日本再生可能エネルギーインフラ投資法人 投資証券 (9283)
カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人 投資証券 (9284)

 投資対象資産は「いちごグリーンインフラ投資法人」が「中小規模の発電量を有する太陽光発電施設を中心に投資を行う(中略)太陽光発電施設以外の再生可能エネルギー発電施設への投資に際しても、太陽光発電施設への投資に準じた検討」となっており、その他の3本は「太陽光発電設備等への投資割合90%以上(中略)それ以外の再エネ発電設備等への投資割合は10%以下」となっています。ただし、2018年4月現在の投資対象資産は、4本の「インフラファンド」すべてが日本国内の太陽光発電設備のみとなっています。

 「インフラファンド」が増資と借入によって資産規模を拡大し、利益成長を目指す点は「J-REIT」とほぼ同じです。ただし、「インフラファンド」が保有する資産のうち99%は「発電設備」で、これを約20年かけて減価償却していきます。そのため、賃貸料としてオペレーターから現金(キャッシュフロー)は入ってくるものの、実際には現金支出を伴わない「減価償却費」が多額の経費として計上されるため、結果的には利益(売上-経費)として計上される金額は、実際に入ってくる現金よりも大幅に少ない状態となります。

 そのため、現在は4銘柄の「インフラファンド」のすべてが「利益超過分配」を実施しています。つまり、会計上の「利益」だけでなく、「減価償却費」として「経費」に計上された一部を分配金に回しているのです。会計上の「利益」でなく、実際のキャッシュフローに基づいて、分配金を決定していると言い換えることもできます。

 また、予想以上に売電できた場合の変動賃料を分配として受け取ることができるので、安定した分配金に加えて、さらに上積みされる可能性もあります。

 「J-REIT」でも、保有する不動産の減価償却をしていますが、減価償却できるのは不動産の建物部分だけ(土地部分は減価償却できない)なので、「J-REIT」が保有するようなオフィスやマンションなどの土地代が高い物件では物件代に占める割合が低い一方、「インフラファンド」が保有する太陽光発電施設のような土地代が安い物件では減価償却の割合が高くなります。その分、「インフラファンド」のほうが手元に残るキャッシュフローが多くなり、「利益超過分配」も多くなるというわけです(※連載10回目で紹介した「マリモ地方創生リート投資法人(3470)」も同じ理屈で「利益超過分配」が多くなっています。そちらの解説も参考にしてください)。
【※連載10回目はこちら!】
高配当な「米国株」や「J-REIT」の魅力を分析!増配株投資で成功した投資家が実践する「米国株」と「J-REIT」を利用した「分散投資」の戦略を公開!

「インフラファンド」は「インフレに弱い」のは本当か!?
電気の「固定価格買取制度」のメリットとデメリットを解説!

 また、前述のように「インフラファンド」が保有する太陽光発電施設では、「固定価格買取制度」によって20年間の電気の買い取り価格が固定されています。実は、「インフラファンド」のポイントはここで、「電気の買い取り価格は、今後は徐々に下がっていくからダメだろう」「もう、有利な買い取り価格の施設を探すのは無理なんじゃないか」という疑念から、高利回りのまま(=投資口価格は安めのまま)になっているという一面もあるようです。

 確かに、電気の買い取り価格は年々下がっています、しかし、実は同時に発電設備の価格や発電コストも年々下がってきています。もし、今後さらに買い取り価格が値下がりしても、その値下がり分を吸収して、最終的には十分な利回りを確保できる物件を取得することで、現状の投資口の利回りを確保できます。つまり、今後も「インフラファンド」が高利回りの分配をできるかどうかは、いかに有利な物件を取得できるかどうかにかかっています。

 「インフラファンド」が成長するためには規模の拡大が必要であり、規模の拡大には増資と借入による資金調達がかかせません。しかし、せっかく調達した資金によって投資した発電施設の利回りが低ければ運用利回りも低下してしまいます。有利な発電設備を、地域分散させながら買い増すことができれば、将来にわたって安定した発電量を確保できます。そうすれば、安定した賃料を確保することができるので、運用利回りも安定します。このように規模を拡大していくことができれば、スケールメリットを生かすことができ、結果的に分配金を成長させていくことにつながるでしょう。

 一方で、有利なはずの「固定価格買取制度」で電力の買い取り価格が一定ということは、「インフラファンド」はインフレに弱いのではないか、という指摘があります。

 2013年に日銀は2%のインフレターゲットを導入しましたが、仮にこの目標通りに物価が上昇すれば、35年で物価は約2倍になるはずです。どんな投資でも物価上昇率を上回る利率で複利運用ができればインフレになっても問題がないはずです。現在、「インフラファンド」の利回りは5~6%超で推移しているので、税引き後でも4~4.8%超となります。この利回りが変わらないと仮定して分配金を再投資することを考えてみましょう。そうすると、「インフラファンド」に投資して4.5%の複利で運用した場合、16年で2倍、35年で4.7倍となって、物価上昇を大きく上回るので、「インフレに弱い」ということはなさそうです。

 また、インフレが進行する場合、その後に設定される電気の買い取り価格がインフレに対応したものであれば、既存の発電施設の買い取り価格は上がらなくても、その後に取得する発電施設の買い取り価格にはインフレが加味されるでしょう。

 とはいえ、実際に個人のポートフォリオに「インフラファンド」を組み入れる場合には、一般的に「インフレに強い」とされている株式や「J-REIT」と組み合わせて運用するのが理想的でしょう。

