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日銀が4月27日~28日に開いた金融政策決定会合の結果と、植田和男総裁の記者会見に対して、市場では「日銀はハト派的」との受け止められ方が多かったようです。その結果、早期の政策修正観測が遠のいて、外国為替市場で円安が進み、日経平均株価は急上昇しました。
日銀は、今回の金融政策決定会合で現行の長短金利操作(YCC)の維持を決め、短期の政策金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度で推移するように操作する方針を据え置きました。また、長期金利の変動幅の上限にあたる0.5%の利回りで長期国債を無制限に買い入れる「指し値オペ(公開市場操作)」を原則、毎営業日実施する方針も維持しました。そして、植田総裁は会合後の記者会見で、金融政策運営について「引き締めが遅れるリスクよりも、拙速な引き締めで物価上昇率2%を達成できないリスクのほうが大きい」との認識を示しました。
円安進行の主因は、ハト派的な日銀とタカ派的な欧米中銀の金融政策の違いです。つまり、日本と欧米との金利差拡大が意識されたことで、円を売ってドルやユーロを買う動きが優勢となっているのです。
ちなみに、米国ではFRBが5月2日~3日に開くFOMCで0.25%の利上げを決める見通しです。また、ECBは5月4日に開く理事会で利上げを継続すると見込まれています。
日経平均株価は大幅な続伸で2万9000円の大台を回復し、
短期と中期の両方で「上昇トレンド」が発生中!
日経平均株価については、日銀のハト派的な政策決定会合の結果を好感し、4月28日は前日比398.76円(1.40%)高の2万8856.44円と大幅に続伸しました。そして、5月1日の日経平均株価は、前週末比266.74円(0.92%)高の2万9123.18円と3日続伸。終値での2万9000円台回復は、2022年8月17日以来、約8カ月ぶりのことです。この日も、外国為替市場での円安が輸出関連株の株価を押し上げました。さらに、5月2日も続伸し、前日比34.77円(0.12%)高の2万9157.95円で終えました。
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テクニカル的には、5月2日の日経平均株価の終値は、5日移動平均線(2日現在2万8802.34円)、25日移動平均線(同2万8300.23円)、75日移動平均線(同2万7713.84円)、100日移動平均線(同2万7482.54円)、200日移動平均線(同2万7559.59円)のすべてを上回っています。また、4月17日から5月2日まで、25日移動平均線は12日連続で上昇し、中期の上昇トレンドが継続中です。
さらに、4月28日には「日経平均株価が5日移動平均線を上回り、かつ5日移動平均線自体が上向き」の状況に変化しました。つまり、4月28日に短期の上昇トレンドが発生したと認識しています。
今後に関しては「日経平均株価が5日移動平均線を下回り、かつ5日移動平均線自体が下向き」の状況になれば「短期的な調整局面入り」と判断しますが、上昇を続ける25日移動平均線が下向きに転じない限り、中期的な強気相場は続くと考えています。
米国史上2番目の規模の銀行破綻が発生したものの、
バイデン大統領の発言もあって株式市場への影響は限定的
ところで、米国の金融当局は5月1日、「ファースト・リパブリック・バンク(FRC)」が経営破綻したことを明らかにしました。米国史上2番目の規模の銀行破綻でしたが、預金や業務は「JPモルガン・チェース(JPM)」に引き継がれることが明らかとなったことで、3月のように金融不安が高まり、米国の株式市場が動揺することはありませんでした。なお、バイデン大統領は同日、「すべての預金者は保護され、納税者が負担を強いられることはない。金融当局による措置によって銀行システムの安全性と健全性は確保される」と述べたことも、投資家に安心感を与えたことでしょう。
実際、5月1日の米国株は、反落はしたものの堅調な動きを続けています。NYダウは3日ぶりに反落し、前週末比46.46ドル安の3万4051.70ドル。また、ナスダック総合株価指数は4日ぶりに反落し、同13.99ポイント安の1万2212.60ポイントでした。
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5月1日の米国株の下落は、金融不安が主因ではなく、4月の米国のISM製造業景況感指数が47.1と市場予想の46.7を上回ったことで、FRBによる利上げが長期化するとの観測が高まり、長期金利が上昇したことが主因だと見ています。ちなみに、5月1日の米国10年債利回りは、前週末比0.14%高の3.57%でした。
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「決算またぎ」はハイリスクなので避けるべきだが、
日本株全体については大きく崩れる兆候は見当たらない
日本に話を戻すと、今週は大型連休の谷間で、上場企業の決算発表はあまり予定されていません。しかしながら、来週は決算発表を予定している企業数が急増します。基本的に「決算またぎ(決算ギャンブル)」に関しては、あなた自身が先行き業績に対して余程の自信を持っていない限り、避けたほうが無難と考えています。決算発表直後の株価は、瞬間的に大きな動きを起こしやすく、読みが当たれば大きく儲かりますが、外れたら手痛い損失を被ることになりかねないからです。
ただし、日本株全体に関しては、現時点において大きく崩れる兆候は見当たりません。日本株が大崩れしないと見ている理由は、
(1)日銀がハト派的であることが確認できたこと
(2)東証の市場改革への期待感が高まっていること
(3)バフェット氏が日本株を高く評価していること
(4)外国為替市場で、主要通貨に対する円安が進行中であること
(5)海外投資家の日本株買いが継続していること
(6)新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に移行することで、国内の経済再開がさらに進み、インバウンド需要の回復期待も一段と高まる可能性が高いこと
などが挙げられます。
(5)の海外投資家の日本株買いに関しては、4月第3週(17〜21日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物株を2760億円買い越しました。買い越しは4週連続です。
(6)の国内の経済再開に関しては、ゴールデンウイークが4月29日から始まりましたが、繁華街は各地で賑わいを見せ、旅行客も復調しているとの報道が相次いでいます。
また、インバウンドについても回復しており、3月の訪日外客数は2019年同月比65.8%の181万7500人でした。米国をはじめとした欧米豪中東地域からの訪日外客数の大幅な増加が全体を押し上げ、2022年10月の個人旅行再開以降で最高数を記録しました。日本は欧米に比べて物価水準が低いうえ、現在、円安が進行中なので、訪⽇外客数はまだまだ増加する可能性が高いと見てよいでしょう。
以上のことから、当面の日本株については、決算を無事に通過した好業績銘柄の押し目買いが報われる、良好な投資環境が継続する見通しです。
ただし、今後は、相場全体は堅調でも、決算の内容次第で株価の明暗が分かれるという「跛行色(はこうしょく)が強まる局面」になっていくと見ています。「跛行色」とは「株価が上昇している銘柄がいくつもある一方で、株価が下落している銘柄も少なくない状況」のことです。全体的に不揃いでチグハグな値動きをしている状態で、特に決算発表シーズン後に発生しがちの相場です。
「日経平均株価は強いけど、自分の持ち株は下がり続ける」といった最悪の状況を避けるべく、今後は「円安メリット」「インバウンド」などのテーマ性を兼ね備え、かつ無事に決算を通過した好業績銘柄に狙いを絞ることをおすすめします。
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