投資未経験者が抱える悩みで多いのは「時間がない」
「リスクを取りたくない」「家族の理解を得られない」の3つ!
こんにちは、個人投資家の立川です。
過去6回のこの連載で、「増配株投資」の有利性やリスクコントロールのしやすさなどを紹介させていただきました。しかし、ザイ・オンラインの読者の中には、株式投資に興味はあるけれど、あと一歩踏み出すのをためらっている方もいらっしゃることと思います。
そこで、今回からは「増配株投資」の実践編として、サラリーマン投資家が実際にどのように投資に取り組んでいくべきかを考えてみたいと思います。
私は自分が株式投資をしていることを周囲にオープンにしているので(もちろん資産額はナイショですので、知人は私のことを株主優待投資家だと思っているようです)、株式投資に興味をもって質問に来る人も少なくありません。しかし、質問に来た人のほとんどは、実際に株式投資に踏み切ることはありません。
投資をためらう理由を聞いてみると、ほとんどの場合の次の3点に悩まれているようです。
①投資に時間をかけたくない、または時間をかけられない
②大きなリスクを取りたくない
③投資に対する家族の理解を得るのが難しい
もちろん、貯金だけで資産形成を達成されている方もたくさんいらっしゃいますので、それなりの勉強とリスク管理が必要な株式投資を無理して行うことはありません。
しかし、株式投資だけが持つ有利な点と、多くの人が心配するリスクは誰でもコントロールが可能であることを理解せずに投資をためらうのは、非常にもったいないのではないでしょうか。
そこで、今回は「株式投資へ一歩踏み出そう」と題して、投資を始める際の問題点を一緒に考えてみましょう。
【問題点①】
投資に時間をかけたくない、または時間をかけられない
上場企業は4000社近くあり、さらに投資信託や海外の株式もネット証券で売買できる昨今、証券口座を開いた途端に数万単位の投資対象があなたが投資するのを待っています。その中から、リスクを抑えつつ、それなりのリターンを得られる投資対象をどうやって探したらよいのか、途方に暮れてしまう方も多いことでしょう。
しかし、当コラムで紹介している「増配株への投資」は、配当の推移が銘柄選びのポイントとなります。最もシンプルな増配株への分散投資なら、投資の検討段階では過去の配当額の推移を調べ、PERなどの指標が割高過ぎないものを選び(連載記事「第6回」を参照)、実際に投資したあとは配当推移を確認するだけです。
「増配株投資」の場合は、年に1~2回もらえる「配当」が目的となるので、日々の値動きに翻弄されることは少なくなり、勉強や銘柄選び、投資後のフォローにかかる手間や時間も最小限で済みます。
実際に「増配株投資」を始めてから、徐々に各種指標の見方や決算書の読み方なども少しずつ勉強していくと理想的ですが、まずは増配株への投資を続けるだけでもいいでしょう。
実は各種指標の見方や決算書の読み方などは、中学校卒業程度の数学を理解できていれば、ほんの少し時間を費やすだけで理解できるようになります。まずはシンプルに増配株への投資を始めて、いずれ時間に余裕がでてきたり、もっと興味が湧いてきたりしてから勉強を始めても決して遅くありません。
【問題点②】
大きなリスクを取りたくない
残念ながら、株式投資に絶対はありません。どんなに優れた会社の株に投資しようとも、株価の値下がりリスクや会社の倒産リスクはゼロにはできません。これは、かつて一流と言われた大企業が悲惨な状況になっている昨今の事例を見ても明らかですし、大きな問題を起こしていなくても株式相場の大きな流れに巻き込まれて一時的に株価が低迷することもあります。
このように、株式投資をする限り、リスクを「ゼロ」にすることはできません。ただし、リスクを背負わなければリターンを得ることは不可能です。そこで考えるべきことは、「大きなリスクを取りすぎない」ということと、「取るリスクをできるだけ小さくする」ということです。
ある会社が配当を出すためには、配当実施後でも企業活動の継続に必要な十分なキャッシュが十分になくてはなりませんし、増配し続けるには増益を継続できる優れたビジネスを持つ企業でないと無理です(連載記事「第2回」を参照)。つまり、増配株を選ぶ、ただそれだけでリスクはグッと小さくなり、時を経て投資元本が回収できればリスクフリーにすることもできるのです。
そして、「大きなリスクを取りすぎない」ためには、資産に対する株式のウェイトを小さめにスタートすることが大切です。
さらに、「取るリスクをできるだけ小さくする」ためには、 「複数の銘柄に分散」して「時間を味方につける」ことが重要になります。
連載記事「第4回」の「増配株への分散投資は、預貯金よりもリスクが低い? 配当金だけで投資元本を回収できる期間が短くなり、元本回収後はリスクフリーで高い配当金がもらえる!」で紹介したとおり、やり方を工夫することによって「増配株投資」は預貯金よりもリスクを小さくすることができます。また、「時間を味方につける」ことによって、配当や株主優待で元本を回収しリスクフリーを目指すことが可能になるのです。
【問題点③】
株式投資に対する家族の理解が得るのが難しい
日本では、株式投資で資産形成をするということはまだまだ一般的ではなく、どれだけリスクを抑えた投資手法を実践しても、ギャンブルのように捉えられることもしばしばです。
確かに、株価は日々変動するため、時価評価額が増減します。そして、それを利用して短期間で利益を得ようとして、無謀な取引を行った結果、逆にお金を減らしてしまう人も数多くいるのは確かです。