 なぜなら、「インフラファンド」にとっての天敵はなんといっても「金利の上昇」だからです。

 発電した電気を固定価格以上で売ることはできないので、売電収入をベースに賃料が決まっている「インフラファンド」は、金利が上がった場合には単純に利払い費用が増えるだけです。そして通常、景気回復や物価上昇があると、それに伴って金利も上がると考えられます。

 一般的な会社や「J-REIT」の場合は、物価が上昇する効果によって金利上昇のマイナス面が相殺されるか、上手くいけばプラスになる可能性もありますが、「インフラファンド」の場合はマイナス面しか発生しません。当然、「インフラファンド」側も借入金の金利を極力、長期で固定化しており、金利上昇に備えているようです。例えば、「いちごグリーンインフラ投資法人」などは、長期借入金はすべて金利スワップで固定化しているので、金利上昇の影響は限定的になるようです。

20年後にも分配金の「二重課税」を回避できるかどうかが
「インフラファンド」のもう一つの課題だが…

「インフラファンド」についてのもう一つの懸念は、「J-REIT」と同じように「税務上の導管性」が将来にわたって認められるかどうか、という点です。

 「J-REIT」の場合、「利益の90%以上を配当金に回すことによって法人課税を回避し、利子や配当課税などとの二重課税を回避する仕組み」が成立しています。この「二重課税を回避する仕組み」が「税務上の導管性」と呼ばれるものです。

 「インフラファンド」においても「J-REIT」と同じように「税務上の導管性」が認められていますが、現状は「平成29年3月31日までに再生可能エネルギー発電設備を取得した場合、これを最初に貸付けの用に供した日以後20年を経過した日までの間に終了する事業年度」までと決められています。つまり、20年を経過したあとも「インフラファンド」の「税務上の導管性」が認められるかどうかは不明で、その点が「インフラファンド」に投資するのを投資家が躊躇する要因となっているのかもしれません。

 しかし、国は2030年度に再生可能エネルギー(水力除く)の比率を、5倍程度に拡大させることを目指しています。また、その後も再生可能エネルギーの比率を拡大させることは地球規模での課題だと考えられますし、「インフラファンド」の拡大は課題解決に直結します。これらの理由で、私は20年を経過しても「インフラファンド」は「J-REIT」と同じように恒久的な「税務上の導管性」を確保できるのではないかと考えています(注:あくまで私個人の考えです)。

「インフラファンド」は、不況になれば有利になるメリットも。
時価総額が拡大して機関投資家が参入すればキャピタルゲインも?

 今回、「インフラファンド」を紹介してきましたが、存在自体を知らなかった読者の方も多かったのではないかと思います。それくらい投資家の注目を浴びていないこともあり、現在上場している「インフラファンド」はどの銘柄も時価総額がとても小さく、銀行や投信、保険などのいわゆる機関投資家の投資対象になっていません。しかし、どの「インフラファンド」も増資と借入による将来的な資産規模の拡大を目指しているので、将来的には機関投資家の投資対象となるだけの時価総額に成長できる可能性があります。それが何年先になるのかはわかりませんが、機関投資家が参入してきたときには「インフラファンド」は分配金によるインカムゲインだけでなく、キャピタルゲインも期待できるようになるかもしれません。

 そして最後に、「インフラファンド」の最大のメリットとして、「不況期の強さ」を挙げておきたいと思います。何度も紹介しているように、「インフラファンド」が保有する太陽光発電施設で発電された電気は「固定価格買取制度」によって、買い取り価格が固定されています。ですので、たとえ不況になって電力需要が減少しようとも、異常気象などで曇天が続かない限りは売上がある程度、確保できる仕組みになっています。

 さらに、不況下では金利が低下する可能性が高く、そうなれば確実に「インフラファンド」の金融費用が低減します。マーケットの状況によっては「インフラファンド」の投資口価格(=株価)が下落する可能性はありますが、現状の制度が大幅に改悪されない限り、不況でも業績的にダメージを受ける可能性はかなり低いと考えられます。配当や分配金を目的としたポートフォリオを組む場合、「インフラファンド」を組み入れることによって、不況や景気低迷に対するリスクヘッジとして機能することが期待できます。というのも、「インフラファンド」は「仕入れたものが必ず決まった値段で売れる」という、普通では考えられない商売をしているからです。

 というわけで、今回紹介してきた「インフラファンド」のポイントをまとめました。ただし、まだ上場して年数が浅いため、私の個人的な主観・見解が多分に含まれている点には十分に注意してください。

【ポイント①】
「インフラファンド」は、安定した高い利回りに加え、分配金の上積みが期待できる金融商品(ただし、増配銘柄のように毎年のように増配は期待できない)
【ポイント②】
分配金利回りがインフレ率を上回っている場合は「インフレ」になっても心配無用。ただし、金利上昇には弱いので、株や「J-REIT」など、インフレに強い資産と組み合わせよう!
【ポイント③】
「J-REIT」同様、永続的な「税務上の導管性」が確保できれば、長期的に高利回りを維持できる可能性が高い
【ポイント④】
増資と借入によって規模が大きくなり、時価総額が増えれば、機関投資家の参入でキャピタルゲインが期待できる可能性も!?
【ポイント⑤】
不況に強い「インフラファンド」は、配当金生活を目指す個人投資家の強い見方になりうる!

 さて、私は毎回、この連載で「読者のサラリーマンの方が、今と将来を豊かにするために、株式投資を活用するノウハウ」を書かせていただいているつもりです。しかし、「増配株投資」とか「元本を回収してリスクフリー」とか、はたして本当に出来るのか?という根強い疑問が残っている方も多いのではないでしょうか。次回は、そんな慎重派の読者の方々の疑問に答えます!
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