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金融業界で古くなった基幹系システムを刷新する
「モダナイゼーション」の動きが活発化!
NTTデータ(9613)は11月18日、高い信頼性が求められる銀行向けシステム専用のクラウドサービス「統合バンキングクラウド」の提供に向けた検討を開始したことを発表しました。NTTデータがデータセンターとハードウェア、ミドルウェアを集約し、ワンストップで提供することで、各銀行は基幹システムの運用を効率化して管理負担を削減することが可能となります。
「統合バンキングクラウド」の今後のスケジュールとしては、2028年を目処にNTTデータが提供する地方銀行・第二地方銀行向け基幹系共同センター「地銀共同センター」へ適用。さらに2030年を目処に、NTTデータが手掛けるもう一つの銀行向け基幹系共同センター「MEJAR」などへの適用を検討します。
この「統合バンキングクラウド」が稼働すれば、全国の地方銀行など40行が銀行としての基幹システムを共通化することになり、各銀行は基幹システムの運用の効率化や管理負担の削減をすることができます。
また、ひろぎんホールディングス(7337)傘下の広島銀行は11月11日、次世代基幹系システムとしてメインフレームからクラウドへの移行を目指し、前出した基幹系共同センター「MEJAR」に合流。すでに「MEJAR」に参加している横浜銀行、東日本銀行、北陸銀行、北海道銀行、七十七銀行(8341)とともに、6行でシステムを共同利用する計画を発表しました。広島銀行は、2003年からふくおかフィナンシャルグループ(8354)とともに基幹系システム「Flight21」の共同運営を実施していますが、これを「MEJAR」に「モダナイゼーション」することになります。
「モダナイゼーション」とは、企業の古くなったハードウェアやソフトウェアなどのIT資産を最新の製品やシステムに置き換えることを意味します。企業の中には、メインフレームなど古くに導入した基幹システムを大規模改修しないまま使い続けているところもありますが、近年そうした企業が「モダナイゼーション」する動きが活発化しています。金融機関においても、DX推進が叫ばれるなかで企業競争力の維持や強化を実現する手段として、今回の広島銀行のような次世代基幹システムへの移行が重要になることは間違いないでしょう。
そこで、今回は「金融システム開発」の関連銘柄に注目したいと思います。
「メーカー系」「ユーザー系」「独立系」のなかから
最も利益成長期待が大きい「独立系」のSIerに注目!
「金融システム開発」関連銘柄の中心は金融系に強いSIer(エスアイアー:システムインテグレーター)で、顧客のITシステムのコンサルティングから設計、開発、運用まで一貫して請け負う企業となります。
SIerは大きく分けて「メーカー系」「ユーザー系」「独立系」に分類できます。
メーカー系は、その名の通りメーカーから派生したSIerで、NECネッツエスアイ(1973)、NECソリューションイノベータ、日立システムズ、日立ソリューションズ、富士通Japan、富士通ネットワークソリューションズなどが挙げられます。
ユーザー系は電通国際情報サービス(4812)、野村総合研究所(4307)、日鉄ソリューションズ(2327)、NTTデータ(9613)、伊藤忠テクノソリューションズ(4739)など、企業の情報システム部門が子会社や関連会社として独立してできたSIerです。
そして独立系は、前述した2タイプのような親会社はなく、独自にソフトウエア系のシステム開発などを行ってきたSIerです。
この3つのなかで、「独立系」は親会社やグループ企業の案件にとどまらずさまざまな開発プロジェクトに参入できるため、最も利益成長期待が大きいと考えられます。そこで今回は金融系に強い独立系SIerに注目。業績やテクニカル面を考慮して銘柄を選定しました。
【TDCソフト(4687)】
「統合バンキングクラウド」の発表をきっかけに上場来高値を更新
TDCソフト(4687)は、金融業界のITソリューションに強みを持つ独立系SIerです。顧客企業のDXを推進するため、SmartSI(次世代型システムインテグレーション)の実現に向けた取り組みを強化しています。株価は、11月18日にNTTデータが「統合バンキングクラウド」について発表したことをきっかけに急騰しており、上場来高値(分割修正済み)を更新しました。1500円辺りを下値支持線とした一段の上昇が期待されます。
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【TIS(3626)】
