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デジタル化が遅れている中小企業に対し、
国が補助金を出すことでITツール導入を促進!
2022年1月、「サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)」に関する令和3年度補正予算の概要が、中小企業庁より公表されました。この事業は、大企業と比べてデジタル化が遅れている中小企業や小規模事業者、個人事業主に対して、ITツールの導入を後押しすることで業務効率化を支援するものです。
「IT導入補助金」の補助対象は、通常枠のA類型・B類型、デジタル化基盤導入類型、複数社連携IT導入類型に区分されています。
例えば、デジタル化基盤導入類型の場合、ソフトウェア費やクラウド利用料として5万円~50万円以下または50万円超〜350万円、ハードウエア購入費用としてパソコン・タブレットなどに10万円、レジ・券売機などに20万円を上限とした補助金が出ます。会計ソフトや受発注ソフト、決済ソフトなどのソフトウェアのほか、最大2年分のクラウド利用料や導入関連費などが補助の対象となります。
■IT導入補助金「デジタル化基盤導入類型」の概要 | ||||
種類 | デジタル化基盤導入類型 | |||
補助額 | ITツール | PC・タブレット等 | レジ・券売機等 | |
~50万円以下 | 50万円超~350万円 | ~10万円 | ~20万円 | |
補助率 | 3/4以内 | 2/3以内 | 1/2以内 | |
対象ソフトウェア | 会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフト | − | ||
対象経費 | ソフトウェア購入費、クラウド利用費(最大2年分補助)、導入関連費、ハードウェア購入費 | |||
※「サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)令和3年度補正予算の概要」(令和4年1月・中小企業庁)より作成 |
また、複数社連携IT導入類型の場合、補助金の上限は最大3000万円にもなります。
中小企業に向けたデジタル化支援としては、「IT導入補助金」のほかにも「成長型中小企業等研究開発支援事業」や「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)」の「デジタル枠」、さらには「ものづくり等高度連携・事業再構築促進事業」などが挙げられます。
「成長型中小企業等研究開発支援事業」は、大学・公設試験研究機関などと連携して行う研究開発やその事業化に向けた取り組みを最大3年間支援します。「ものづくり補助金(デジタル枠)」は、デジタル化に役立つ製品・サービスの開発などに取り組む事業者を支援。また、「ものづくり等高度連携・事業再構築促進事業」は、複数の中小企業などがデータを共有し、新たな付加価値の創造や生産性の向上を図るプロジェクトなどを最大2年間支援します。
電子帳簿保存法改正により「ペーパーレス化」が加速することで、
中小企業にとって業務のデジタル化が切迫した課題に!
このように中小企業のデジタル化に向けた複数の政府支援が実施される一方、中小企業を取り巻くビジネス環境についてもデジタル化が進んでいます。
2021年11月には、帳簿書類を電子的に保存する際の手続きなどを抜本的に見直すために「電子帳簿保存法」が改正されました。これまで、電子化やペーパーレス化が叫ばれていたにも関わらず、実際の現場ではそれらを阻害するルール(要件)が存在するという矛盾した状態にありました。しかし今回の改正で、そうした阻害要因が緩和(解消)されたことで、2024年1月からは電子データが名実ともに経理・会計における主役になると見られます。
また、2023年10月1日からは、消費税の仕入税額控除の方式として「適格請求書保存方式(インボイス制度)」が導入されます。この制度の詳細は複雑になるので割愛しますが、こういった新制度に対応するため、中小企業のデジタル化はますます加速していくでしょう。
ITツールの導入コストは中小企業にとって小さくありませんが、前述した「IT導入補助金」の活用のほか、最近ではクラウドサービスを活用することで初期費用を抑えることも可能となっています。
そこで今回は、中小企業のデジタル化に必須となる「会計ソフト・システム」などを手掛ける企業に注目しました。具体的な銘柄としては、会計ソフト・システムを手掛けている企業のなかから、個人投資家が主体の売買を想定して、東証2部や新興市場に上場している中小型株を選定しました。
【フリー(4478)】
「freee会計」など、中小企業向けのソフトを幅広く提供
フリー(4478)は、帳簿や決算書作成・請求業務に対応し、中小企業の経理業務を効率化するクラウド会計ソフト「freee会計」を提供。さらに、給与計算や労務管理を大幅に効率化する「freee人事労務」や、法人税・消費税・法定調書・申請届出や電子申告などに対応する「freee申告」など、業務を効率化させるソフトを幅広く手掛けています。株価は、2021年2月16日につけた高値1万2910円をピークに調整が続き、2022年の3月9日には3205円まで下落して昨年来安値を更新しました。ただ、足元では25日移動平均線に上値を抑えられているものの下値を固める動きが意識されており、ここからのリバウンドが期待されます。
