<2927> AFC-HD 900 -3
AFC-HDアムスライフサイエンス<2927>は、健康食品のOEMを中心とするヘルスケア事業を中核に、医薬品、百貨店、不動産、飲食、観光といった複数事業を展開する企業グループである。百貨店事業はさいか屋<8254>が担っている。中でも収益の柱はヘルスケア事業で、取引企業は現在約400社以上と国内トップクラスのシェアを誇っている。健康食品OEM業界では、顧客ブランドの商品を受託製造することに特化した企業が多い中、同社はOEMに加えて自社ブランドを保有し、海外展開や通信販売(近年はインターネット販売)まで手掛けている。通常、OEM顧客とのバッティングを懸念し自社ブランドを持たない企業が多いが、同社はそのリスクを理解した上で、自社商品開発力を競争優位と捉えてきた。自社商品も開発できる体制を維持していることで、トレンドを捉えた商品投入をタイムリーに行える点は、他のOEM専業企業との差別化要因となっている。
ヘルスケア事業のOEM領域における競合としては、アピ、東洋新薬などが挙げられる。アピはOEM専業として規模を拡大してきた企業で、東洋新薬は青汁原料を畑から契約するなど原料起点のビジネスモデルを持ち、処方に関する特許を武器に営業を行うなど毛色が異なる存在である。業界全体では数百社規模の事業者が存在するが、健康食品OEM市場では売上上位10社でシェア75.4%を占めている。中でも同社は業界4位の位置を維持しているが、小林製薬の紅麹問題以降、規制強化の流れが強まっており設備投資や品質対応に耐えられない中小事業者は減少する可能性が高まっている。同社は自社工場を保有し、設備投資を継続してきた点で、こうした環境変化は相対的な追い風となっている。
一方、大手顧客はアピや東洋新薬など他社OEMへ切り替える選択肢を持っているため、顧客関係の維持は重要となる。ただ、リスクヘッジとして、海外向けや自社商品の拡充を進め、収益源の分散を図る戦略も取っている。OEMにおける価格競争が生じた場合の交渉力の源泉は、長年の取引実績に基づく提案力及び信用力、自社工場によるコスト管理及び品質管理、柔軟な対応力にあるようだ。
海外事業は当初、自社商品を海外市場に展開する目的で立ち上げられたが、実際には海外営業を行う中でOEM受注が増加する形となった。日本製に対する品質・安全性への信頼は依然として高く、特に東南アジアでは、口に入れるものや肌に触れる商品について日本製を選好する富裕層が存在するという。同社は現地に直接拠点を構えるのではなく、信頼できる現地パートナーと協業するモデルを採用しており、各国の法規制やトレンドの違いに柔軟に対応している。シンガポールのドラッグストアでは、同社ブランド商品が展開されており、一定の認知も獲得。海外売上の粗利率が高い背景には、こうした付加価値とパートナー戦略がある。そのほか、イスラム圏では、現地ハラル認証の厳格化が進んでおり、同社は認証対応を差別化要因として活かしていく方針である。
2026年8月期第1四半期決算は、売上高8,547百万円(前年同期比4.4%増)、営業利益771百万円(同18.6%増)と好調な滑り出しとなった。特にOEM事業が想定以上に堅調で、前期に引き続きドラッグストア等の店舗販売業の顧客における受注が堅調に推移。また、通信販売業の顧客における製品及びECモール向けの製品全般も好調だったようだ。円安を背景としたインバウンド需要の回復も、間接的にプラスに働いた。一方で、海外販売は前期同様、好調を維持している。医薬品事業、百貨店事業、不動産・建託事業も底堅く推移しており、飲食事業は集客力が高まったものののれんの償却が重く赤字を継続した。通期計画では、売上高34,137百万円(前期比4.5%増)、営業利益2,545百万円(同5.6%増)を見込んでいる。
中長期の全社的な成長イメージとしては、既存主体事業であるヘルスケア事業や医薬品事業を中心に、新たな事業である 観光・飲食事業、不動産・建託事業を加え、企業集団として更なる発展を目指すようだ。既存事業で1桁成長を確実に積み上げつつ、新規事業の進捗次第では連結で2桁成長も視野に入れている。まずは売上高500億円規模までの成長を目標としつつ、ヘルスケア事業については、引き続き国内OEMが基盤となる一方、海外や自社製品の拡張による上積みを狙う。また、医薬品事業も安定的に黒字が出せる体制となった。薬価の引き上げに加えて、一般用医薬品の漢方薬のOEM受注が好調となるなか、投資した生産設備を活用して稼働率が上がったことで粗利率も向上している。漢方薬の新規処方が限定的な中で、既存処方のOEM需要が拡大しきそうだ。そのほか、百貨店事業はテナント型から家賃収入型への転換を進めており、横須賀に「ラウンドワン」が2026年春にオープン予定。大型テナント誘致により下期以降の収益改善を見込む。観光・飲食事業は現状赤字だが、同社には新規事業を短期間で黒字化させてきた実績があり、今期中の黒字転換を目指している。
株主還元については、純利益の3分の1を株主、3分の1を成長投資、3分の1を従業員に配分する方針を掲げており、今期年間配当金は36円を維持する姿勢を示している。株主優待も導入しており、100株以上保有の株主を対象に健康食品・化粧品・お食事の引換券・割引券に加えて、同社グループのAFCツアーズにて利用できる「株主優待旅行券」を贈呈している。配当利回り4%付近で推移するなか、PBRは0.8倍台で推移しており、割安感が残る水準である。業績の底堅い成長が想定しやすい中、今後はIR強化を通じた評価改善が課題となっていきそうで、企業価値の再評価が進むかが注目点となろう。
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