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記録的に早い梅雨明けと連日の猛暑により、
「電力需給ひっ迫注意報」が4日連続で発令される
気象庁は、6月27日に関東甲信と東海、九州南部が、そして28日に九州北部と四国、中国、近畿、北陸が梅雨明けしたと見られることを発表しました。各地とも平年より早い梅雨明けで、関東甲信と近畿などでは、統計を取り始めた1954年以降、最も早い梅雨明けとなりました。
梅雨明けに伴い、各地の気温も上がっています。身体がまだ暑さに慣れていないなか、6月25日には全国的に気温が上昇し、群馬県伊勢崎市では40.2度を観測。気象庁によると、国内で6月に気温が40度を超えるのは観測史上、初めてだということです。
いきなりの猛暑に見舞われたことで、冷房の使用などによる電力需要が増えています。資源エネルギー庁は、東京電力管内の電力需給が厳しくなる(電力供給の余力「予備率」が5%を下回る)として、6月27日〜30日の4日連続で「電力需給ひっ迫注意報」を発令。「熱中症にならないよう暑い時間帯には引き続き冷房などを活用いただきつつ(中略)、無理のない範囲での節電をお願いします」と呼びかけています。
電力が不足しているのは東京だけではありません。東北電力は6月28日、東北6県と新潟県で電力供給の余力を示す「予備率」が29日に5%を下回る可能性があるとして「電力需給ひっ迫準備情報」を発表。また、北海道電力も、6月27日に初の「電力需給ひっ迫準備情報」を出し、節電を呼びかけました。
猛暑の影響で電力需給がひっ迫していることから、東京電力と中部電力の合弁会社JERAは、7月1日に予定していた千葉県の姉崎火力発電所5号機の再稼働を1日前倒しして、6月30日に稼働を開始しました。姉崎火力発電所の再稼働により、需給のひっ迫はある程度緩和される見通しですが、暑さが本格化する7~8月に向けて予断を許さない状況が続いています。
電力需給への不安の高まりを背景に
電気をためておける「蓄電池」関連銘柄に注目!
電力需給への不安が高まっている背景には、猛暑だけではなく、さまざま要因が考えられます。例えば、ロシアのウクライナ侵攻により、発電用燃料であるロシア産LNGの供給が途絶するリスクが高まっていることもそのひとつです。
また、脱炭素(カーボンニュートラル)の流れのなかで、再生可能エネルギーの導入が進んでいますが、発電方法によっては安定性の問題が指摘されています。例えば、太陽光発電は、雲がかかっていれば発電量は低下します。また、風力発電も風の状況によって発電量が不安定になるなど、課題があります。
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こうした状況のなか、電気をためておける「蓄電池」への注目度が高まっています。十分な性能のある蓄電池を活用できれば、余っている夜間の電力を蓄電池にためておき、昼間のピークタイムの需要を補うことが可能です。また、発電量が不安定な太陽光発電や風力発電の欠点も、蓄電池でカバーすることができます。
そこで今回は電気を蓄える「蓄電池」の需要が高まるとの見方から、その関連銘柄に注目しました。銘柄としては、「蓄電池」関連として代表的な銘柄のほか、個人投資家主体の短期的な物色を想定した中小型株をピックアップしました。具体的には、以下の通りです。
【代表的な銘柄】
・ニチコン(6996)
・村田製作所(6981)
・パナソニック ホールディングス(6752)
・ジーエス・ユアサ コーポレーション(6674)
【短期的な物色を想定した中小型株】
・ダイヤモンドエレクトリックホールディングス(6699)
・古河電池(6937)
・正興電機製作所(6653)
【ニチコン(6996)】
中規模施設向けから大規模施設向けまで、幅広く蓄電システムを提供
ニチコン(6996)は、安全性に優れたオリビン型リン酸鉄リチウムを電池セルに採用した公共・産業用の蓄電システムを手掛けています。スーパーやコンビニ、ロードサイドショップといった中規模施設から、商業施設や多目的ホール、オフィスビルなどの中・大規模施設、さらに、大型工場や大型物流拠点、プラントといった大規模施設まで、幅広く蓄電システムを提供しています。株価はしばらく下落が続いていましたが、直近で75日移動平均線を下値支持線としてリバウンドの動きを見せています。調整一巡からのさらなる株価上昇が期待できます。
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【村田製作所(6981)】
高性能リチウムイオン電池「FORTELION」を蓄電池モジュールに搭載
村田製作所(6981)は、オリビン型リン酸鉄リチウムイオン二次電池「FORTELION」を搭載した蓄電池モジュールを手掛けています。高い安全性能や急速充電性能、さらに15年以上の長寿命が期待できる製品で、住宅系の小規模システムから電力系の大規模システムまで柔軟に対応します。株価は、75日移動平均線に上値を抑えられていますが、直近のボトム水準での底堅さも見られます。75日移動平均線の突破を想定し、押し目買いのスタンスで臨みましょう。
