最下層からの成り上がり投資術!
【第8回】 2012年6月4日 藤井 英敏

この相場で「落ちてくるナイフ」をつかんだらダメ。
「地面にささったナイフを抜く」が賢明な投資家だ!

 とうとう、円相場の高止まりや世界的な景気不安を背景に、TOPIXは1983年以来、28年ぶりの安値水準になりました。

 6月4日前場、一時692.26ポイントまで下落し、節目の700を下回りました。取引時間中の700ポイント割れは2009年3月12日以来約3年3カ月ぶりで、バブル後の安値を下回りました。

 日経平均株価(日足)緑が5日、赤が25日、青が75日移動平均線(出所:株マップ.com

  相場格言に「落ちてくるナイフはつかむな」というものがあります。成り上がりたいなら、この格言を忠実に実行するべきです。

「秩序の崩壊」止まるまでは市場は落ち付かない

 相場が下降トレンドを鮮明にしている時、値ごろ感とか、さすがにこの水準は割安とかいって、下がってきた株を絶好の押し目と信じて買う投資家がいます。成り上がりたいのなら、このような恐ろしい投資行動は厳に慎むべきです。

 金融恐慌が起これば、PERが何倍だから割安とか、PBR何倍だから売られ過ぎだとか、眠たいことをいっても意味がないのです。また、騰落レシオが70%を割っただの、移動平均線からこれだけマイナス乖離しているとか、という類の話も一緒です。そんなものは、市場が比較的落ち着いているときに機能する判断材料なのです。

 現在のように、どっかの国がデフォルトするとかしないとか、どっかの国の金融システムが崩壊するかもしれません、なんてことが、まことしやかに囁かれている状況で、株価指標やテクニカルで相場を語っても、あまり意味がないと思います。

 金融恐慌とはすなわち、これまでの秩序の崩壊です。その崩壊がきっちりと食いとめられるという確証を得るまでは、市場の動揺は収まることはないでしょう。

 格言にあるように、落ちてくるナイフを素手でつかんだら、大怪我をする可能性が高いのです。ですから、賢明な投資家は、ナイフが、地面に突き刺さったことを確認したあとでゆっくりと、安全な柄の部分を持って、ナイフを地面から抜けばいいのです。

水は高きから低きに、お金は不便なものから便利なものへと流れる

 具体的には、25日移動平均ベースのボリンジャーバンドのマイナス2σが下降から横ばいに転じて、マイナス1σを上抜けたことを確認してから、買いに動けばいいのです。

 落ちてくるナイフをつかもうとする心理は、おそらく、最安値・底値で買いたいという欲だと思います。

 しかし、成り上がりたいなら、そのような大それたことは望むべきではありません。私には、最安値・底値で、買う能力はないと潔く諦めるべきです。最安値・底値は神のみぞ知ると、謙虚であるべきだと思います。

 現金を腐るほど持っていて、仮に、落ちてくるナイフをつかんでも全く問題ない投資家は別です。しかし、現在、現金を大して持っておらず、株式投資で成り上がりたいのなら、リスクは極力抑えるべきです。

 基本的には、水は高いところから低いところに流れます。お金も同様です。不便なものから、便利なものに通常は流れるのです。つまり、便利な現金から不便な株に流れるには、「株に換えたほうが儲かる」という動機がないと、普通の投資家は、株にしようとはしません。

 逆に、下げ相場になると、投資家は、「このまま株にしていたら、投資元本が溶けてしまう」という恐怖感を背景に、不便な株から便利な現金へ、マッハのスピードで、換えるのです。不便なものから便利なものに換える行為は普通ですので、そのスピードは相当速いのです。

 そのような状態で、値ごろ感とか、割安とかいって下がってきた株を押し目と信じて買う行為は、明らかに愚かだと思います。

 これは、評価損を抱えて、スヤスヤ眠ることと、同じくらいやってはいけないことだと思います。とにかく、リスクを抑えてチャンスを虎視眈々と狙う。成り上がるためには、それが最も重要なのです。