「お宝銘柄」発掘術!

「SAF(持続可能な航空燃料)」関連銘柄を解説!中東情勢の緊迫化による「原油価格の不安定化」と政府が進める「脱炭素化」で注目される“SAF”関連株を紹介

2023年10月13日公開(2023年10月13日更新)
村瀬 智一
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イスラエル紛争の深刻化によって原油価格が不安定となり、
「再生エネルギー」関連銘柄に注目が集まる可能性が!

 イスラム組織ハマスによるイスラエル側への急襲により、原油価格の動向に注目が集まっています。

 ニューヨーク市場で売買されるWTI原油先物は、2022年2月にロシアがウクライナへの本格的な軍事侵攻を開始したことをきっかけに上昇し、2022年3月には一時1バレル=130ドル台に乗せました。2022年6月以降は下落基調になり、2023年5月には1バレル=63ドル台まで下がったものの、7月以降は再び上昇に転じ、9月下旬には1バレル=95ドル台まで上昇していました。その後、10月6日には1バレル=81ドル台まで下落していましたが、10月9日には一時1バレル=86ドルまで上昇しました。

■原油(WTI原油先物)チャート/週足・2年
原油(WTI原油先物)チャート/週足・2年原油(WTI原油先物)チャート/週足・2年(出典:SBI証券公式サイト)
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 10月9日の原油先物価格の上昇要因は、パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスによるイスラエル側への急襲です。報道によると、ハマスによるイスラエルへの攻撃にはイランの革命防衛隊が関与していたとされ、ハマスに対するイスラエル軍の報復作戦により事態のさらなる悪化が懸念されています。また、米国人が戦闘に巻き込まれたり、ドイツ人がハマスに連れ去れたりと、複数の外国人が巻き添えになったとも報じられており、地政学リスクへの警戒感が高まっています。

 地政学リスクの高まりにより、株式市場では「防衛」関連へ短期資金が向かいやすくなっているほか、原油などエネルギー価格の高騰を警戒して「再生エネルギー」関連に対する関心も高まる可能性があるでしょう。「再生エネルギー」関連は、「脱炭素社会」という観点からも、市場で人気化しやすい投資テーマと言えます。

政府も普及を後押しする「脱炭素燃料」のひとつ、
「SAF(持続可能な航空燃料)」の関連銘柄をピックアップ!

「再生可能エネルギー」関連は、日本政府が推進する、いわば“国策テーマ”ですが、そのなかで今回注目したのが「脱炭素燃料」です。政府は脱炭素社会の実現に向けた多様な選択肢の一つとして、脱炭素燃料の技術開発を促進することが必要であるとの見解を示しています。6月に公表された「『CO2等を用いた燃料製造技術開発』プロジェクトに関する国内外の動向について」によると、具体的には液体燃料の「合成燃料(e-fuel)」と「持続可能な航空燃料(SAF)」、気体燃料の「合成メタン(e-methane)」と「グリーンLPガス」の4つについて、社会実装に向けた取り組みを進めるとしています。

 この4つのなかで、今回は「SAF(持続可能な航空燃料)」関連の銘柄を紹介したいと思います。
【※関連記事はこちら!】
「SAF(持続可能な航空燃料)」関連銘柄を解説! 航空業界の脱炭素化に欠かせない「SAF」は、政府も環境整備や開発支援を積極的に進める“国策テーマ”!

 SAFに関しては、現在、以下のように複数の原料・技術があります。

【SAF(持続可能な航空燃料)の製造方法の主な分類】
(1)廃食油、牛脂、微細藻類などのHEFA(植物油や動物油、廃食油から炭化水素系燃料を製造する技術)
(2)サトウキビやトウモロコシを使ったATJ(エタノールをジェット燃料に改質する技術)
(3)木くずや廃プラスチックなどのガス化とFT合成(合成ガスから石油代替燃料・化学品を合成する技術)
(4)CO2と水素による合成燃料の製造

 SAFの普及のためには、一つの原料や技術に限定することなく、幅広く技術開発を進めていく必要があるでしょう。

「SAF」関連としては、ENEOSホールディングス(5020)コスモエネルギーホールディングス(5021)などの石油株、三菱商事(8058)三井物産(8031)などの商社株、日揮ホールディングス(1963)などのプラント株が代表的な銘柄として挙げられます。しかし今回は、あえてそうした主要銘柄を避け、SAF製造に向けた取り組みを行っている食品関連企業をピックアップしました。

【ユーグレナ(2931)】
食用油と微細藻類からバイオ燃料「サステオ」を抽出

 ユーグレナ(2931)は、使用済みの食用油と微細藻類ユーグレナから抽出されたバイオ燃料「サステオ」を開発。6月に、航空自衛隊・岐阜基地所属の戦闘機F-2、F-15の2機体に給油・使用された実績を持ちます。株価は下落トレンドが続いており、10月5日には720円まで売られて年初来安値を更新。底入れしたかどうかについては、もうしばらく確認する必要はありますが、25日移動平均線とのカイ離が拡大しており、売られ過ぎによる修正リバウンドが意識されます。