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【パナソニック ホールディングス(6752)】
太陽光発電システムへの追加設置が可能な蓄電システムを手掛ける
パナソニック ホールディングス(6752)は、公共・産業用の蓄電システムを提供しています。既設の太陽光発電システムへの追加設置が可能で、太陽光発電の余剰電力を蓄電池に充電して自家消費することにより、購入電力量を削減できます。株価は、2021年10月以降、下落トレンドが続いていますが、1100円付近での底固さを見せており、押し目買いを狙いたいところです。
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【ジーエス・ユアサ コーポレーション(6674)】
「鉛蓄電池」「リチウムイオン電池」「アルカリ蓄電池」の3タイプを展開
ジーエス・ユアサ コーポレーション(6674)は、産業用鉛蓄電池、産業用リチウムイオン電池、産業用アルカリ蓄電池の3タイプの蓄電池を手掛けています。産業用鉛蓄電池は、電源装置と組み合わせ、ビルや公共施設などの電源のバックアップシステムとして利用されています。また、産業用リチウムイオン電池は航空・宇宙分野や鉄道車両など、産業用アルカリ蓄電池は車両用など、それぞれ幅広い分野で使用されています。株価は下落トレンドが続いていましたが、2000円辺りでの底堅さが見られます。一方で上値は75日移動平均線が上値抵抗線として意識されていますので、押し目狙いのスタンスとなります。もし、75日移動平均線を突破してくるようなら、1月の高値2669円が意識されます。
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【ダイヤモンドエレクトリックホールディングス(6699)】
トヨタの住宅用蓄電システムに新製品を供給
ダイヤモンドエレクトリックホールディングス(6699)は6月2日、トヨタ自動車(7203)が2022年8月から販売を開始する住宅用蓄電システム「おうち給電システム」に製品が採用されたことを発表。太陽光発電や蓄電池を制御する「ハイブリッドパワーコンディショナ」と、電圧を変換する「DCDCコンバータ」を供給します。株価は、強いリバウンドの動きが続いており、短期的には過熱感が警戒されやすいでしょう。ただし、足元で52週移動平均線を突破してきたことから、長期シグナルは好転。上昇トレンドが一段と強まる可能性もありますので、押し目を買っておきたいところです。
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【古河電池(6937)】
蓄電池と空調機体などをパッケージ化した蓄電システムを販売
古河電池(6937)は、蓄電池とバッテリーマネジメントシステム、空調機、屋外筐体をパッケージ化した蓄電システム「FBESS(エフベス)」を手掛けています。太陽光発電の出力変動への対応など、再生可能エネルギーの有効利用に適しています。株価は、直近のリバウンドにより25日・75日移動平均線を突破しています。
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【正興電機製作所(6653)】
住宅用蓄電システムや産業用蓄電システムを提供
正興電機製作所(6653)は、電力・環境エネルギー分野をコアにインフラ事業を手掛けています。蓄電システムとしては、家庭用から小規模店舗まで対応する住宅用蓄電システムや産業用蓄電システムを提供しています。産業用蓄電システムには「太陽光ハイブリッドタイプ」があり、これは太陽光発電でつくり出した電力を直接蓄電池へ充電するため、高効率を実現しています。株価は1050円辺りで底固めの動きが見られるので、25日移動平均線の突破をにらんだ押し目買いのスタンスとなります。
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以上、電力需給のひっ迫によって重要度が増している「蓄電池」関連の銘柄を発掘しました。
なお、資源エネルギー庁が5月27日に発表した「2022年度の電力需給見通しと対策について」によると、2022年度の冬の電力需給の見通しは「1、2月で東京から九州エリアで、10年に一度の厳しい寒さを想定した場合に安定供給に最低限必要な予備率が確保できていない状況」としています。
今夏だけではなく、冬に備えた動きとしても、コンビニエンスストアなどの店舗やオフィスビル、商業施設などの大型建物において、蓄電池の需要が高まる可能性がありそうです。
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