｢防衛｣関連銘柄のなかで、今が“買い場”の6社を紹介！アフガニスタンに駐留していた米軍が撤退を完了する8月末までに｢防衛｣関連銘柄が高騰する可能性に注目！

　日本時間の2021年8月16日、反政府武装勢力「タリバン」がアフガニスタンの首都・カブールの大統領府を占拠。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ以降に駐留していた米軍が撤退を進めていた中で、タリバンが20年ぶりにアフガニスタンの政権を奪還することになります。

　この動きに対して、日本政府はひとまず現地の大使館職員十数人をアラブ首長国連邦のドバイに退避。その他にも国際機関で働く日本人がまだ数人残っており、ひきつづき政府は国外退避の支援を行う方針とのことです。また、欧州各国も同様の動きを進めています。米軍が今月末までに撤退する方針に変更はないため、それまでに各国は自国民の保護を完了させなければならず、慌ただしい対応を迫られています。

「米軍の撤退が完了する8月末まで」のタイミングで
防衛省と取引のある「防衛」関連銘柄が狙い目に！

　各国がアフガニスタンからの退避の動きを進めるなか、タリバン側の行動によって新たに悲惨な状況が発生するようなことになれば、株式市場ではリスク回避姿勢が一段と強まる可能性があります。仮にそうなれば、株式市場は「質への逃避（より安全性の高い投資対象に資産を移すこと）」から、キャッシュ化の動きに向かいやすいでしょう。

　その一方で、タリバンのアフガニスタン制圧による業績への直接的なインパクトは乏しいものの、短期的に「防衛」関連銘柄が物色される可能性が高いと見ています。そこで、今回は「防衛」関連銘柄に注目しました。

　ひと口に「防衛」と言っても、サイバーセキュリティ対策や戦闘機の開発など幅広い分野があり、本コラムでもこれまでにいくつかを取り上げてきました。そんななかから今回は、有事に関連した銘柄として、火器など防衛省向けの製品を開発・製造している企業にフォーカスしました。
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　なお、今回は単に関連する銘柄を選ぶだけではなく、テーマ株投資における売買の「タイミング」や「期間」の見極め方も重要となってきます。

　実際、タリバンの動きを最初の段階で把握した投資家なら、すでに「防衛」関連銘柄を買っている人も多いでしょう。一方、今から「防衛」関連銘柄を狙う場合、目先的には「米軍の撤退が完了する8月末まで」という限られた期間の勝負となります。そのため、「防衛」関連銘柄のなかでも、足元で上昇トレンドが強まるなどテクニカル分析的に期待できる銘柄や、信用需給の面から上昇期待の持てる銘柄に対象を絞り込みました。

　今回取り上げた銘柄のチャートを見ると、直近で急伸したものの、すぐに調整を見せている銘柄もあります。それだけ資金回転が早いと言えますが、その分、地政学的リスクが高まる局面において一気に株価が上昇する可能性が高いことから、足元のトレンドの下限などでの押し目狙いの銘柄として注目しました。

【石川製作所（6208）】
防衛機器が売上高の約7割を占める「防衛」関連の中核銘柄

　石川製作所（6208）は、紙工機械や段ボール製函印刷機、繊維機械、防衛機器などを手掛ける企業。「防衛」関連の代表的な銘柄で、防衛機器が売上高の約7割を占めています。株価は8月に入って上昇し、75日移動平均線を突破。その後、調整の動きを見せていますが、上昇トレンドの下限水準での底堅さが見られます。また、信用倍率が1.8倍台と年初の5倍台から取り組みに厚みが増しているので、ここからのリバウンドが期待できます。

⇒石川製作所（6208）の最新の株価はこちら！

【日油（4403）】
産業用爆薬事業や防衛・宇宙開発事業を展開

　日油（4403）は、脂肪酸類や脂肪酸誘導体、界面活性剤など油脂化学分野の製品などを手掛けており、化薬事業において、産業用爆薬事業、防衛・宇宙開発事業、民生品事業を展開しています。株価は5月以降、5800円付近でのもち合いが続いていましたが、8月以降はこのレンジを上に抜けてきました。信用倍率を見ると、1倍を下回る「売り長」の需給状況が慢性化している点も狙い目です。

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【旭精機工業（6111）】
国内唯一の小口径銃弾メーカーとして防衛省と取引

　旭精機工業（6111）は、1953年に小口径銃弾メーカーとして創業。銃弾製造で培った量産加工技術を生かして、自動車業界向けの精密金属加工品などを手掛けています。また、EV用リチウムイオン電池市場の拡大を背景に、プレス機械の受注が堅調です。株価は5月末以降、上昇トレンドが継続していますが、流動性の低い銘柄なので、押し目狙いのスタンスで臨みましょう。

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【細谷火工（4274）】
防衛省向けから宇宙産業向けまで、さまざまな火工品を開発

　細谷火工（4274）は、レジャー製品から宇宙産業向けまで幅広く火工品（火薬や爆薬を使った製品）を扱っており、売上比率としては防衛省向けがもっとも高くなっています。宇宙用・防衛用として、液体エネルギー物質の研究開発も実施。また、各産業分野が使用する火薬、爆薬、火工品の評価試験も手掛けています。株価は、長い上ヒゲや下ヒゲなど足元で値動きの荒い場面も見られましたが、8月以降、下値を切り上げる上昇トレンドが継続しています。

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【多摩川ホールディングス（6838）】
高周波無線機器などの防衛関連製品を扱う

　多摩川ホールディングス（6838）は、高周波無線機器の開発・製造などを手掛けており、「防衛」関連としては、沿岸監視設備向けの製品などを製造しています。株価は年初以降、下落トレンドが続いているなか、足元で上値抵抗線として機能している25日移動平均線を捉える場面も見られましたが、その後の調整で需給整理が一巡した状況です。改めて、底入れから上昇トレンドへの転換を意識した押し目狙いのスタンスで。

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【極東貿易（8093）】
防衛用途向け光ファイバーケーブルを手掛ける

　極東貿易（8093）は、航空宇宙および防衛用途向けの光ファイバーケーブルを手掛けています。株価は5月半ばに急伸し、7月13日には一時2747円まで上昇。その後は調整を見せているものの75日移動平均線が下値支持線として意識されるので、ここからの反発が期待できます。

⇒極東貿易（8093）の最新の株価はこちら！

　以上、今回は「防衛」関連銘柄を紹介しました。

　なお、冒頭で述べたタリバンによるアフガニスタン制圧のほかにも、7月29日に中東のオマーン沖でタンカーが小型自爆ドローンで攻撃され、米国や英国、イスラエルなどがイランを名指しで犯人と断定する事態が発生しています。イスラエルとイランによる小競り合いとの見方がされているものの、両国の応酬が過激さを増すリスクが心配されます。

　また、7月に約1年1カ月ぶりに復旧した韓国と北朝鮮の通信ルートが、8月10日に再び不通になったというニュースも伝わっています。朝鮮半島の有事を想定した米韓合同軍事演習が8月16日から26日にかけて実施されていますが、それに合わせて北朝鮮が対抗措置を行う可能性も指摘されており、そちらのほうでも警戒感が高まっています。

　今回取り上げたような「防衛」関連の銘柄は、紛争などにより突然注目を浴びることもあるので、そういった面からも普段からチェックしておくといいでしょう。
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