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米国やイスラエルからの攻撃に対して、イランがホルムズ海峡の
閉鎖を宣言したことで、今後は原油価格が高騰する可能性も
2月28日(現地時間)、イスラエル国防相はイランを攻撃したことを発表。同日、米国のトランプ大統領もイランに対して軍事攻撃を開始したことを明らかにしました。
米国防総省は今回の作戦名を「エピック・フューリー(壮絶な怒り)」としています。攻撃は数カ月前から計画され、数週間前には決行日が決まっていたそうです。今回の攻撃は、イラン国内の革命を支援し、内側から体制を転換させることが最大の目的だと見られます。
トランプ大統領は2月28日、自身のSNSへの投稿で、イランの最高指導者ハメネイ師が死亡したことを明らかにしたうえで、「我々の目標達成に必要な限り、途切れることなく続けられるだろう」と説明し、攻撃継続の可能性を示唆。さらに「イラン攻撃を長期化させてすべてを掌握することも2〜3日で終結させることも可能」と述べ、複数の「出口戦略」があることを示しました。
一方、イランの精鋭部隊「イスラム革命防衛隊(IRGC)」の司令官は3月2日、ホルムズ海峡を閉鎖したと明らかにし、同海峡を通過しようとする船舶は「炎上させる」と警告しました。
ホルムズ海峡は、ペルシャ湾とオマーン湾、アラビア海を経由する航路を結ぶ、世界で最も重要視される要衝のひとつで、北米、欧州、アジアへの石油・天然ガスの輸送路として重要な役割を担っています。日本に関しても、原油の9割超を中東からの輸入に依存しており、その大部分がホルムズ海峡を経由します。
そのホルムズ海峡が封鎖されたことで、原油価格が高騰し、ガソリン価格や電気・ガス代が跳ね上がる可能性が懸念されています。ただし高市首相は、日本の石油備蓄が現状で254日分あることを明らかにしており、1970年代に2度発生した「オイルショック」のような経済的な混乱が直ちに起こる可能性は低いでしょう。
なお、カタールの国営エネルギー会社カタール・エナジーは3月2日、操業中の施設がイランからの軍事攻撃を受けたことを理由に、液化天然ガス(LNG)と随伴ガスの生産を停止したと発表しました。このため、欧州の天然ガス価格は急騰しました。これは欧州経済にはネガティブ材料です。
ただ、日本は世界有数のLNG輸入国ではあるものの、欧州のように直接的な大打撃は受けにくい構造となっています。というのは、日本のLNG輸入の7〜8割は原油価格連動型の長期契約(主に豪州・マレーシア・米国など)で、スポット市場の価格変動が直接的に電気・ガス料金に跳ね返りにくくなっているからです。また、LNG輸入の最大供給国はシェア約4割を占める豪州で、中東(カタール・UAE・オマーンなど)は約1割と、全体に占める割合は高くありません。
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トランプ大統領が「4週間ほど」との見通しを明らかにするように、
イランに対する軍事作戦が長期化するリスクは低い
今後のイラン情勢ですが、現時点において、トランプ大統領がイランの体制転換のために大規模な地上部隊を派遣する可能性は低いという見方が大勢です。というのは、米国のヘグセス国防長官が3月2日に開いた記者会見で「終わりなき戦争ではない」と述べ、現時点でのイランへの地上部隊派遣を否定したからです。
ただし、トランプ大統領は3月2日、ニューヨーク・ポストのインタビューで、地上部隊の派遣の可能性について、必要であれば排除しない姿勢を示しています。よって、確率は相当低いでしょうが、戦況次第では、地上部隊派遣もあり得ると見ておく必要があります。
一方のイランでは、年明け前後に、経済の崩壊が悪化の一途をたどっていることを主因として、政府の権力基盤を脅かすような大規模な抗議デモが発生しました。このように政権が市民の支持を失った状況では、戦争を長期間にわたって継続する力はなさそうです。
さらに、イランはミサイル在庫や軍事能力が急速に劣化していると見られ、米軍の作戦遂行能力の高さもあり、イラン軍は早期に無力化される見込みです。つまり、短期間でイランの戦略的脅威は大幅に低下する可能性が高いと見られます。
よって、米国の思惑通りにイラン国民による政権転覆が起こるかどうかは不明ですが、私は、武力衝突自体は極めて短期間で終結すると考えています。ちなみにトランプ大統領は、イランに対する軍事作戦について「4週間ほど続く」との見通しを示しています。
米国市場では、原油高で消費関連株や景気敏感株が売られる一方、
原油高の影響が限定的なハイテク株は底堅い値動きに!