クレジットカードの基幹システム開発で国内市場シェア約50%
TIS(3626)は、金融・決済分野に強みを持つSIerで、クレジットカードの基幹システム開発では国内市場シェア約50%、ブランドデビットカードのサービス提供やシステム開発では国内市場シェア約80%に達しています。11月2日発表の2023年3月期・第2四半期の決算では計画を超過した進捗となっており、通期計画を上方修正しました。顧客業種別売上高を見ると、金融系は「カード」、産業系は「サービス」などがけん引しています。株価は3月以降、長期的な上昇トレンドを継続。足元で9月につけた高値4320円をピークに調整を見せましたが、切り上がる75日移動平均線を下値支持線に緩やかにリバウンドしています。まずは9月の高値を狙ったスタンスで臨みましょう。
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【NSD(9759)】
大手銀行や保険会社からの受注が順調に伸長
NSD(9759)は、金融分野では銀行向けバンキングシステムや証券業向けシステム、カード業向けシステム、生命保険・損害保険業向けシステムなど、金融業界向けのシステムを幅広く手掛けています。10月31日に発表した2023年3月期・第2四半期の決算では、金融向けソフトウエア開発事業において、新規のシステム更改案件の獲得や既存案件の拡大で受注が伸長したことから、通期計画を上方修正しています。株価は11月1日につけた高値2663円をピークに足元で調整を見せていますが、切り上がる26週移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドが継続しており、リバウンド狙いのタイミングと言えるでしょう。
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【DTS(9682)】
金融や通信、公共、法人などのシステムを総合的にサポート
DTS(9682)は、金融や通信、公共、法人分野など幅広い業種・業態に対して、コンサルティングから、設計、開発、ハードウェア・ソフトウェアの選定・導入、運用、保守にいたるまでシステム関連を総合的にサポートしています。株価は、9月13日につけた高値3705円をピークに調整が続いていますが、切り上がる26週移動平均線が下値支持線として機能しているため、ここからのリバウンドが期待できます。
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【日本システム技術(4323)】
30年以上の開発ノウハウを詰め込んだ「BankNeo」を提供
日本システム技術(4323)は、30年以上携わってきた金融機関向け情報システムサービスの開発ノウハウを詰め込んだ情報系統合パッケージ「BankNeo」を提供。金融機関の顧客管理や営業支援、経営管理、相続支援、預り管理、電子帳票などの業務をサポートします。株価は10月半ば以降、強い上昇トレンドが継続。11月18日には1757円まで買われて上場来高値を更新してきたので、押し目を拾いたいところです。
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【東邦システムサイエンス(4333)】
顧客管理DB、営業支援システム、収益管理などに精通
東邦システムサイエンス(4333)は、情報系システムでは顧客管理データベースや営業支援システム、収益管理など、市場系システムではデリバティブ取引やその際のリスク管理などのシステム開発に精通しています。統合案件も数多く手掛けており、データベース基盤やデータ移行などを支援します。株価は9月下旬に大きく調整する場面が見られましたが、26週・52週移動平均線を下値支持線に緩やかなリバウンドが継続。足元では13週移動平均線も下値支持線として意識されており、リバウンド期待の銘柄として注目です。
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以上、今回は「金融システム開発」の関連銘柄を発掘しました。
最近では銀行以外でもキャッシュレス決済が浸透してきており、通信や大手スーパー、自動車など、さまざまな業界において金融ビジネスに参入する動きが見られます。そうした激しい競争を勝ち抜くためにモダナイゼーションの実施は待ったなしの状況となっており、金融機関向けの次世代システム案件が増加する可能性は十分にあると考えられます。こうした動きは、必然的に金融系に強いシステム会社への追い風になるでしょう。
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