つみたてNISA(積立NISA)おすすめ比較&徹底解説[2020年]
2017年10月30日 深野 康彦

「つみたてNISA」のメリット、デメリットを解説!
対象商品が厳選されて投資初心者も始めやすい一方、
年間の投資限度額が少ないなどデメリットに要注意!

つみたてNISAのおすすめ証券会社はココ!

 2018年1月からスタートする「つみたてNISA」は、積立投資専用の新しいタイプの「NISA(少額投資非課税制度)」です。「NISA」という名前が付いていることからわかるように、従来の「NISA」同様、投資によって得られた運用益はすべて非課税になるというのがメリットです。しかし、「つみたてNISA」のメリットはそれ以外にもあるので、のちほどじっくり解説します。

 一方で、「つみたてNISA」にはデメリットや注意すべき点もあります。積立投資を始めた後で「こんなはずではなかった」とならないように、口座開設の前にメリットとデメリットをきちんと理解しておきましょう。

「つみたてNISA」での投資から得られた運用利益が
すべて非課税になることが最大のメリット

 まず、「つみたてNISA」の基本的なメリットから説明します。

「つみたてNISA」では、つみたてNISAの専用口座で購入した投資信託などの運用益がすべて非課税になります。これが、「つみたてNISA」の最大のメリットです。たとえば、年40万円の非課税投資枠を使って投資をして、10万円の利益を得られた場合、通常の証券口座であれば利益に20.315%の税金がかかり、手取りは7万9685円です。しかし、「つみたてNISA」口座の場合は10万円の利益をそのまま受け取ることができます。

 「運用益がすべて非課税」というメリットは、従来の「NISA」や「ジュニアNISA」でも同様です。ただし、非課税投資枠の総額に違いがあります。「つみたてNISA」の非課税投資枠は年40万円で、非課税になる期間は最長20年間です。つまり、非課税投資枠の総額は40万円×20年間で800万円。従来の「NISA」(年120万円×5年間=600万円)や「ジュニアNISA」(年80万円×5年間=400万円)と比べると、非課税投資枠の総額が最も大きくなっています。

 そのため、仮に非課税投資枠をすべて使って同じ運用結果が得られるとすれば、非課税投資の総額が大きい分、従来の「NISA」「ジュニアNISA」「つみたてNISA」の3つの制度の中では、「つみたてNISA」の非課税メリットが最も大きくなります

「つみたてNISA」はいつでも払い出しが可能!
「ジュニアNISA」や「iDeCo」と比べたときにはメリットに

 また、「つみたてNISA」は従来の「NISA」と同様、投資期間中にいつでも自由に投資した資金を払い出すことができます。この点は、「ジュニアNISA」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」と比べたときには、メリットになります。

 なぜなら、「ジュニアNISA」は18歳までは非課税で払い出しができず、「iDeCo」の場合は60歳まで払い出しができないからです。さらに「iDeCo」では、積立期間が10年以上ないと60歳になっても引き出すことができないというルールのため、50歳を超えてから「iDeCo」を始めた人は60歳時点でも引き出しができません(10年に満たない場合は、通算した加入期間などに応じて受取可能年齢が定められています)。

 もちろん、「ジュニアNISA」には18歳未満の子どもが自分の名義で資産を保有できる、「iDeCo」には拠出時に掛金の全額が課税所得から控除されるといったそれぞれの利点があります。ただ、投資した資金の払い出しに関しては、「つみたてNISA」のほうが使い勝手がいいと言っていいでしょう。

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一定条件を満たす投資信託のみが対象なので
投資初心者が始めやすい制度であることもメリット

「つみたてNISA」は投資初心者にも向いています「つみたてNISA」は商品が事前に選定されているので、まだあまり経験のない投資初心者でも始めやすくなっています。

 投資初心者の立場から見た場合にも、「つみたてNISA」には大きなメリットがあります。それは、従来の「NISA」(や通常の証券口座)に比べて、投資を始める際のハードルが低くなっているという点です。

 従来の「NISA」(や通常の証券口座)では、購入できる投資信託に制限はありません(もちろん、口座を開設した金融機関が扱っている商品に限られます)。現在、日本の投資信託は公社債投資信託を除くと、全部で5000本以上あります。初心者が、その中から「これ」という1本を選ぶのは至難のワザです。

 しかし、「つみたてNISA」の場合は、金融庁による一定の条件を満たした投資信託・ETFのみが投資対象になっています。10月16日時点では「つみたてNISA」の投資対象となっているのは、インデックス型投資信託が100本、アクティブ型投資信託14本の計114本。数が絞り込まれている分、投資初心者のみならず誰にとってもかなり選びやすくなっているのです。

※2018年7月5日時点では、インデックス型投資信託が132本、アクティブ型投資信託が17本、ETFが3本の計152本。

 また、非課税投資期間が最長20年と従来の「NISA」に比べて長いことも、「つみたてNISA」のメリットです。1年間の非課税投資枠は40万円と従来のNISAの120万円より小さくなりましたが、年間120万円の枠を使い切れる人ばかりではありません。そう考えると、少ない金額で始められてトータルで非課税投資金額が多いほうが、投資初心者などにはありがたいと言えます。