しかし、これまでの連載記事で紹介してきたとおり、株式投資は長期的に取り組むことで非常に有利な資産形成手段となります。あなたが堂々と株式投資を始めるためには、株式投資が家族の将来に役立つことをあなた以外の家族に理解してもらう必要があります。
家族の理解を得る方法として、「株主優待」に勝るものを私は見たことがありません。例えば、100円ショップを展開するワッツ(2735)の自社商品や、CDG(2487)のボックスティッシュが株主優待で届くのを初めて見たとき、私の実家の女性陣は「え? これがタダで送られてくるの?」と大喜びしていたことを今でも覚えています。
(※「株主優待銘柄」の例として「ワッツ(2735)」と「CDG(2487)」を挙げましたが、私個人がこれらの銘柄への投資を推奨するものではありません)
増配をしている株主優待株を保有して、株式投資に興味をもってもらうことで、家族の株式投資への理解に要する時間を短縮することができると思います。
誰でも初対面の人と会うときは警戒しますが、共通の知人や趣味があれば、仲良くなるまでの時間を短縮することが可能になります。株式投資も同じく、まずは興味を持ってもらうことが大切です。短時間で興味をもってもらうために、最も単純で役立つのが「株主優待」なのです。一度、理解を示してくれればしめたもの、あとはあなたが株式投資に取り組んで、株式投資が家族の将来のための資産形成に大いに役立つことを立証するだけです。実績を上げれば、家族は徐々に理解してくれることでしょう。
投資にかかる時間は想像しているほど長くなく、リスクも十分にコントロールすることができ、家族の理解を得ることもできそう……ということで、いよいよ株式投資に対する迷いが吹っ切れたら、まずは実際に1銘柄か2銘柄買って見ましょう。
私はリスクを抑えるために「増配株投資」を推奨していますが、もし「増配株」にピンとくる会社がない場合は、とにかく自分の好きな銘柄を買って見るのもいいかもしれません。買ったあとは、毎日株価が変動すること、自分の資産が増減するということに慣れましょう。そして、配当や株主優待をもらうとはどういうことかを実感することから株式投資がスタートします。
3つの悩みを一挙に解決できる、株主優待が魅力的な増配株を紹介!
「QUOカード」+「選べるギフト」で、高利回り&家族も喜ぶ!
最後に、今回紹介した3つの悩みを一度に解決できそうな参考銘柄を一つ紹介いたします。いつものことですが、あくまでも一例で、私が投資を推奨するものではありません。
日本コンセプト(9386)は、タンクコンテナを用いた化学品、薬品、食品材料などの液体物流サービスを提供している会社です。
10月23日現在の株価1250円に対して、一株当たりの予想配当が30円ですので、100株の保有で2390円(税引後)の配当がもらえます。
この配当が続くとすると、以下の計算で元本の回収時期がわかります。
12万5000円÷2390円=51.7
つまり、配当で元を取るのに52年の時間がかかります。しかし、1年以上にわたって保有すれば、1000円のQUOカードが株主優待でもらえるので、これを加味すると元を取るのにかかる時間は37年まで短くなります。
12万5000円÷(2390+1000)=36.5
さらに日本コンセプトは以下のように結構な勢いで増配をしており、今後も長期的に増配する可能性が高いでしょう。今までよりも緩やかなペースであっても、増配を継続すれば10年~20年で元が取れてしまいます。増配傾向にはありますが、連続増配をしていないので、「増配株ランキング」などで注目されることもなく、株価も予想PER13倍程度と割安水準にあります。
■日本コンセプト(9386)の配当金の推移 | |||||||||
基準月 | 2009年 12月 |
2010年 12月 |
2011年 12月 |
2012年 12月 |
2013年 12月 |
2014年 12月 |
2015年 12月 |
2016年 12月 |
2017年 12月 (予想) |
配当金額 (税引前) |
3.33円 | 3.33円 | 3.33円 | 10.00円 | 10.00円 | 18.00円 | 20.00円 | 30.00円 | 30.00円 |
※株式分割考慮後の配当金額 |
また、QUOカードに加えて、中間期末の株主優待として2000円分の選べるギフトがあるので、家族の株式投資への理解も得やすいでしょう。このように増配+QUOカードの株主優待で元本の回収がしやすく、さらに選べるギフトによって家族の理解も得られやすいという都合のよい銘柄をいくつか探して分散投資をすれば、リスクを最小限に(上手く行けばリスクフリーに!)抑えて資産形成ができてしまうのです。
それでは、今回の内容のおさらいをしてみましょう。
【ポイント①】
「増配株投資」はサラリーマンに無理のない時間で実践でき、そこで得た知識は一生、役に立つ。
【ポイント②】
リスクを小さくするには、「資産に対する株式のウェイト」と「銘柄の分散」でコントロール可能。
【ポイント③】
「百聞は一見に如かず」で、説明を100回するよりも、一度、魅力的な株主優待が届くほうが家族は納得しやすい。
次回は、「増配株投資」を実践するために証券会社をお得に利用する方法と、サラリーマンがどのように投資に取り組めばいいか、具体的なプランを解説します。どうぞお楽しみに!
