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【日本株】日経平均株価の底値メドは「3万848円」!「7/24~25に底を打つ」というアノマリーを信じて、買い候補銘柄の“押し目”が来るのを虎視眈々と狙おう

2023年7月11日公開(2023年7月11日更新)
藤井 英敏
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日経平均株価の上昇トレンドが止まり「ダブルトップ」を形成!
現時点では「3万848.13円までの下落」がメインシナリオに!

 日経平均株価については、残念ながら、典型的な天井形成のチャートパターンである「ダブルトップ(二点天井)」が形成されました

■日経平均株価チャート/日足・3カ月
日経平均株価チャート/日足・3カ月日経平均株価チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 一番天井は6月19日の3万3772.89円、二番天井は7月3日の3万3762.81円、ネックラインは6月27日の3万2306.99円でした。そして、7月10日の終値は3万2189.73円、ザラ場安値は3万2065.63円と、ザラ場でも終値でもネックラインを割り込んでしまいました。よって「ダブルトップ」が形成されたと判断しています。

 想定天井は3万3767.85円(={3万3772.89円+3万3762.81円}÷2)で、ネックライン(3万2306.99円)との値幅は1458.86円です。

 現時点での押し目限界に関しては「ネックラインから同じ値幅だけ下落する」がメインシナリオです。つまり、押し目限界は、3万848.13円(=3万2306.99円-1458.86円)となります。

 ただし、3万848.13円まで下がる前に「日経平均株価が25日移動平均線を上回り、かつ25日移動平均線自体が上向きの状況」に変化したら、それは今回のダブルトップ形成に対する調整終了の明確なサインになり得る、と考えています。逆に言えば日経平均株価が25日移動平均線を上回り、かつ25日移動平均線自体が上向きの状況」に変化するまでは調整が継続する、と考えています。

日経平均株価が天井をつけた1つ目の理由は、インフレ懸念が根強く、
FRBの利上げ長期化観測が強まって米・長期金利が上昇したこと

 日経平均株価が「ダブルトップ」を形成してしまった主因は、大きく3つだと見ています。1つ目は、米国の長期金利が上昇し、米国株が軟調に推移していること。2つ目は、外国人投資家が日本株(先物・現物合計)に対して売り越しに転じたうえ、年金のリバランス売りが7月も継続している可能性が高いこと。そして3つ目は、外国為替市場でやや円高が進んでいることです。

 1つ目の「米国の長期金利」については、7月10日の長期金利の指標となる米国10年債利回りが前週末と比べて0.07%低い4.00%で取引を終えました。ですが、4日は4.066%、10日は4.064%と、6月30日の3.841%からは大幅に上昇して推移しています。

■米国10年債利回りチャート/日足・3カ月
米国10年債利回りチャート/日足・3カ月米国10年債利回りチャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 金利上昇の主因は、インフレ懸念が根強く、FRBの利上げが長期化するとの観測が強まっているからです。7月7日に発表された6月の米・雇用統計では、平均時給が前月比で0.36%増と市場予想の0.3%を上回る伸びとなりました。賃金との連動性が高いサービスインフレの高止まりを背景として、7月25日~26日に開かれるFOMCで0.25%の利上げが決まり、さらに9月のFOMCでも0.25%の利上げが決まるとの見方が強まっているのです。

 実際、7月10日にFRBのバー副議長(銀行監督担当)は「インフレは、まだかなり高過ぎる」と発言しました。同日、サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は「インフレ率を持続可能な2%水準に沿った軌道へと確実に戻すため、年内あと2回の利上げが必要になる公算が大きい」と述べました。さらに同日、クリーブランド連銀のメスター総裁も、FOMCの「年内2回の利上げを見込む」という予想に自身の見解が「一致している」と述べました。

 このような状況下、7月10日のNYダウナスダック総合株価指数は、ともに4営業日ぶりに反発したものの、ここ最近は調整色の強い値動き(上値の重い展開)となっています。金利上昇で、高PERのハイテク・グロース株の上値が重くなっていることが影響しています。

■NYダウチャート/日足・3カ月
NYダウチャート/日足・3カ月NYダウチャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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■ナスダック総合株価指数チャート/日足・3カ月
ナスダック総合株価指数チャート/日足・3カ月ナスダック総合株価指数チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 それでも、株式市場に対する投資家のセンチメント(心理状態)を示す指標として有名な指数「Fear and Greed Index」を見ると、7月10日時点で「78」と、依然として「EXTREAM GREED:強欲の極み」です。このため、米国株の急落リスクはまだまだ低いでしょう。

 ただし、同指数が「GREED:強欲」を通過して「NEUTRAL:中立」への動きが明確になるようだと、投資家の楽観ムードは消えてなくなり、急落リスクが高まると見ています。このため、サラリーマンの方は出勤前にこの指数のチェックしておきましょう。

日本株の積極的な買い手だった海外勢は売り手に回ったことに加え、
GPIFなどからのリバランス売りが7月以降も出続ける可能性が!

