つみたてNISA(積立NISA)おすすめ比較&徹底解説[2019年]
2018年9月4日 深野 康彦

「つみたてNISA」で準備していいのは「教育資金」、
ダメなのは「住宅資金」! 何かとお金が必要な30代・
40代の「つみたてNISA」の上手な活用方法を解説!

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 以前のこの連載で、50代以降の「つみたてNISA(積立型の少額投資非課税制度)」の活用法についてお話しました。今回は、いわゆる働き盛りで教育費や住宅取得費などの資金準備が必要な30代や40代の人が、「つみたてNISA」とどのように付き合うべきか、考えていきましょう。

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30代・40代が「つみたてNISA」での運用を成功に導くには
まずは預貯金をしっかり確保しておくのが重要!

 30代から40代にかけては、子供の入学・進学や住宅購入などライフイベントが多く、何かとお金が必要になる時期です。それらの資金準備に「つみたてNISA」を活用したいという人も多いでしょう。一方で、40代後半ともなれば老後資金もそろそろ気になり始める頃です。

 そんな30代、40代の人たちは「つみたてNISA」をどう利用すればいいでしょうか。「iDeCo(個人型確定拠出年金)」とは、どちらを優先すべきでしょうか。また、「つみたてNISA」を利用するとしたらどんな商品に投資すればいいでしょうか。

 ただし、こうしたことを考える前に、まず強調しておきたい重要なポイントがあります。それは、十分な現預金がない人は、「つみたてNISA」や「iDeCo」も含めて、あらゆる投資は行わないでください、ということです。

 これまでにも何度かお話してきましたが、投資を始めるのは、最低でも生活費4カ月分の預貯金を確保してからにしましょう。「4カ月分」の根拠は、自己都合で会社を退職した場合、失業保険の給付が始まるのが約4カ月後だからです。これはあくまで最低限の「生活費」であり、ライフイベント資金や非常時への備えなどを考えると、30代・40代なら6カ月分以上はあったほうが安心です。

 預貯金などの安全資産をしっかり確保しておくことは、「つみたてNISA」のような長期投資をより成功に近づけるための“保険”にもなります

 たとえば、何らかの資金が急に必要になったとします。「つみたてNISA」で積み立てている資産を売却すれば資金を得られますが、そのときのマーケットの状況が思わしくなくて、含み損になっているかもしれません。そうした場合に、ある程度の預貯金があれば、含み損の「つみたてNISA」には手を付けず、マーケットの回復を待つという選択肢を持てるからです。

 投資している資産をなるべくいい時期に売却するためにも、預貯金などをしっかり確保しておくのが大切なのです。これは30代や40代に限らず、すべての方にあらためて意識しておいてほしいポイントです。

「つみたてNISA」は“近い将来”に
必要な資金の準備には向いていない

 上で述べたことは、実はライフイベント資金の準備のために「つみたてNISA」をどう活用すべきかを考えるうえでも重要です。「つみたてNISA」は、いつでも現金化して引き出せるのがメリットですが、資金準備の手段として万能というわけではありません。資金が必要なときに合わせてマーケットが動いてくれるわけではないからです。今の株価は好調ですが、これがいつまで続くかはわかりません。

 「つみたてNISA」では、積立投資という形で「時間分散」を効かせ、マーケットの変動のリスクを吸収することができます。しかし、この「時間分散」が効果を発揮するためには、ある程度の投資期間が必要です。投資に“絶対”はありませんが、10年くらい積立投資を続ければ、仮にマーケットが悪化して一時的に元本割れとなっても、いずれ回復して取り戻せる可能性が高くなります。

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 逆に言うと、期間が短いほど「時間分散」の効果が得にくく、「つみたてNISA」で資金を準備するのは難しくなります。つまり、これから2~3年以内など“近い将来”のライフイベントの資金作りには、「つみたてNISA」という制度は基本的に向いていないのです。近い将来のライフイベントについては安全確実な預貯金などで資金を準備し、まだ時間的な余裕が十分にあって 長い準備期間が取れるライフイベントであれば「つみたてNISA」を活用する、といった使い分けが必要です。

「つみたてNISA」は「教育資金」の準備におすすめ!
一方で「住宅取得費」を作るのには向かない

 もう少し具体的に、ライフイベントごとの「つみたてNISA」の向き・不向きを考えてみましょう。

 「人生の3大資金」とよく言われるのが、「教育」「住宅」「老後」のための資金です。このうち、30代や40代にとって切実なのは、教育資金と住宅取得資金でしょう。

 私は、教育資金の準備には「つみたてNISA」が活用できると考えています。その理由は、デフレ脱却がなかなか見えない状況にあっても、子供の教育費用、特に大学の学費は上昇傾向が続いているからです。文部科学省のデータによれば、30年前と比べた大学初年度の入学金や授業料の合計は、公立大学では約1.6倍、公立に比べてもともと学費の高い私立大学でも約1.4倍に増えています。

 つまり、教育資金ではインフレリスクに対応することが重要です。ただし、教育資金のベースは学資保険や預貯金で作ったうえで、「つみたてNISA」は“プラスα”で活用するのがよいでしょう。なぜなら、子供の教育費は使う時期が決まっているのに対して、そのときに必ずしもマーケットがいい状況にあるとは限らないからです。学資保険や預貯金は物価上昇には弱いので、「つみたてNISA」でその部分を補完するという考え方です。

