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【日本株】日経平均株価が調整する中、出遅れていた「小型グロース株」に資金流入! 東証グロース市場指数のチャートが崩れるまでは“強気維持”のスタンスで!

2023年6月20日公開(2023年6月20日更新)
藤井 英敏
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ここまで海外投資家か日経平均株価を牽引してきたが、
現状、海外投資家が日本株を売るような悪材料は見当たらない!

 日経平均株価は前週まで、週間ベースでは10週連続で上昇し、連騰記録を歴代4位タイに伸ばしました。その間の累計上昇幅は、6187.77円(22.49%)に達しています。

■日経平均株価チャート/日足・6カ月
日経平均株価チャート/日足・6カ月日経平均株価チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 この連騰の牽引役は海外投資家です。6月第1週(5~9日)の投資部門別売買動向を見ると、海外投資家の現物株の買い越し額は9854億円で11週連続の買い越しとなり、11週間の買い越し額の合計は約5兆5000億円でした。また、6月第1週(5~9日)の先物の投資部門別売買動向(日経平均先物、TOPIXX先物、ミニ日経平均先物、ミニTOPIX先物の合計)でも、海外投資家は4315億円買い越しました。つまりこの週、海外投資家は現物株と先物との合算で1兆4169億円買い越しています。

 今後に関しては、海外投資家が売り越しに転じない限り、日経平均株価の急落はないと見ています。なお、現時点では、海外投資家が売り越しに転じるきっかけになる材料は特に見当たりません。このため、余程の想定外の悪材料が飛び出さない限り、日本株の上昇トレンドは続くと考えてよさそうです。もちろん、短期的な調整は今後もあるでしょうが、それは「絶好の押し目買い好機」になると見ています

日経平均株価と連動性の高いナスダック指数は上昇が続いているが、
今後のFOMCでの決定次第では「米国金利上昇・米国株安」のリスクも!

 日経平均株価が押し目を形成するきっかけとして考えられるのは、やはり米国株の調整でしょう

 6月16日のナスダック総合株価指数は7営業日ぶりに反落し、前日比93.25ポイント安の1万3689.57ポイントでしたが、週間では430.43ポイント(3.2%)上昇し、8週連続で上げました。また、週間ベースでは2018年12月~2019年3月以来の連続上昇で、この間の上げ幅は1617.11ポイント(13.40%)でした。

■ナスダック総合株価指数チャート/日足・6カ月
ナスダック総合株価指数チャート/日足・3カ月ナスダック総合株価指数チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 日経平均株価との連動性の高いとされるナスダック総合株価指数の動きが非常に強くなっている背景は、「米国の大幅な景気減速は避けられる」とする「ソフトランディング」のシナリオが支持されているからです。また、FRBが6月14日のFOMCで、利上げを11会合ぶりに停止したこともポジティブに作用したと見ています。

 ただし、FOMC参加者による年内の政策金利の到達点予測(中央値)は5.6%に引き上げられており、FOMC後もタカ派的な発言が相次いでいます。

 例えば、リッチモンド連銀のバーキン総裁は6月16日の講演で、米国の物価上昇率がFRBの目標である2%に戻る裏付けとなるデータが示されなければ「一段の金融引き締めに賛同する」との認識を示しました。また、ウォラーFRB理事も同日、「一部の銀行の経営不振を懸念して、金融政策のスタンスを変えることを支持しない」などと話しました。

 こうなると、金融政策の影響を受けやすい短中期債が売られ、短中期の金利が上昇することになります。これは米国の株式市場全体にネガティブに作用します。将来の急激な景気の冷え込みを招く「FRBによる引き締め過ぎ」への不安が強まることになるからです。

 現時点では、6月のFOMCで利上げを停止して、これまでの金融引き締め効果を見極める姿勢を示したことで「オーバーキル」を心配する必要はないと見ています。しかしながら、今後のFOMCでの決定次第では「米国金利上昇・米国株安」という事態に陥るリスクを、多少は考慮しておきたいところです。なぜならば、米国については、根強いインフレ圧力が依然として存在しているからです。

これまで相対的に遅れていた「小型グロース株」が好調!
「強気のパーフェクトオーダー」が崩れるまでは強気維持でOK

 一方、日本株に関しては、これまで大型株に対して相対的に出遅れていた小型のグロース株が買われ始めています

 具体的には、6月20日の東証グロース市場指数が前日比6.67ポイント(0.62%)高の1084.99ポイントで、5日移動平均線(20日時点1047.65ポイント)、25日移動平均線(同981.79ポイント)、75日移動平均線(同967.09ポイント)のすべてを上回ってきました。さらに、5日・25日・75日移動平均線が「強気のパーフェクトオーダー(複数の移動平均線が上から短期・中期・長期の順に並び、かつ移動平均線の向きがすべて上向きとなっている状態)」となっています。この「強気のパーフェクトオーダー」が崩れるまで、小型グロース株に関しては「強気維持」でよさそうです

■東証グロース市場指数/日足・3カ月
東証グロース市場指数/日足・3カ月東証グロース市場指数/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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日経平均株価は、5日移動平均線を終値で超えてこない限り、
現在の「短期的な調整」が継続して上値が重い状況が続く見通し

 大型株に関しても「強気維持」でよいでしょう。6月20日の日経平均株価は前日比18.49円(0.06%)安の3万3388.91円と続落し、5日移動平均線(20日時点で3万3490.66円)を下回ったものの、25日移動平均線(同3万1891.71円)、75日移動平均線(同2万9417.65円)はともに上回っています。

 また、私が最も重視している25日移動平均線は、4月17日から6月20日まで44日連続で上昇しています。ちなみに、より長期の75日移動平均線も4月10日から6月19日まで49日連続で上昇しています。

 よって、日経平均株価の中長期の上昇トレンドは崩れていないと考えています

■日経平均株価チャート/日足・3カ月
日経平均株価チャート/日足・3カ月日経平均株価チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 その一方で、5日移動平均線を終値で超えてこないと短期的な調整が続き、上値が重い状況が続くとも見ています。前述したように、日経平均株価は前週まで、週間ベースで10週連続の上昇と連騰記録を歴代4位タイに伸ばしたこともあり、流石に“上げ一服”になってもまったく不思議ではありません。大型株が足元の過熱を冷ますべく調整している間に出遅れていた小型グロース株が買われる、という“循環物色”が現在発生していると認識しています

 なお、日本の小型グロース株が調整入りするきっかけは、やはり米国のナスダック総合株価指数の調整入りでしょう。前週のナスダック総合株価指数は8週連続の上昇で、こちらも日経平均株価と同様に過熱感が否めません。また、CNN Moneyが開発した指標で、株式市場に対する投資家のセンチメントを示す指標として有名な「Fear and Greed Index(恐怖と強欲の指数)」は、6月16日時点で82と「Extream Greed:強欲の極み」の過熱(売り)ゾーンで推移しています。

 だからといって、米国株がすぐに下がるとは思いませんが、米国の株式市場全体が相当程度「楽観」に傾いており、なんらかのきっかけで大幅な調整をしてもまったく不思議ではないということは肝に銘じておくべきです。

 ただし、値ごろ感やオシレータ系テクニカル指標の過熱感だけを頼りにした安易な空売りなどは、厳に慎みましょう。空売りなどを仕掛けるのは、移動平均線などのトレンド系テクニカル指標で「売りサイン」が発生するまで待つべきでしょう。「売りサイン」が出るまでは、現在の上昇トレンドに上手く乗り、気分よく「買い」で儲けることをおすすめします。
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