 金融庁が明確に言葉にしているわけではありませんが、「つみたてNISA」にはこれまで投資をやって来なかった人にこそ始めてほしいという狙いがあります。そのため、商品を選びやすくして、投資金額も少なく設定していると考えられます。

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定期的に、一定金額で、同じ投資対象を買う
「積立投資」なら、初心者もチャレンジしやすい

 もうひとつ、「つみたてNISA」が投資初心者に向いている理由があります。それが、「つみたてNISA」という名前のとおり、投資方法を「積立投資」に限定していることです。

 どんな投資商品も相場の状況によって価格が変動しますが、そうした価格が上下するなかで投資初心者が買ったり、売ったりするのは難しいもの。それに対して、定期的に、一定金額で、同じ投資対象を買い付ける「積立投資」なら、価格変動リスクを低くしつつ、運用することができます(これを「ドルコスト平均法」と呼びます)。なぜなら、積立投資なら、価格が安いときは投資商品を多く、価格が高いときには少なく買い付けるため、平均的な購入単価を抑えられるからです。

 この効果を活かしつつ、最長20年という長期にわたって、コツコツ、老後資金を作る「つみたてNISA」なら、投資初心者も投資に挑戦しやすいのでないでしょうか。

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非課税投資枠の再利用ができない、損益通算ができない
「つみたてNISA」と従来の「NISA」に共通のデメリットとは?

 一方で、「つみたてNISA」にはデメリットもあります。まずは、従来の「NISA」と共通のデメリットを説明しましょう。

 ひとつは、従来の「NISA」と同様に非課税枠の再利用ができないことです。1年の途中で投資した商品を売却しても、売却分の非課税枠は復活しません。そのため、たとえば増えた資産を売却してその分で減った資産を買い増そうというような機動的なリバランスをすることは難しいと言えます。「つみたてNISA」はそもそも積立投資専用なので、頻繁に売り買いすることはないと思いますが、通常の証券口座と比べたときの使い勝手という面ではデメリットです。

 また、通常の証券口座では可能な、損益通算や損失繰越もできません。損益通算は、1年間の損失と利益を相殺することで節税をする方法です。しかし、「つみたてNISA」を含むすべてのNISAではもともと利益も損失も出ていないものという扱いのため、損益通算ができないのです。また、同じ理由で翌年に損失を繰り越して、改めて損益通算を行うこともできません。

商品の選択肢が少ない、年間の投資金額が少ない
「従来NISA」と比べたときの「つみたてNISA」のデメリット

 続いて、従来の「NISA」と比べたときの「つみたてNISA」 のデメリットについて説明します。これは、先ほど挙げたメリットを反対側から見ると言えばわかりやすいかもしれません。

 前述のとおり、「つみたてNISA」では一定の条件を満たす投資信託・ETFだけが投資対象です。10月16日時点で金融庁に届け出がされているのは、インデックス型投資信託が100本、アクティブ型投資信託14本で、アクティブ型投資信託はごくわずかです。また、そもそも株式やリートなどの商品に直接、投資することができません。投資初心者には確かに選びやすいのですが、商品選択の幅が限られているのはデメリットと言えるでしょう。

 さらに、繰り返しになりますが「つみたてNISA」は年間の非課税投資枠が40万円しかありません。月平均では約3万3333円です。そのため、それ以上の金額を積み立てたい人にとっては、積立金額の少なさが「つみたてNISA」のデメリットと言えるかもしれません。

 ということで、さまざまな商品に投資したい、月額3万3333円を超えた金額を積み立てたい(従来の「NISA」では月額10万円まで可能)、一括で投資がしたい人にとっては「つみたてNISA」は向かない制度となっているのです。

金融庁が利益を保証してくれるわけではない!
「つみたてNISA」で絶対に勘違いしてはいけないこと

 さて、デメリットということではありませんが、「つみたてNISA」に関して絶対に誤解して欲しくない点がひとつあります。それは、将来の運用成績が保証されているわけではないということです。

 確かに、「つみたてNISA」の対象商品には、金融庁が指定する複数の条件を満たしたものだけが認められています。しかし、それは決して「金融庁が将来の利益を保証する」という意味合いのものではありません。もともと金融庁が指定する条件の中に、運用実績に関するものはありませんし、そもそもアクティブ型投資信託の場合は過去の運用実績から将来を推測することはできません。

 特に、「つみたてNISA」でこれから投資を始めようという方は、「『つみたてNISA』で投資できるのは金融庁が認めた商品だから大丈夫」といった誤解は決してしないように気をつけてほしいと思います。

 次回は、2018年1月のスタートを前に「つみたてNISA」を始めるべきかどうか迷っている方などに向けて、「つみたてNISA」に向いている人・向いていない人について詳しくお話しましょう。

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(構成:肥後紀子)

深野康彦(ふかの・やすひこ)[ファイナンシャルプランナー]
ファイナンシャルリサーチ代表。AFP、1級ファイナンシャルプランニング技能士。クレジット会社勤務を3年間経て1989年4月に独立系FP会社に入社。1996年1月に独立し、現職。あらゆるマネー商品に精通し、わかりやすい解説に定評がある。主な著書に『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない』『ジュニアNISA入門』(ダイヤモンド社)など多数。