 なお、積立投資が安定性を発揮する期間を考えると、「つみたてNISA」で教育資金を準備する場合でも、10年以上先を目標にしたいところです。したがって、すでに子どもが生まれている場合は私立小学校の“お受験”などに「つみたてNISA」で備えるのは厳しく、高校や大学進学などの資金を準備するのが向いていると言えます。

 また、たとえば「つみたてNISA」で積立投資を始めて3~4年ほどで非常に運用がうまくいっているような状況なら、子供の教育費が必要になる時期を待たずに、利益確定することも考えましょう。売却するタイミングで迷うなら、一部を利益確定するといいでしょう。これは教育費に限らず、他のライフイベントのための準備資金であっても同様です。

 一方、住宅取得資金を「つみたてNISA」で準備することはおすすめしません。住宅資金で一度に大きな金額が必要となるのは頭金ですが、頭金を長い時間をかけて準備することは考えにくいからです。頭金を準備する期間は多くの人が10年未満ではないかと思いますが、それでは投資期間として短く、リスクが大きくなります

 仮に、20代の早いうちから積み立てを始めていれば別かもしれませんが、30代や40代になってから「つみたてNISA」で住宅取得資金を作るというのは現実的ではありません。住宅取得資金は、利回りは低くても確実性の高い、定期預金などで準備するのが基本です。

「つみたてNISA」と「iDeCo」はどちらを優先すべき?
“これから必要なお金”をよく考えるのが重要

 3大資金の残る一つ、老後資金についてはどうでしょうか。老後への備えの重要度が高いのは間違いありません。そして、掛金が全額所得控除になるという節税メリットを考えると、老後資金を作るという目的なら「iDeCo」が有利なのも確かです。

 しかし、30代や40代の人にとっては、必ずしも「iDeCo」最優先が正解ではないと私は考えています。

 「老後」は、どんな人でも絶対に訪れるイベントですが、30代・40代では、その前に来るさまざまなライフイベントのための資金が必要になります。教育資金や住宅取得資金だけではありません。たとえば、人によっては「起業したい」「転職したい」ということもあるかもしれません。

 もちろん、老後資金の準備も重要ですが、より目先のお金が必要なのであれば、そちらを優先しなければなりません。まずは、「わが家のライフプラン」「わが家のライフイベント」をいま一度考えて、これから何に、どのくらいのお金が必要になるのか把握していただきたいと思います。

 ライフプランがすでに固まっていて、目先の資金準備のめどがついているという人は、「iDeCo」を優先しても、あるいは「iDeCo」と「つみたてNISA」を併用しても構いません。しかし、資金準備に不安がある人や、またライフプランに不確定要素が多い人は、「iDeCo」より「つみたてNISA」のほうが使い勝手はいいと考えます。

 なぜなら、「iDeCo」は60歳まで引き出すことが一切できないからです。前述のとおり「つみたてNISA」でも、マーケットの状況が悪いときにはできるだけ解約すべきではありませんが、もし手元の資金だけではどうしても足りないという場合は、最悪、損をしてでも現金化することが可能です。一方「iDeCo」ではそうはいきません。

 現実には、30代や40代ではまだライフプランが定まっていないことも多いと思います。そうした人は、いざというときに引き出せるという資金の「流動性」を重視すべきです。

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30代・40代が「つみたてNISA」で選ぶ商品は
基本的には「株式100%型」で問題なし!

 最後に、30代・40代が「つみたてNISA」を活用する場合の商品選びについて考えてみましょう。「つみたてNISA」で購入できるのは、「株式100%型」か「バランス型」の投資信託ですが、どちらのタイプを選ぶのがいいでしょうか。

 一般論として、30代や40代であれば長い投資期間を取れるので、相対的にリスク許容度が高く、また資産全体に占める投資資産の割合もそれほど高くはないと考えられます。したがって、「株式100%型」の商品を選んで問題はないと思います。ただし、「つみたてNISA」以外にも投資をしていて、それなりの残高が積み上がっているという人は、「バランス型」を選んで、リスクを過度に取らないようにしたほうがいいでしょう。

 30代や40代の人は、多くの資金が必要だからこそ、マネープランの“基本”をあらためて意識してほしいと思います。投資だけで何とかしようせず、預貯金とのバランスを取ること、そして投資する場合は長期で運用することが重要です。そうした基本を踏まえれば、節税効果を得ながら積立投資ができて、いざとなったら現金化しやすいという「つみたてNISA」のメリットが生かせます。「つみたてNISA」を上手に活用して、厳しい時期を乗り切りましょう。

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(構成:肥後紀子)

深野康彦(ふかの・やすひこ)[ファイナンシャルプランナー]
ファイナンシャルリサーチ代表。AFP、1級ファイナンシャルプランニング技能士。クレジット会社勤務を3年間経て1989年4月に独立系FP会社に入社。1996年1月に独立し、現職。あらゆるマネー商品に精通し、わかりやすい解説に定評がある。主な著書に『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない』『ジュニアNISA入門』(ダイヤモンド社)など多数。