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世界中の中央銀行が金融引き締めを加速したことで株価が下落し、
「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」も“弱気相場”に!
世界の主要47カ国の株式をカバーする株価指数「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(現地通貨建て)」が、6月17日時点で702.8と、直近高値の1月4日から20.7%下落して「弱気相場」に入ったことが話題になっています。欧米を中心にした世界各国の中央銀行が、インフレへの対応で金融引き締めを加速した結果、各国の景気を冷やし過ぎる「オーバーキル」への警戒が世界の株式市場で強まっているからです。
とりわけ、世界の株式市場に最も大きな影響を及ぼす米国の株式相場の下落が止まりません。
前週末6月17日のNYダウは小幅に続落し、前日比38.29ドル安の2万9888.78ドルと、2020年12月以来の安値で取引を終えました。ちなみに前週のNYダウは4.8%安と、週間の下落率では今年最大でした。また、S&P500種株価指数は同5.8%安と、コロナ禍で急落した2020年3月下旬以来の大きな下げとなり、2022年1月初旬の最高値からの下落率も「弱気相場」入りしたとされる20%を超えました。そして、ナスダック総合株価指数も1週間で4.8%下落しました。
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日経平均株価は、2万6200円を明確に上抜けたら、
25日移動平均線付近までのリバウンドが期待できる
無論、日本株も米国株式市場の影響をモロに受け、低迷しています。具体的には、6月20日の日経平均株価は一時2万5520.23円をつけ、5月12日の2万5688.11円を割り込む場面がありました。終値は前週末比191.78円安の2万5771.22円と、5月12日の安値を上回りましたが、非常に上値の重い1日でした。
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6月20日に、投資顧問会社や証券会社、専業投資家の友人達に相場観に関してヒアリングしたところ、ほぼ全員が「現在は底値圏であり、売られ過ぎ。早晩、リバウンドが発生する!」と見ていました。実際、20日の騰落レシオ(6日)は36.98%と、売られ過ぎを示唆していました。
また、6月20日の安値2万5520.23円は、25日移動平均線ベースのマイナス2σの2万5714.58円を割り込みました。そして、20日のRCI(順位相関指数/9日)もマイナス96.67%と売られ過ぎを示唆していました。よって、多くの友人が、テクニカルリバウンドを想定していたのでしょう。
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ただし、6月20日の日経平均株価の高値は始値の2万6156.62円で、完璧な「寄付き天井」でした。また、前週末の17日の高値は2万6072.35円でした。このことから、目先は2万6100円~2万6200円のゾーンで“戻り待ちの売り(下落相場中の一時的な上昇時に出てくる売り)”が出る見通しです。そして、このゾーンを“明確に”上抜けることができたら、25日移動平均線(20日時点2万7043.33円)付近までのリバウンドが発生するというのがメインシナリオです。
一方、今後も日経平均株価が下値を切り下げ、その結果、25日移動平均線ベースのボリンジャーバンドが「エクスパンション」し、日経平均株価がマイナス2σとマイナス3σとの間を行き来する「バンドウォーク」の動きで底入れに向かう、というのがサブシナリオです。
日経平均株価は米国の株式相場に大きく左右されるが、
米国では非常に高い確率で「リセッション」が起こる!
いずれにせよ、日経平均株価が上がるも下がるも、すべては米国株次第です。米国株がリバウンドするなら日本株もリバウンドするでしょうし、米国株が下値の模索を続けるようなら、日本株も下値を模索することになるでしょう。
その米国では、バイデン米大統領が6月20日、スタグフレーション(経済活動が停滞しているにもかかわらず,インフレーションが進む現象)に陥る確率が高いと見ているサマーズ元米財務長官と電話で会談した後、米国のリセッション(景気後退)は不可避ではないとあらためて指摘したそうです。
しかし、調査会社CFRAによると、1948年以降に株式市場が高値から20%以上下落し、弱気相場入りしたのは12回あり、このうち9回で景気後退を伴っていたそうです。このことから、米国の株式市場が弱気相場入りしている現状を鑑み、非常に高い確率で米国景気は後退することになるでしょう。バイデン大統領の見通しよりも、市場の先見性を信頼しておいたほうが良さそうです。
実際、パウエルFRB議長は6月15日、金融当局としてインフレの抑制を進めることで、リセッション(景気後退)を招く可能性を実質的に認めました。というのは、パウエル議長が、失業率を押し上げるために景気抑制的な水準にまで政策金利を引き上げることに対して、初めて公に支持を示したからです。こうなると、相当高い確率でFRBはインフレ退治に成功するでしょうが、その副作用として米国の景気は悪化することでしょう。
ちなみに、FOMC参加者による米国経済の先行きの予想ですが、今年の米国のGDP予想は1.7%増と、2022年3月時点での予想2.8%増から引き下げられました。また、失業率についても2024年末に4.1%への上昇があり得るとするなど、景気後退シナリオに修正済みです。
日銀による「金融緩和の堅持」という方針により、
日本株は米国株の動きに連動はするものの相対的に強い値動きに!
景気と雇用を犠牲にしてでもインフレを封じ込めようとするFRBと対照的に、日銀は6月17日の金融政策決定会合で大規模な金融緩和の堅持を決めました。ただ、世界の中央銀行は金融引き締めを一段と加速していて、海外の金利は上昇しているため、日本の長期金利に強い上昇圧力がかかっています。
このような状況下、債券利回りの上昇を抑える日銀の試みが持続不可能と見るヘッジファンドが日本国債をショートしていますが、日銀はイールドカーブ・コントロール(YCC)で金利を押さえつけ、資産購入で市場にマネーを流し続けています。
この日銀の政策は、日本株にとってはポジティブな要因です。このため、日本株は米国株の動きに連動はするものの、相対的に強い動きを続ける見通しです。また、この金融政策の明確な違いが、外国為替市場で円安・ドル高圧力として機能するはずです。そして、この円安は、日本の外需企業の収益にプラスに作用し、日本株を下支えすると考えています。
ですが、米国株が中長期的な「ブルマーケット(上昇相場)」に回帰するまでは、短期的な米国株の上昇は、中長期の下げ局面で株価が一時的に反騰する「ベアマーケット・ラリー」と考えるべきです。
日本株も同様です。日本株の中長期的なトレンドは下向きなので、例えば、日経平均株価が短期的に上昇して記録した直近の2回の高値(3月25日の2万8338.81円、6月9日の2万8389.75円)は、どちらも「ベアマーケット・ラリー」によるものだと考えるべきです。。
日米共に中長期の下落トレンドが上昇トレンドに転換するには、相当な時間、または想定を超える政策の転換が必要と見ています。よって、株式投資で儲けるには、難易度の高い状況が続くことでしょう。当分の間は、資金管理を厳格にして、生き残ることを最優先に相場に臨むことを強くおすすめします。
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