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⇒株の配当金で暮らす生活も実現可能な投資術を公開! 株の配当が増え続ける会社を選んで投資するだけで、1億5000万円の資産を築いた会社員の投資法を紹介
個人投資家・立川 一(たちかわ はじめ)さん
(『Value Investment since 2004 長期に配当収入増加と資産形成を目指す立川一の投資日記』:https://vis2004.blog.fc2.com/)
40代のサラリーマン投資家。中学生のころから株に興味を持ち、2004年から本格的に株式投資を開始。バフェットの本に影響を受け、最初はバリュー投資からスタートしたが、次第に増配株のメリットに気がつき、現在の投資手法を確立する。趣味である楽器演奏の腕前はかなりのもので、週末にはライブ活動も行っているとか。
■「『夢の配当金生活』実現メソッド」バックナンバー
【第1回】
⇒年収500万円以下のサラリーマンが、投資歴13年で資産1億5000万円、年間配当収入300万円を実現!成功のカギは「増配銘柄への投資」を発見したこと!
【第2回】
⇒定期預金の金利より「株の配当」は数百倍もお得!増配銘柄を選べば、自動的に株価下落リスクが低く、優れたビジネスモデルの超優秀な銘柄に投資できる!
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⇒増配株は「元本が増える銀行預金」「部屋数が増えるアパート」のようなもの! 追加投資をしなくても配当が増え、価値も上がる「増配株」のスゴさとは?
【第4回】
⇒増配株への分散投資は、預貯金よりもリスクが低い?配当金だけで投資元本を回収できる期間が短くなり、元本回収後はリスクフリーで高い配当金がもらえる!
【第5回】
⇒「株主優待」の有効活用は「配当金生活」への近道!配当だけでなく株主優待にも注目すれば、投資元本は15年以内で回収できて、リスク管理がパワーアップ!
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【第17回】
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【第18回】
⇒「資産運用」は、40~50代から始めても遅くない!40~50代が定年退職や老後に備えて「増配株投資」で資産運用するメリットと注意点をわかりやすく解説!
【第19回】
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【第23回】
⇒「増配株投資」は“コストパフォーマンス”が高い投資法なのか? 投資に必要な「手間」や「時間」を、「配当金」で回収できるかどうかをシミュレーションして検証!
【第24回】
⇒賢い「お金の貯め方&使い方」を“億超え”サラリーマン投資家が伝授! 若いうちにもっとも重視すべきなのは「経験」でも「節約・貯金」でもなく「株式投資」!
【第25回】
⇒「東証インフラファンド指数」の登場で、インフラファンドの出来高急増&投資口価格の上昇も!? 指数連動型の投資信託の設定や機関投資家の参入に実現に期待!
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0円/日 | 36本 | ○ (米国株CFD) |
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【SBIネオトレード証券のおすすめポイント】 以前はライブスター証券だったが、2021年1月から現在の名称に。売買手数料を見ると、1日定額プランなら1日100万円まで無料。1日100万円超の価格帯でも大手ネット証券より割安だ。そのうえ信用取引の売買手数料が完全無料と、すべての手数料プランにおいてトップレベルの安さを誇る。そのお得さは株主優待名人・桐谷さんのお墨付き。2023年10月に新取引ツール「NEOTRADER」が登場。PC版は板情報を利用した高速発注や特殊注文、多彩な気配情報、チャート表示などオールインワンの高機能ツールに仕上がっている。また「NEOTRADER」のスマホアプリ版もリリースされた。低コストで日本株(現物・信用)やCFDをアクティブにトレードしたい人におすすめ。また、売買頻度の少ない初心者や中長期の投資家にとっても、新NISA対応や低コストな個性派投資信託の取り扱いがあり、おすすめの証券会社と言える。 |
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※手数料などの情報は定期的に見直しを行っていますが、更新の関係で最新の情報と異なる場合があります。最新情報は各証券会社の公式サイトをご確認ください。売買手数料は、1回の注文が複数の約定に分かれた場合、同一日であれば約定代金を合算し、1回の注文として計算します。投資信託の取扱数は、各証券会社の投資信託の検索機能をもとに計測しており、実際の購入可能本数と異なる場合が場合があります。 |
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