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米国の株式市場の上値が重くなっています。NYダウは先週の7月26日、前週末比82.76ドル高の3万5144.31ドルと終値ベースで過去最高値を更新しました。また、ナスダック総合株価指数も同3.722ポイント高の1万4840.713ポイントと、こちらも終値ベースで過去最高値を更新しました。一方、8月2日のNYダウは続落し、前週末比97.31ドル安の3万4838.16ドルでした。また、ナスダック総合株価指数は反発し、同8.391ポイント高の1万4681.069ポイントでした。
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米国株は、新型コロナの感染拡大により上値が抑制されている一方、
バイデン政権の「ロックダウンはしない」という発言が下支え要因に
米国株の上値が重くなっている主因は、ワクチン接種済みの人にも新型コロナウイルスの感染が広がっていることです。
米国では8月2日、新型コロナウイルス向けワクチンを少なくとも1回接種した成人の割合が70%に達しました。それにもかかわらず、米国の疾病対策センター(CDC)は7月27日、感染力の強いインド型(デルタ型)の拡大を受けて、それまでの方針を転換し、ワクチン接種を終えた人も屋内でマスクを着用するよう勧告しました。
こうした状況から、経済正常化への期待がやや後退し、米国株の上値が抑制されています。
ただし、バイデン政権のファウチ首席医療顧問は8月1日、「デルタ型が猛威をふるい、感染状況はさらに悪化する」と認める一方で、ワクチン接種が進んでいることを根拠に「ロックダウン(都市封鎖)などの厳しい措置には踏み切らない」との見通しを示しました。これは米国景気や米国株に対してポジティブ材料であり、下支え要因です。だからこそ8月2日時点で、過去最高値から終値ベースでNYダウは306.15ドル(0.87%)、ナスダック総合株価指数は159.644ポイント(1.08%)の下落幅(下落率)にとどまっているのでしょう。
「緊急事態宣言」の拡大や「帰省中止の呼びかけ」などが、
日経平均株価が冴えない値動きを続ける要因に!
一方、日経平均株価は「上値は重いものの最高値圏で堅調に推移する米国株」に比べて、相変わらず冴えない動きを続けています。こちらも、デルタ型が猛威をふるい、感染状況が悪化を続けていることが悪材料となっています。
日本政府は8月2日、埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県に緊急事態宣言を発令しました。この結果、対象地域は、すでに発令中だった東京、沖縄と合わせて計6都府県に拡大されました。また、北海道、石川、京都、兵庫、福岡の5道府県には、新たに「まん延防止等重点措置」を適用しました。期間はいずれも8月31日までです。
千葉、埼玉、大阪の3府県は、全域を対象に酒を提供する飲食店に対して休業を要請し、それ以外の飲食店にも午後8時までの営業時間の短縮を要請。さらに、カラオケ店にも休業も要請しています。
一方、全国知事会は8月1日に、お盆の帰省を含め、夏休み中は原則として都道府県境をまたいだ移動を中止・延期とすることを国民に呼び掛けるよう国に求める提言をまとめました。また、さらに強い措置として「ロックダウンのような手法の在り方」の検討にも言及しています。
このため、対象地域の飲食・カラオケ業界のみならず、夏の書き入れどきを迎えた観光、運輸業界も大打撃を受けそうです。
ただし、加藤勝信官房長官は8月2日の記者会見で、ロックダウンについて「海外で行われている罰則を伴う強制的な措置は、日本ではできないことになっている」と述べ、否定的な見解を示しました。これは日本経済・日本株に対してポジティブ材料であり、下支え要因です。
米国株に比べて日本株の調子が悪いもう一つの理由は、
米中対立の激化による「中国株の下落リスク」の高まり
日本株が米国株に追随できないもう一つの理由が、「中国株の下落リスク」の高まりです。
中国共産党は7月30日に中央政治局会議を開き、対立する米国などへのデータ流出を防ぐため「企業の海外上場に対する監督制度を整備する」と打ち出しました。
一方、米国の証券取引委員会(SEC)は7月30日、米国での上場を目指す中国企業の審査を厳格化すると発表しました。また、米国で8月2日、中国の軍事・監視技術に関連する企業59社への投資を禁止する大統領令が発効にされました。
このような、中国当局の民間企業への規制強化などの米中の対立激化を受け、香港株式市場や上海株式市場の下落リスクが高まっています。これは中国と地理的に近く、経済的な結びつきの強い日本経済および日本株にとってネガティブ材料です。
日経平均株価は「チャートが悪化した状態」ではあるものの、
当面は「2万8000円±1000円」のボックス相場となる見通し
「緊急事態宣言対象の地域拡大と期間延長(経済正常化への期待の後退)」と「中国株の下落リスクの高まり」という「内憂外患状態」を反映して、8月2日の日経平均株価は2万7781.02円と、25日移動平均線(2日現在28234.97円)、75日移動平均線(同2万8665.86円)、200日移動平均線(同27845.72円)をすべて下回っており、「チャートが悪化した状況」となっています。さらに翌3日も前日比139.19円安の2万7641.83円と下落しました。
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ただし、5月13日に2万7385.03円を付けて以降、日経平均株価は、ここ最近まで2万7000円台前半で底堅さを発揮しており、下値余地は限定的と見てはいます。また、上値に関しては、75日移動平均線を上回るまでは先高観が強まることもないと思われます。このため、当面の日経平均株価は、おおむね2万8000円±1000円のボックス相場を形成すると見てよさそうです。
一方、東証マザーズ指数の8月2日終値は1088.34ポイントと、25日移動平均線(2日現在1161.54ポイント)、75日移動平均線(同1164.59ポイント)、そして、200日移動平均線(同1204.09ポイント)をすべて下回っており、日経平均株価同様に「チャートが悪化した状況」となっています。
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ただし、7月19日に約1年ぶりに200日移動平均線を割り込んだ日経平均株価に対して、東証マザーズ指数は5月6日以降、長らく200日移動平均線を下回っており、同線が強力な上値抵抗線として働いています。よって、需給状況は非常に悪いはずです。
今のような相場の調整局面では、ハイリスクの信用取引は避け、
「コツコツと資金を増やす方針」でトレードするのが正解
なお、7月28日に私の友人から「今年になってから株式投資を始めた友達に、IPOで追証が発生しまくっています。IPOの魔力にやられていますねえ」「私の担当も言っていましたが、“毎日追証の問い合わせがきている”と」などといったラインが相次ぎました。
直近IPO銘柄を中心とした「ハイボラ銘柄」をレバレッジを効かせて運用し、株価が思惑と逆に動いた場合、“マッハのスピード”で投資元本が溶けてしまいます。現在のような相場の調整局面では、腕に覚えのある方は別として、投資初心者の方は信用取引を封印して、ご自身の投資資金の範囲内で、かつ資金管理を徹底しつつ「コツコツと資金を増やす方針」で相場に臨みましょう。
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