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全国の水道管の約20%で老朽化が進んでおり、
その交換費用が今後30年で33兆円以上に!
日本の水道普及率はほぼ100%を達成しており、水道管の長さの合計は約74万キロメートルにも及びます。これは地球18.5周分で、地球と月を往復できる距離に相当する長大なものになっています。このように「水インフラ」が整備されていることで、蛇口をひねれば安全な水が出て、いつでもきれいな水を飲むことができるのが、我々の日常生活において当たり前になっています。
しかし最近では、水道管が破裂したり水が濁るといった事故が多発しています。例えば2023年9月には、大阪府箕面市で水道管が破裂し、水が10メートル以上の高さまで上がる事態が発生しました。このような水道に係る事故は珍しくなく、毎月どこかで水道管の腐食や破損が原因で断水しており、全国の水道管の漏水や破損事故は年間2万件を超えています。
こうした事故の増加の大きな要因となっているのが、水道管の老朽化です。水道管の耐用年数は40年とされていますが、厚生労働省によると、耐用年数を超えた水道管は全国で15万キロを超えており、全水道管の約20%を占めているとのことです。これら老朽化した水道管の交換費用は、今後約30年間で33兆円以上かかると試算されており、水道料金の値上がりにもつながっています。
2024年4月に水道整備の管轄が国土交通省に移ることから、
水道管の老朽化対策が進めやすくなることに期待!
リクルートワークス研究所が2023年3月に発表した「未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる」によると、2040年には全国で労働供給が1100万人余り不足すると予測されています。また、同レポートは職種別シミュレーションも行っており、水道管のメンテナンスが含まれる「建設」は、2040年において298.9万人の労働需要に対して労働供給が233.2万人しかおらず、約22%も労働者が足りなくなると試算されています。
こうした労働力の不足により、老朽化した水道管の交換や転換作業といったメンテナンスが追い付かない状態が今後ますます進んでいく可能性があると言えるでしょう。
一方、2023年5月、厚生労働省の一部業務を他省庁に移管する厚生労働省設置法などの改正法が可決され、2024年4月から水道の整備が国土交通省に移ることが決まりました。国土交通省は下水道を所管していることから、上下水道を一体的に担うことで、老朽化対策の改善が進めやすくなることが期待されます。
そこで今回は「水インフラ補修」関連銘柄に注目しました。具体的な銘柄は、上下水道分野に強い企業のなかから、株価やチャート形状などのテクニカル面を考慮して選定しました。
【クボタ(6326)】
水環境プラント・機器向けIoTソリューション「KSIS」を提供
クボタ(6326)は、独自開発した水環境プラント・機器向けIoTソリューション「KSIS」を手掛けており、水環境プラント・機器の維持管理の省力化や効率化をサポートしています。2023年8月には日本鋳鉄管(5612)と、水道管として日本国内で広く使われているダクタイル鉄管の製造合弁会社の設立に関して基本合意しました。株価は下落が続いていますが、足元で節目の2000円を割り込んでおり、さらに週足の一目均衡表の雲下限まで下げているため、“調整一巡からのリバウンド”が期待できます。
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【日特建設(1929)】
老朽化した水道管を補修する「SPR工法」などを手掛ける
日特建設(1929)は、トンネルや橋梁、水利施設などの土木構造物全般について、長寿命化に向けた診断・補修・補強事業を展開しています。「水インフラ補修」関連の事業としては、既設管の内側に塩化ビニール製プロファイルを螺旋状に配し、既設管と一体化した複合管を築造するSPR工法などを手掛けています。株価は、足元の調整で26週移動平均線を割り込んでいますが、1000円辺りで推移する52週移動平均線が下値支持線として意識されることから、ここからのリバウンドが期待されます。
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【大成建設(1801)】
グループ会社が上下水道管の地中化工事を扱う
大成建設(1801)は子会社の大成ロテックが、高速道路や一般道路、空港・港湾、街路などのインフラ整備の一環として、上下水道管や電線類のライフラインを地中化する管路工事を手掛けています。株価は、直近の下落で26週移動平均線を下回ってきましたが、中長期的に見れば依然として26週移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドの範囲内のため、押し目買いのチャンスと言えるでしょう。
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【栗本鐵工所(5602)】
鋳鉄管やバルブなどの水パイプライン製品を展開
栗本鐵工所(5602)は、鋳鉄管やバルブ、強化プラスチック複合菅などの水パイプライン製品を展開。また、グループ会社のクリモトパイプエンジニアリングが、水道事業における管路の維持管理計画や経年管の管体調査、管寿命の診断、弁類の補修、管内カメラ、洗管などを手掛けています。株価は、高値圏での保ち合いを継続するなか、13週移動平均線を下値支持線とした底堅さが見られており、リバウンド狙いのタイミングと考えられます。
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【前澤工業(6489)】
上下水道用機器・水処理装置の専業メーカー
前澤工業(6489)は、上下水道や農業用水・河川関係の各種処理施設、さらに、これらに関連した機器や装置の設計・製作・据付を一貫して行っている上下水道用機器・水処理装置専業メーカーです。株価は、足元で急ピッチの下落を見せましたが、一気に26週移動平均線まで下げたことから自律反発が期待できます。
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【日本ヒューム(5262)】
水道管など幅広く利用されているヒューム管を手掛ける
日本ヒューム(5262)は、上下水道や農業用水、工業用水、さらに雨水を流すための管、地中に電線などのケーブルを通すための管など、あらゆる分野で幅広く利用されているヒューム管を手掛けています。また、ゲリラ豪雨や大型台風による下水道などの氾濫に対応するため、日本全国に雨水貯留管を提供しています。株価は、8月の急伸に対する調整が続いていましたが、足元で13週移動平均線まで下げてきており、リバウンド狙いのタイミングと言えるでしょう。
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以上、今回は「水インフラ補修」関連の銘柄を発掘しました。
水道の老朽管は突発的に破損する可能性が高く、もし水道管や下水道管が破損してしまうと上下水道が使用できなくなるのはもちろん、道路陥没の原因にもなり得ます。水道管の老朽化は市民生活に大きな影響を与えかねないため、今後、地震に強く漏水しにくい水道管へのリニューアルが加速することになりそうです。
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