このような状況を受け、週明け3月2日のNYダウは続落し、終値は前週末比73.14ドル(0.14%)安の4万8904.78ドルでした。この日は、中東情勢の緊迫化を受けて一時599.96ドル安まで売られましたが、その後は下げ幅を縮めました。一方、ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反発し、終値は同80.65ポイント(0.35%)高の2万2748.86ポイントでした。
NYダウチャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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ナスダック総合株価指数チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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また、NY原油先物相場は大幅に続伸。3月2日のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物の期近の4月物は、前週末比4.21ドル(6.3%)高の1バレル=71.23ドルで取引を終えました。
原油(WTI原油先物)チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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この原油高がインフレや消費減退につながるとの懸念から、株式市場では消費関連株や景気敏感株への売り圧力が強まりました。一方、原油高の影響が限定的なハイテク株は底堅さを発揮しています。
日本株は高市政権への期待感から底堅く推移する可能性もあるが
25日移動平均線を割り込めば「弱気」に転じる必要も
今後の日本株については、中東の地政学リスクの高まりを主な要因に、上値の重い展開を想定しています。ただし、高市政権による財政拡張的な政策への期待があるため、下値では押し目買いが入る「底堅い動き」をイメージしています。
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ただし、テクニカル的には、3月3日の日経平均株価は前日比1778.19円(3.06%)安の5万6279.05円と、25日移動平均線(3月3日時点で5万5890.70円)は上回っていましたが、3日の19時すぎには一時、日経平均先物が5万4000円を割り込みました。明日4日の日経平均株価が明確に25日移動平均線を割ってくるようだと「弱気」に転じることも考えておく必要がありそうです。
日経平均株価チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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物色面では、ホルムズ海峡の閉鎖による原油高や地政学リスクの高まりを背景に、原油高・資源価格高で売上増・在庫評価益が期待される「石油・資源」関連銘柄や、防衛意識の高まりと予算増への期待が好感される「防衛」関連銘柄、タンカー運賃の高騰期待が高まる「海運」関連銘柄が選好されると見ています。
具体的には、以下の銘柄などが挙げられます。
■「石油・資源」関連銘柄
・石油資源開発(1662)
・ENEOSホールディングス(5020)
・出光興産(5019)
・コスモエネルギーホールディングス(5021)
・INPEX(1605)
・三菱マテリアル(5711)
・住友金属鉱山(5713)
・JX金属(5016)
・日鉄鉱業(1515)
・三井金属(5706)
・DOWAホールディングス(5714)
・大阪チタニウムテクノロジーズ(5726)
・東邦チタニウム(5727)
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■「防衛」関連銘柄
・三菱重工業(7011)
・川崎重工業(7012)
・三菱電機(6503)
・IHI(7013)
・新明和工業(7224)
・日本製鋼所(5631)
・豊和工業(6203)
・石川製作所(6208)
・日本アビオニクス(6946)
・カーリット(4275)
・理経(8226)
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■「海運」関連銘柄
・日本郵船(9101)
・商船三井(9104)
・川崎汽船(9107)
・共栄タンカー(9130)
・飯野海運(9119)
・明海グループ(9115)
中東情勢が緊迫化している間は、これらの銘柄群に投資資金が逃避・集中することで全面安が回避され、株価指数自体は底堅く推移する可能性が高いと見ています。
ただし、地政学リスクの高まりは、リスクアセットである株式の売り材料です。このため当面はリスク管理を平時よりも厳格にして、慎重な運用を心掛けることをおすすめします。
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