 次に、日経平均株価が「ダブルトップ」を形成した2つ目の理由「外国人投資家の日本株の売買動向」ですが、6月第4週(26~30日)の先物の投資部門別売買動向(日経平均先物、TOPIX先物、ミニ日経平均先物、ミニTOPIX先物の合計)によれば、海外投資家は5013億円売り越しました。現物株(東証・名証の合計)との合算では1971億円の売り越しとなります。なお、前週の6月第3週は、先物と現物株との合算で3018億円の売り越しでした。つまり、2週連続の売り越しです。

 海外勢は、急ピッチな相場上昇を受けて、引き続き利益確定の売りを出し続けているようです。4月下旬以降、日本株の急ピッチな上昇の牽引役だった海外勢が売り越しに転じたことで、日本株の上値が重くなることは当然と言えるでしょう。

 また、大和証券の試算によれば「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や大手の共済組合は1〜6月に合計で約6.2兆円分日本株を売る必要があった」「同期間の信託銀経由の売越額は4.2兆円止まり」とのことです。この期間内に売らなかった分が、7月以降も出ているのではないかとの観測が浮上しています

 積極的な買い手だった海外勢が売り手に回り、さらにGPIFなどからのリバランス売りが出続ける状況では、日経平均株価の上値が重くなるのは仕方のないことだと考えています。少なくとも、海外勢が買い越しに転じてくるまでは、日経平均株価の調整が続くと見ておく必要があります。

米国の長期金利は上昇傾向だが、投機筋の円売りポジションが
ピークに達したこともあり、当面は円高ドル安の流れに!

 3つ目の理由である「外国為替市場での円高」については、足元で米国の長期金利が上昇傾向にもかかわらず、日米の金利差拡大を期待した投機筋の円売りポジションが積み上がり過ぎてピークに達した可能性が高いことが主因と考えます。

■米ドル/円チャート/日足・3カ月
米ドル/円チャート/日足・3カ月米ドル/円チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 米国の商品先物取引委員会(CFTC)の7月3日時点のデータによると、ヘッジファンドなど投機筋の売買動向を示す「非商業部門」の米ドルに対する円の売越額は、11万7920枚となり、2018年1月以来およそ5年半ぶりの高水準になっています。つまり、もうこれ以上、円売りポジションを積み増すことができない(しない)レベルに達したと見てよさそうです。

 一方、7月10日の国内債券市場では、新発10年物国債の利回りが上昇し、前週末比0.020ポイント高い0.465%で取引を終え、4月28日以来の高水準となっています。日銀が7月27日~28日に開く金融政策決定会合で、賃金上昇やインフレ期待の高止まりを背景に、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)など金融政策の修正に踏み切るとの思惑が強まっていることが主因と見ています。

 正直、今回の会合で日銀が修正に動くかどうかはまったく分かりません。しかしながら、投機筋の円売りポジションがパンパンに膨れ上がっていること、米国の長期金利が上昇気味でも円が対ドルで底堅いこと、さらに、日銀の政策修正リスクがやや高まっていることを考慮すると、当面の円は対ドルで強い(円高方向への)動きを続けそうです。この円高も、日本株の上値圧迫要因として機能する見通しです。

今は「中長期的な上昇局面における短期的な調整局面」と考え、
買い候補銘柄の「押し目」を虎視眈々と狙う戦略がおすすめ!

 以上のことから、今の日本株は「中長期的な上昇局面における短期的な調整局面」と認識しています。

 有名な相場格言に「七夕天井・天神底」というものがあります。これは七夕前後に相場が天井をつけると相場は調整入りして、東京の「神田祭」や京都の「祇園祭」と並んで日本三大祭の1つになっている大阪府大阪市の「天神祭」(今年は7月24日~25日)前後に底を打つというアノマリー(経験的に観測できるマーケットの規則性)です。

 現時点においては、この「七夕天井・天神底」が実現する展開がメインシナリオなので、買い候補銘柄の押し目を虎視眈々と狙う戦略をおすすめします。
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