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ユーグレナ(2931)チャート/日足・6カ月ユーグレナ(2931)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【トリドールホールディングス(3397)】
「丸亀製麺」などから出る使用済み食用油をSAF原料として供給

 トリドールホールディングス(3397)は、讃岐うどん「丸亀製麺」などをチェーン展開しています。「丸亀製麺」などの店舗で発生した使用済み食用油を国産SAF製造の原料として供給することについて、8月25日付けで日揮ホールディングスなどと相互に協力する基本合意書を締結しました。そのニュースが発表された9月4日には4075円まで買われましたが、8月16日の高値4080円を越えられなかったことから、その後は調整が続いています。足元の調整で75日移動平均線まで下げており、今後のリバウンドが期待されます。

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トリドールホールディングス(3397)チャート/日足・6カ月トリドールホールディングス(3397)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【FOOD & LIFE COMPANIES(3563)】
「スシロー」などで使用される廃食用油をSAFに活用

 FOOD & LIFE COMPANIES(3563)は、「スシロー」や「京樽」「海鮮三崎港」「杉玉」などをチェーン展開しています。4月5日に日揮ホールディングスなどと、使用済み食用油を国産SAF製造の原料として供給することについて相互に協力する基本合意書を締結。なお「スシロー」などで廃棄される食用油の量は、年間およそ90万リットルを見込んでいるそうです。株価は、9月5日につけた2956円を戻り高値に調整が続いており、一時2500円を下回る場面も見られました。ボリンジャーバンドの-2σを下値支持線としたリバウンドから−1σを捉えており、押し目狙いのスタンスになりそうです。

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FOOD & LIFE COMPANIES(3563)チャート・ボリンジャーバンド /日足・6カ月FOOD & LIFE COMPANIES(3563)チャート・ボリンジャーバンド /日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト) ​※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【コロワイド(7616)】
年間約380万リットル使用される食用油をSAFとして再資源化

 コロワイド(7616)は「かっぱ寿司」や「大戸屋ごはん処」「FRESHNESS BURGER」など、直営とフランチャイズを含めて2300店舗を展開。揚げ物用の食用油の調達量は年間約380万リットルになりますが、その廃油をSAFとして再資源化することについての基本合意書を、日揮ホールディングスなどと5月10日に締結しました。株価は、9月13日につけた高値2648円をピークに調整が続いており、一目均衡表では雲下限を捉えています。このまま雲下限での底堅さが見られるようですと、底入れ感からのリバウンドが期待できます。

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コロワイド(7616)チャート・一目均衡表/日足・6カ月コロワイド(7616)チャート・一目均衡表/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【セブン&アイ・ホールディングス(3382)】
傘下のイトーヨーカ堂のプランが東京都の事業に採択

 東京都は、SAF製造につなげる新たなサプライチェーンの構築を後押しするため「廃食用油回収促進に係る事業提案」を公募。そこで、セブン&アイ・ホールディングス(3382)傘下のイトーヨーカ堂を事業主体とした「都内店舗を回収拠点とし、リターナブルボトルを活用した国内未利用資源(家庭系廃食用油)の回収・国内最大規模のSAF製造に向けたリサイクル等事業」が採択されました。株価は、先週までの調整で週足のボリンジャーバンドの-3σまで下げたことから、売られ過ぎに対するリバウンドが期待できます。

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セブン&アイ・ホールディングス(3382)チャート・ボリンジャー/週足・1年セブン&アイ・ホールディングス(3382)チャート・ボリンジャー/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
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【日清食品ホールディングス(2897)】
SAFを推進する団体「ACT FOR SKY」メンバー企業

 日清食品ホールディングス(2897)は、使用済み食用油を原料とするSAF製造を手掛けており、日揮ホールディングスなどが設立したSAFの商用化および普及・拡大に取り組む有志団体「ACT FOR SKY」のメンバー企業でもあります。株価は、上向きで推移する13週・26週移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドが続いています。足元で5月につけた高値1万3300円に接近しており、調整場面では押し目買いを狙いたいところです。

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日清食品ホールディングス(2897)チャート/週足・1年日清食品ホールディングス(2897)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
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 以上、今回は「SAF(持続可能な航空燃料)」関連銘柄を発掘しました。

 政府は、石油系燃料から低炭素の代替燃料であるSAFへの移行について、2030年に国内空港で給油するジェット燃料の1割をSAFに切り替えることを目標を掲げています。そのなかで、使用済み食用油は全体の約3割が海外に輸出され、それを原料として製造された割高なSAFが輸⼊されています。こうした状況からも、今後、国内での廃食油の効率的な回収や処理といった環境整備が期待されます。
【※関連記事はこちら!】
「SAF(持続可能な航空燃料)」関連銘柄を解説! 航空業界の脱炭素化に欠かせない「SAF」は、政府も環境整備や開発支援を積極的に進める“国策テーマ”!

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●Category①肉類
●Category②魚介類
●Category③加工食品
●Category④新米&ごはんのお供
●Category⑤果物・野菜
●Category⑥菓子・飲料

◎連載も充実!

◆目指せ!お金名人
◆10倍株を探せ!IPO株研究所2024年10月編
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