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COP28でEUが「化石燃料の段階的廃止」の合意を求めるなど、
世界中で化石燃料から再生可能燃料へのシフトを加速する動きが顕在化!
国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(UNFCCC COP28)が11月30日からアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催されます。その会議において、欧州連合(EU)は化石燃料の段階的廃止の合意を求めると、10月半ばに開催したEU理事会で決定しています。
2023の5月に開催した主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)では、石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料全般を段階的に廃止していくことで合意しました。今回EUは、G7での主張を踏まえ、COP28においても化石燃料全般の段階的に廃止について合意を求めることになります。
こうしたEUの思惑もあり、今回のCOP28では「化石燃料をどう減らすか」「再生可能エネルギーの拡大策」「気候変動の影響を受けやすい途上国の支援」などが主要な議題になると見られています。
一方、9月半ばにインド・ニューデリーで開催された主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)では、世界全体の再生可能エネルギーの設備容量を2030年までに3倍にすることを盛り込んだ首脳宣言を採択しました。
世界中で異常気象や自然災害が問題になる一方、緊迫するイスラエル・パレスチナ情勢やロシアのウクライナ侵攻などに伴い、エネルギー危機のリスクが顕在化しています。化石燃料の使用を大幅に削減しない限り、国連の目標は実現できないと見られることからも、化石燃料の代替として「再生可能エネルギー」関連への関心が高まることになるでしょう。
地下のマグマなどの熱を利用して発電する「地熱発電」が、
安定供給可能な再生可能エネルギーとして注目を集める
そんな「再生可能エネルギー」のなかでも、最近注目を集めているのが「地熱」です。太陽光や風力が季節や天候の影響を受けやすいというデメリットがあるのに対し、地熱は年間を通じて安定的に発電可能な資源として期待されています。
日本は石油などのエネルギー資源は期待できませんが、地熱資源量は豊富です。エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の資料によると、世界各国の主な地熱資源量のランキングで第1位の米国、第2位のインドネシアに次いで、日本が第3位となっています。
ただ、世界第3位を誇る地熱資源のうち、現在は2%ほどしか発電に利用されていません。日本で地熱発電の開発が進まない要因としては、(1)掘削成功率が低く開発コストが高い、(2)リードタイムが長い、(3)温泉地に近いため地域の理解が必要、などが挙げられるようです。
一方、世界に目を向けると地熱発電の利用が広がっています。東アフリカのケニアでは地熱利用を拡大させており、エチオピアやウガンダなども地熱開発に傾いていると報じられています。ケニアの地熱開発は日本の技術が支えており、こうしたことからも地熱タービンや設備建設などを手掛けている銘柄への関心が集まりそうです。
そこで今回は「地熱」関連銘柄に注目。関連事業を行っている企業のなかから、株価やチャート形状などのテクニカル面を見て銘柄を選定しました。
【富士電機(6504)】
業界で唯一「フラッシュ式」と「バイナリー式」の両方を展開
富士電機(6504)は、地熱発電に用いられる地熱タービンを手掛けています。地熱発電には、地熱流体から分離した蒸気で直接タービンを回す「フラッシュ式」と、地熱流体で加熱・蒸発させた媒体の蒸気で間接的にタービンを回す「バイナリー式」の2つの発電方法があり、富士電機は業界では唯一「フラッシュ式」と「バイナリー式」の両方のラインアップと実績を持っています。株価は、10月31日につけた安値5608円をボトムにリバウンドが強まり、11月6日には75日移動平均線を捉えてきました。25日移動平均線、もしくは200日移動平均線辺りでの押し目狙いのスタンスとなります。
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【三菱重工業(7011)】
インドネシアで地熱発電設備を受注
三菱重工業(7011)は、2022年12月にインドネシアで5万5000キロワット級の地熱発電設備を受注、2024年に商業運転の開始を予定しています。本プロジェクトにおいて三菱重工業は、地熱発電設備の基本設計を担当するほか、蒸気タービンや発電機、主要付属設備一式を供給。さらに技術者を派遣して、据え付け・試運転の指導に当たります。株価は、上向きで推移する75日移動平均線が下値支持線として機能しています。足元で同線に近づいてきているため、ここからのリバウンドが期待されるなか9月につけた直近高値9262円が意識されます。
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【レノバ(9519)】
地熱発電「函館恵山地熱プロジェクト」が進行中!
レノバ(9519)は、太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの電力を大手電力会社に売却しています。地熱発電については、熊本県南阿蘇村で「南阿蘇湯の谷地熱」が稼働しているほか、北海道函館市で「函館恵山地熱プロジェクト」が進行中です。株価は、2023年に入って下向きで推移する13週移動平均線に上値を抑えられる形で下落が続いています。ただ、10月4日の安値1023円をボトムに足元でリバウンドの動きを見せており、13週移動平均線の突破が意識されます。もし同線突破となれば、一段とリバウンドの勢いが強まりそうです。
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【三菱電機(6503)】
小型軽量化と高効率化を実現した地熱用発電機を開発
三菱電機(6503)と東芝の一部門が事業統合する形で2003年に発足した東芝三菱電機産業システム(TMEIC)が、タービン発電機を手掛けています。2021年8月には小型軽量化と高効率化を実現した「15キロワット級地熱用2極同期発電機」を開発し、販売を開始しています。株価は、10月31日に1651.5円まで下落しましたが、52週移動平均線が下値支持線として機能する格好からリバウンドの動きを見せ、足元で13週・26週移動平均線を上回ってきました。7月の高値2150円の突破を狙ったスタンスになります。
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【川崎重工(7012)】
地熱発電用の発電設備や蒸気タービンを手掛ける
川崎重工(7012)は、小型バイナリー発電設備や地熱発電用蒸気タービンなどを手掛けています。株価は、9月7日につけた高値4228円をピークに調整が続いていましたが、足元では52週移動平均線が下値支持線として意識されやすく、同線を下回る局面では、その後のリバウンドを想定した押し目狙いのスタンスになりそうです。
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【日揮ホールディングス(1963)】
フィリピンで地熱発電所の建設プロジェクトを受注
日揮ホールディングス(1963)は2023年8月、フィリピンでのバイナリー式地熱発電所建設プロジェクトを受注。28キロワットのバイナリー式地熱発電所の付帯設備に関わる設計、機材調達、建設工事を一貫して請け負います。株価は、9月15日につけた高値2291.5円をピークに大きく調整を見せていますが、52週移動平均線が下値支持線として機能しており、リバウンド狙いのタイミングになりそうです。
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以上、今回は「地熱発電」の関連銘柄を発掘しました。
国産の自然エネルギーを利用する地熱発電の普及促進は、日本のエネルギー自給率の向上にもつながります。昼夜や季節、天候を問わず24時間連続して発電することができるエネルギーですので、日本での普及拡大に期待したいところです。
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