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マニラで渋滞により1日あたり約90億円の損失が発生するなど、
東南アジア諸国では経済発展に伴う交通渋滞が社会問題に!
東南アジアの都市では経済発展に伴う交通渋滞が社会問題となっており、自動車に代わる移動手段として鉄道インフラの整備が進んでいます。
東南アジアにおける鉄道インフラの整備状況は、各国の経済成長や面積、人口、物流ニーズなどの要因に応じて異なっていますが、どの国でも渋滞の深刻化や環境意識の高まりが、鉄道インフラ拡大の背景にあることは間違いないでしょう。
日本経済新聞は7月11日、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシア、インドネシアの首都圏や主要都市を走る通勤鉄道を集計したところ、2023年1月時点で1147キロメートルだった総延長が、2024年中には1356キロメートルに延びることがわかったと報じました。
これらの国々では渋滞が深刻化しており、ノロノロと動く自動車の隙間をバイクや自転車が走行している映像を、テレビなどで観たことがある人も多いと思います。実際、マニラでは幹線道路の渋滞が常態化しており、渋滞による社会的損失は1日あたり35億ペソ(日本円で約90億円)に相当すると試算されています。また、渋滞が常態化する状況では、自動車の排気ガスによる大気汚染も深刻です。
こうした社会的損失や環境負荷を減らすため、東南アジアの各国では、都市鉄道をいかに広げるかが共通の課題となっています。
東南アジアの鉄道インフラ整備の活発化で
業績アップが期待できる「鉄道」関連銘柄をピックアップ!
タイのバンコクでは、初のモノレール路線となるMRTイエローラインが6月3日から運行を開始しました。総延長は30.4キロメートル、23カ所に駅が設けられており、運賃は日本円換算で約61~183円に設定されています。
イエローラインは開業から1カ月間は運賃無料でしたが、7月3日から有料化して商業運航しています。運航を開始した6月3~19日までの17日間の累計利用者数は、運賃無料の効果もあり、67万人を超えたそうです。
バンコクに限らず、東南アジア各国では今後、鉄道インフラの整備が活発化すると考えられることから、今回は「鉄道」関連銘柄に注目しました。
海外事業に関わる「鉄道」関連銘柄としては、日立製作所(6501)が多くの実績を有しており、大口の受注も相次いでいることで中核銘柄として挙げられますが、今回はあえて除外。その他の海外実績を持つ企業の中から、株価やチャート形状などのテクニカル面を考慮して選定しました。
【清水建設(1803)】
タイ・ジャカルタの都市高速鉄道の工事を受注
清水建設(1803)は、2022年9月にインドネシアの国営建設会社、アディカリヤと共同企業体(JV)を組成し、ジャカルタ都市高速鉄道・南北線の2期工事のうち、地下駅舎3駅の建設を含む施工延長1840mの地下工区を受注ししました。株価は、13週移動平均線に沿った強いトレンドが続いており、2021年6月以来の水準を回復。同水準を明確に上放れるようだと、2020年2月の高値1176円が意識されるでしょう。
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【川崎重工業(7012)】
1906年の製造開始以降、電車・新交通システムを提供
川崎重工業(7012)は、鉄道車両事業において、1906年に製造を開始して以来、革新的な技術力や高い品質・生産力を追求し続け、最先端技術を駆使した電車・新交通システムなどを提供しています。また、世界的なカーボンニュートラルに向けた流れのなか、鉄道車両用の水素供給システムも手掛けています。株価は、緩やかな上昇トレンドを描いて2018年4月の高値3840円を突破。7月6日の高値3868円をピークに足元で調整を見せていますが、2018年1月の高値4620円が射程に入っていますので、押し目狙いのスタンスとなります。
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【東洋エンジニアリング(6330)】
「ジャカルタ都市高速鉄道・南北線」を受注
東洋エンジニアリング(6330)は、2015年にインドネシア初の地下鉄となるジャカルタ都市高速鉄道・南北線を三井物産(8031)などと受注。プロジェクトマネジメントとともに、受配電設備や電車線、軌道、昇降機などの設計・供給を行いました。株価は、足元でリバウンドの動きが強まり、年初来高値を更新。ただし、ようやく底入れからリバウンドを始めたばかりの段階であり、2022年8月の高値730円、2021年8月の高値1040円辺りが意識されます。
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【近畿車輛(7122)】
エジプト・カイロの地下鉄向け車両を受注
近畿車輛(7122)は、1920年の創業以来、鉄道車両の製造を手掛けています。JR西日本や大阪市高速電気軌道、東京地下鉄や東京都交通局向け電車などが主力となりますが、海外事業に関しては、2022年11月に三菱商事(8058)と組み、エジプトの首都カイロの地下鉄向け車両を受注しました。株価は、7月5日に1810円まで買われ、2019年6月以来の水準を回復。足元では調整を見せていますが、長期的にはボトム圏から上放れてきた水準であり、2018年1月の高値3320円辺りが意識さます。
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【住友電気工業(5802)】
鉄道建設には欠かせない幅広い製品を一括で提供!
住友電気工業(5802)は、パンタグラフを通じて鉄道車両に給電するトロリ線を始め、電力ケーブルや信号ケーブルなど、鉄道建設には欠かせない幅広い製品を一括して提供しています。対外事業に関しては、タイの都市鉄道新路線・レッドライン建設プロジェクト向けの各種ケーブル類(総計約2800km)を、三菱重工(7011)から受注し、納入しています。株価は、利食いを交えながらも上昇トレンドが続いており、2018年1月の高値1992.5円、2015年6月の高値2037円辺りが次のターゲットになりそうです。
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【鉄建建設(1815)】
東南アジア・南アジアを中心に鉄道施設などに取り組む
鉄建建設(1815)は、鉄道を支える構造物や駅などの鉄道施設、鉄道に関連する都市施設・建築物などの建設を手掛けています。海外では、東南アジア・南アジアを中心に、主に鉄道施設や高規格道路などの社会インフラ整備事業に取り組んでいます。株価はリバウンドが継続しており、6月23日には2108円まで買われました。ただし、2020年以降はボトム圏で推移し続けてきて、今はようやく上放れてきた段階と言えるので、さらなるリバウンドに期待したいところです。
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以上、今回は海外事業を展開する「鉄道」関連銘柄を発掘しました。
鉄道インフラの案件は、数台の鉄道車両にとどまらず、インフラ整備全般などが含まれるため、数十億~数百億円規模の大型案件になります。経済成長が続く東南アジアの都市交通においては、一段と規模が拡大する可能性があるため、注目しておきたいところでしょう。
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