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ゲーム開発者に無料ゲームエンジンを提供する
「ユニティ・ソフトウェア」がNY証券取引所にIPO!
独立系ゲーム開発者のために「無料ゲームエンジン」を提供しているユニティ・ソフトウェア(ティッカーシンボル:U)が、9月14日の週にニューヨーク証券取引所に新規株式公開(IPO)されます。今回はこのユニティ・ソフトウェアを解説しましょう。
「ユニティ・ソフトウェア」のゲームエンジンは、
あらゆるプラットフォームに対応しているのが強み
ゲーマーが「自分もネットゲームを自作してみたいな」と思ったとき、ユニティ・ソフトウェアが提供するグラフィックのレンダリングや音の合成に関する基本的な枠組みをベースにし、その上に自分の世界観を構築することで、オリジナルのゲームをつくることができます。このようなゲームを自作するための基本的なシステムを「ゲームエンジン」と言います。
ゲームエンジンを利用することで、クリエーターは自分が創り出したいストーリーやキャラクターに専念することができ、退屈な作業の多くをゲームエンジンに任せることができます。
ゲームエンジンとしては、ユニティ・ソフトウェアのほかにも、アンリアル、ソース、ゲームメーカースタジオ2、クライエンジン、トルク、コントラスト2などが挙げられます。これらの中でもっとも有力なゲームエンジン企業は、ユニティ・ソフトウェアとアンリアルの2社です。
ユニティ・ソフトウェアの特徴は、ウインドウズだけではなく、あらゆるプラットフォームに対応している点です。ちなみに、アンリアルはグラフィックスの美しさが強味です。
「ユニティ・ソフトウェア」はフリーミアム・モデルを採用!
最初は無料で利用できるが、ゲームがプレーされ始めた段階で課金される
「ユニティ・ソフトウェア」は、いわゆる「フリーミアム・モデル」を採用しており、ユーザーは最初、無料でゲームエンジンを利用することができます。そして、面白いゲームができあがり、実際にそれが幅広いユーザーにプレーされはじめた段階で課金が始まります。
課金の方法は2つあって、ひとつは「クリエイト・ソリューションズ」、もうひとつは「オペレート・ソリューションズ」と呼ばれています。
「クリエイト・ソリューションズ」は、ユーザーがつくった2Dや3Dのゲームに対して、サブスクリプション(定期購読)型で課金します。また、企業などの大口顧客に対してはプロフェッショナル・サービスも提供しています。
年間ゲーム売上高で10万ドルを超えるユーザーに対しては、「ユニティ・プラス」「ユニティ・プロ」「ユニティ・エンタープライズ」の3種類の課金コースを用意しています。通常の契約期間は1年から3年で、請求は「毎月」「四半期ごと」「毎年の分割払い」から選択可能です。ちなみに独立系ゲーム開発者の多くは1年契約を選択しており、その場合、請求は「毎月」の前払いが前提で、返金は不可能です。
もうひとつの「オペレート・ソリューションズ」は、ユーザーがつくったゲームをホスティングし、課金を助けるサービスを提供しています。売上高を折半する方式が基本で、一部は従量課金方式となっています。
「ユニティ・ソフトウェア」でつくられたゲームは、
世界中の15億台のデバイスでプレーされる!
ユニティ・ソフトウェアの月次アクティブ・ユーザー数(MAU)は150万人です。それらのユーザーがつくったゲームは1カ月に30億回ダウンロードされており、世界中の15億台のデバイスでプレーされています。
ユニティ・ソフトウェアは2004年に創業され、本社はサンフランシスコ、現在の従業員数は約1880名です。名門プライベート・エクイティー・ファンドであるシルバーレイク・パートナーズから投資を受けています。
2019年度のユニティ・ソフトウェアの売上高は、前年比+42%の5.41億ドルでした。粗利益は4.23億ドルで粗利益率は78.1%、営業利益は1.5億ドルの赤字でした。
ユニティ・ソフトウェアの四半期売上高は、下のグラフのように右肩上がりで推移しています。
また、売上高年間10万ドル以上の大口顧客数も、下のグラフのように順調に増加しています。
さらに、「同じ顧客をどれだけつなぎとめることに成功し、さらにその顧客からより沢山の売上高を上げているか?」の指標であるダラー・ベースト・ネット・エクスパンション比率(ドルベースの膨張率)は、下のチャートのように推移しています。
【今週のまとめ】
「ユニティ・ソフトウェア」は、秀逸なソフトウェアなど
成功するIPOの要件をすべて揃えた注目ベンチャー!
ユニティ・ソフトウェアは無料ゲームエンジンを提供することで、ゲーム開発者とともに育って行くユニークなビジネスモデルを採用しています。秀逸なソフトウェアと有力VCの後ろ盾を得ており、成功するIPOの要件をすべて揃えていると思うので、注目しておくといいでしょう。
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