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最近注目の「MaaS」は、複数の交通機関などについて
横断的に検索・予約・決済が行える次世代のサービス
最近になって「Maas(マース)」という言葉を目にする機会が増えてきたかと思います。「MaaS」とは「Mobility as a Service(モビリティ・アズ・ア・サービス)」の略で、直訳すると「サービスとしての移動」という意味になります。もう少しわかりやすく意訳すると「単なる交通手段ではなく、“利便性の高いサービス”として考えられた移動システム」といったイメージが近いでしょう。
簡単に説明すると、「MaaS」は電車やバス、飛行機、タクシーといった複数の移動サービスについて、一括で検索や予約、決済などを行えるサービスとなります。現在でもグーグルマップなどで検索すれば、複数の交通機関をまたいだルートや所要時間は簡単に調べることができますが、予約や支払いについては一つ一つのサービスごとに行わなくてはなりません。しかし「MaaS」であれば、検索だけでなく予約や決済までを一括で行うことができます。
また、電車やバス、タクシーだけではなく、現在のグーグルマップなどの検索には出てこないカーシェアリングやライドシェア、シェアサイクルといった新しい移動サービスも含めて最適な組み合わせを見つけ出すことが可能です。
「MaaS」には、移動先での観光や医療・福祉、買い物など、交通以外のサービスとの連携も含まれます。例えば、公共の交通機関の乏しい過疎地域に住む高齢者が都市部の大病院に行こうとした際、「MaaS」であれば、ルートの検索から駅までのタクシーの配車、電車の予約と乗車券の購入、さらには病院の予約まで、一つのサービスのなかで一括で手配することができるのです。
さらに、「MaaS」の進化で交通機関の効率化が進めば、不必要な自動車を減らし、排ガスによる大気汚染やCO2問題を改善することにもつながります。
このように、「MaaS」は移動に伴う利便性の向上にとどまらず、社会の課題解決につながる重要な手段としても大いに期待されています。
国も後押しする「MaaS」の市場規模は急速に拡大を続け、
2030年までに国内で6兆円、世界で900兆円にまで拡大!
「MaaS」の市場規模は、今後、急速に拡大していくと見られています。「国土交通白書 2020」にも「2030年(令和12年)には国内市場が約6兆円、2050年までには世界市場が約900兆円にまで拡大するとの調査結果もある」と書かれています。
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「MaaS」に対しては、国も力を入れています。例えば、国土交通省は「MaaS」の早急な普及に取り組んでおり、これまでに「公共交通機関のリアルタイム混雑情報提供システムの導入・普及に向けたあり方検討会」や「ユニバーサル社会におけるMaaSの活用方策についての研究会」などを開催。また、2021年4月には、「MaaS」に関連する各業者がデータ連携を円滑に行うためのポイントを整理した「MaaS関連データの連携に関するガイドライン Ver.2.0」を公表しました。さらに、国土交通省は「MaaS」の実現に必要となる基盤整備や新モビリティサービスの事業計画の策定などに対する支援も行っています。
今回は、そんな「MaaS」関連の銘柄に注目。銘柄選定にあたっては、モビリティの変革を通じて豊かな社会の実現を目指す「モビリティ変革コンソーシアム」の会員企業を参考にしました。
「MaaS」関連では、JRなどの鉄道各社や大手電機メーカー、通信キャリアなどの名前が挙がることが多いのですが、今回はシステム系の企業を中心に選定しました。株価の面では、「緩やかな上昇トレンドが継続している銘柄」や「足元で調整していたが、今後のリバウンドが期待できる銘柄」といったテクニカル面を考慮。さらに、個人投資家主体の売買が活発化しやすい中小型株を中心にピックアップしました。
【伊藤忠テクノソリューションズ(4739)】
タクシーを活用した「オンデマンド交通」に関する実証実験を実施
伊藤忠テクノソリューションズ(4739)は、DX(デジタルトランスフォーメーション)やクラウド、5Gを中心に事業を展開しています。「MaaS」に関しては、2022年2月から神奈川県川崎市とタクシーを活用したオンデマンド交通を試験的に運行する実証実験を実施。さらに、福岡県直方市でも5月から同様の実証実験を実施することを発表しています。株価は、足元で調整が続いていますが、3000円辺りに位置する13週移動平均線を下値支持線に底堅さが見られますので、リバウンド狙いのスタンスとなります。
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【日鉄ソリューションズ(2327)】
「MONETマーケットプレイス」のパートナーベンダーに認定