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【ROBOT PAYMENT(4374)】
「請求管理ロボ」を活用した決済代行サービスを提供
ROBOT PAYMENT(4374)は、請求管理業務を効率化・自動化するクラウドサービス「請求管理ロボ」を使った決済代行サービスを提供。「勘定奉行」や「弥生」「PCA」「マネーフォワード クラウド会計」といった主要な会計ソフトと連携できます。また、あらゆる会員管理業務に最適な機能を備えた顧客会員管理ソリューションも提供しています。株価は、2021年11月8日につけた高値4795円をピークに調整が続いていますが、2月16日の安値1234円を底値に、足元では緩やかなリバウンドを見せています。
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【ソフトマックス(3671)】
販売管理システムや財務会計システムなどを手掛ける
ソフトマックス(3671)は、Web型電子カルテなど総合医療情報システムを主力事業としていますが、その他にも、各業務向けの販売管理システムや人事・給与システム、財務会計システムなどを提供。さらに、サーバ統合、クラウドサービスといった導入支援サービスも手掛けています。株価は中長期で下落トレンドが続いていましたが、1月27日につけた安値700円を底値にリバウンドの動きを見せており、足元では750円~850円辺りでのレンジ相場を形成しています。75日移動平均線が上値抵抗線として意識されているため、まずはレンジの下限付近での押し目狙いがおすすめです。
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【クレオ(9698)】
中堅企業向け会計・人事給与パッケージ「ZeeM」を開発
クレオ(9698)は、「ZeeM(ジーム)人事給与」や「ZeeM会計」「BIZ ZeeM会計・人事給与」といったシステムをクラウドサービスとして提供。また、マイクロソフト社のクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」環境下で利用できるITアウトソーシングサービス「ZeeM on Azure」も手掛けています。株価は、2021年1月19日につけた高値1557円をピークに下落が続いており、足元で昨年来安値を更新。PERは8倍台、PBRは1倍割れとバリュエーション面での割安感があるため、押し目狙いのスタンスとなります。
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【鈴与シンワート(9360)】
経理部の業務を大きく効率化するソリューションを提供
鈴与シンワート(9360)は、企業の財務会計処理の記録から管理、決算書まで、取引のプロセスを電子化し、経理部の業務を大きく効率化するソリューションを提供しています。株価は、2021年9月1日につけた高値3325円を天井に調整が続いており、2月24日には1124円まで下落。しかし、足元で1100円水準での底堅さが見られているため、ここからのリバウンドが期待できます。
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【システム ディ(3804)】
公会計パッケージ「PPP(トリプル・ピー)」を手掛ける
システム ディ(3804)は、県・政令指定都市などの大規模な自治体から市区町村・一部事務組合などの小規模な地方公共団体まで、多くの実績を持つ公会計パッケージ「PPP(トリプル・ピー)」を提供しています。また、会員管理システム「Hello EX」が経済産業省の推進する「IT導入補助金2021」の対象ツールになっています。株価は、2021年4月12日の高値1750円をピークに下落トレンドが継続。しかし、2月24日の安値1001円をボトムに足元ではリバウンドを見せています。上値抵抗線として意識されている13週移動平均線を超えてきたので、より一層の上昇に期待したいところです。
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以上、今回は「会計ソフト・システム」に関連する銘柄を紹介しました。
現在の株式市場は、ウクライナ情勢の緊迫化から全体的に株価が低迷している銘柄が目立ちますが、国内マーケットを顧客とするIT関連銘柄は、相対的に外部環境の不確実性の影響を受けづらく、「ディフェンシブ性」が期待できます。バリュエーション面での割安感も意識されやすいため、全体として押し目狙いのチャンスと言えるでしょう。
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