日鉄ソリューションズ(2327)は2021年4月、MONET Technologiesが運営する「MONETマーケットプレイス」のパートナーベンダーとして認定されました。「MONETマーケットプレイス」は、「MaaS」のシステム開発に活用できる天気・観光・地図情報などのさまざまなデータや、決済システムなどのAPIを提供するプラットフォームです。株価は緩やかな上昇トレンドが継続しており、4月8日には一時4020円まで上昇。その後は調整していますが、25日移動平均線を挟んだ底堅さが見られますので、ここからのリバウンドに期待したいところです。
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【スマートバリュー(9417)】
「MaaS」推進を目指す「MONETコンソーシアム」へ参画
スマートバリュー(9417)は、自治体関連のクラウドサービスを提供する「デジタルガバメント」と、自動車などの幅広い“モビリティ”を対象としたクラウドサービス「モビリティ・サービス」を事業の柱としています。2019年3月には、企業の「MaaS」ビジネスに対する支援や「MaaS」に関わる企業同士の共創を目指す「MONETコンソーシアム」への参画を発表。また、2021年3月には、丸紅(8002)などと業務提携契約を締結し、モビリティ分野におけるDXの総合的な支援サービスの提供を開始しました。株価は、3月7日につけた安値383円をボトムにリバウンド基調が続いており、25日移動平均線が下値支持線として機能しています。
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【レシップホールディングス(7213)】
「MaaS、スマートシティに向けた新しい価値の提供」に注力
レシップホールディングス(7213)は、バス・鉄道用のワンマン機器や車載用照明灯具、フォークリフト用充電器などを手掛けています。2021年11月に発表した中期経営計画「CN2023」では、重点課題として「MaaS、スマートシティに向けた新しい価値の提供」を挙げています。株価は、一時、長い上ヒゲを残す形での調整もありましたが、中期的には2月18日につけた安値510円をボトムに緩やかなリバウンドが継続。75日移動平均線が下値支持線として機能しているため、同線水準での押し目狙いがおすすめです。
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【ディー・エヌ・エー(2432)】
他社との事業統合や提携により、「MaaS」領域での事業展開を加速!
ディー・エヌ・エー(2432)は2018年10月、「MaaS」分野におけるAI・クラウド・ITSなどの技術開発を行うための横断組織「モビリティインテリジェンス開発部」を発足しました。2020年2月には日本交通ホールディングスと配車アプリ事業を統合、3月には相互タクシーグループと配車アプリに関する提携を実施するなど、「MaaS」領域での事業展開を加速させています。株価は、4月20日につけた高値1973円をピークに調整していましたが、足元で75日移動平均線を下値支持線としたリバウンドの動きを見せており、引き続きの上昇を期待したいところです。
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【TOA(6809)】
放送システムを活用した「MaaS」の提案に期待
TOA(6809)は、音響機器や監視カメラなどのセキュリティ機器を手掛けています。交通インフラ市場向けのソリューションとして、多くの鉄道・空港施設に放送設備を納入した実績を持っており、「空港に電車やバスで向かう際に、遅延などフライト情報を提供する」など、放送システムを活用した「MaaS」の提案が見込まれます。株価は調整が続いていましたが、4月12日につけた安値646円をボトムにリバウンドを見せており、上値抵抗線として意識される25日移動平均線を捉えてきました。ここからのリバウンド狙いのスタンスとなります。
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以上、今回は「MaaS」関連銘柄を発掘しました。
「MaaS」は、前述したように利用者にとっての利便性の向上や交通機関の収益増加にとどまらず、都市部での渋滞の解消や自動車の排ガスの減少、過疎地域の交通問題の解消といった波及効果が考えられます。
また、SDGsでは169のターゲットの一つとして「公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する」が挙げられています。「MaaS」は、SDGsのこのターゲットを実現するために不可欠な技術と言えるでしょう。
今後ますます重要性が増してくることが期待できる「MaaS」の関連銘柄は要注目です。
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