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世界的な物価上昇トレンドが軟化しない限り、
日米の金利は上昇し、株式市場では上値が重い状態に
10月23日早朝の取引で、米国の長期金利の指標である米国10年債利回りは一時5.02%に上昇し、2007年7月以来16年ぶりの高水準をつけました。しかしながら、その後はポジション調整の買いが入り、結局、前週末比0.06%低い4.85%で取引を終えました。
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米国経済が底堅く推移しているため、FRBの金融引き締めが長期化する可能性が高いことに加え、米国債の発行増加による需給悪化懸念も根強いため、「米国の長期金利は上がりやすく、下がりにくい状況」が続いていると見ています。
一方、米国の長期金利の上昇の影響を受け、10月23日の国内債券市場で長期金利が上昇しました。指標となる新発10年物国債の利回りは前週末比0.025%高い0.860%と、2013年7月以来10年3カ月ぶりの高水準をつけました。そして、この長期金利の上昇基調が、日米の株式市場の上値圧迫要因として機能しています。
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なお、日銀は7月の金融政策決定会合で、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)の運用を柔軟化し、それまで上限としていた0.5%を「メド」に変更し、強制的に押え込む事実上の上限を1%に引き上げました。しかしながら、足元の急ピッチな上昇で1%が射程圏内に入っているため「日銀は10月30~31日に開く金融政策決定会合で、再び政策修正に動くのではないか」との観測が浮上しているようです。
今回修正するかどうかはわかりませんが、いずれにせよ、世界的な物価の上昇基調に変化が生じない限り、日米ともに長期金利に上昇圧力がかかり続けることでしょう。
原油価格高騰の最大要因である中東情勢は、
依然としての先行きが不透明な状況が継続
足元で、物価に最も大きな影響を与えるファクターが、原油価格の動向です。そして、原油価格に最も影響を与える要因が、中東の地政学リスクです。
中東情勢に関しては、米国がイスラエルに対し、イスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザでの地上侵攻を控えるよう助言しています。また、欧州各国政府も人質解放に関する交渉の場を与えるため、イスラエルに対して地上侵攻を控えるよう提案しているということです。
このように欧米の働きかけもあり、軍事衝突がすぐには激化せずに周辺国からの原油供給が滞るとの懸念が弱まった結果、10月23日のWTI原油先物の期近の12月物は前週末比2.59ドル(2.9%)安の1バレル85.49ドルで取引を終えました。
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当然のことながら、今後、原油先物価格が落ち着くようならば、米国の長期金利は下がりやすくなるでしょう。しかしながら、緊迫化している中東情勢の先行きは依然として流動的です。よって、予断を許せない状況が継続するものと覚悟しておく必要がありそうです。
実際、イスラエル現地メディアのタイム・オブ・イスラエルは10月22日(現地時刻)、イスラエルがハマスの核心人物を追跡・除去する特殊部隊「ニリ」(Nili)を組織したと報じました。やはり、イスラエルは本気でハマス壊滅を狙っているようです。
岸田首相の所信表明演説で示された「減税」などにより、
日本経済の先行き懸念が大幅に低下することに期待
それはさておき、国内では10月23日、岸田文雄首相が衆参両院の本会議で所信表明演説を行いました。
近く取りまとめる総合経済対策の第一のポイントは「供給力の強化」です。半導体や脱炭素のように安全保障に関係する大型投資をはじめ、特に2年から3年以内に供給力強化に資する施策に支援措置を集中させ、「変革期間」の呼び水とします。さらに、賃上げ税制を強化するための減税措置や、過去に例のない投資減税、特許などの所得に関する新たな減税制度、人手不足に苦しむ中堅・中小企業の省力化投資に対する補助制度をはじめ、抜本的な供給力強化のための措置を講じていくとのことです。
また、突発的なエネルギー価格の高騰に備え、省エネ・脱炭素投資のさらなる拡大を図ります。さらに、AI(人工知能)、自動運転、宇宙、中小企業の海外展開など、新しいフロンティアやイノベーションへの取り組みやスタートアップへの支援を強化します。
経済対策の第二のポイントは「国民への還元」です。急激な物価高に対して賃金上昇が十分に追いつかない現状を踏まえ、「デフレ完全脱却のための一時的緩和措置」として、まず現世代の国民の努力によってもたらされた成長による税収の増収分の一部を公正かつ適正に「還元」し、物価高による国民の負担緩和を図るようです。
このため、今後の東京株式市場では「半導体」「脱炭素(再生可能エネルギー)」「AI」「自動運転」、そして「宇宙」関連銘柄などへの関心が高まることでしょう。
また、さまざまな減税で企業の設備投資が活発化し、個人消費も下支えされる見込みのため、日本経済の先行き懸念が大幅に低下すると考えます。これは当然、日本株の下支え要因です。
外部環境が落ち着くまでは小型グロース株への投資を避け、
「東証プライム市場上場の大型株」の押し目を狙う戦略で!
ただし、国内要因が良好でも、中東情勢や米国の長期金利の動向など外部環境が不透明なため、当面の日本株の上値は重そうです。
日経平均株価については、10月4日の3万487.67円が「一番底」、13日の3万2533.08円が「戻り高値(ネックライン)」となり、現在は「二番底」を模索中との認識です。二番底のメドですが、4日の3万487.67円、200日移動平均線(24日現在3万235.84円)、そして、52週移動平均線(同2万9724.76円)などを想定しています。
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ちなみに、日経平均株価の25日移動平均線は10月23日まで15日連続で下降しました。今後に関しては「日経平均株価が25日移動平均線を上回り、かつ25日移動平均線自体が上向きの状況」になるまでは、現在の調整局面が続く見通しです。
なお、前回の記事でも指摘しましたが、日経平均株価は調整中とは言え、10月24日終値は3万1062.35円と、年初来安値である1月4日の大発会の2万5661.89円を大幅に上回っています。
一方、東証グロース市場指数は、10月24日の前場に797.08ポイントまで下落し、連日で上場来安値を更新するなど、相変わらずひどい状況が続いています。
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小型グロース株が軟調を続ける主因は、米国の長期金利がピークアウトする兆しが一向に見えてこないからです。小型グロース株を信用で買い建てている多くの個人投資家は、非常に苦しい状況に陥っているはずです。このため、チャートが悪化(株価が25日移動平均線を下回っているなど)して、かつ信用買い残が積み上がって信用需給の悪い、小型のグロース株は引き続き「アンタッチャブル」です。
小型グロース株については、値ごろ感からの安易な押し目買いや、ナンピン買いはご法度です。とにかく、外部環境が落ち着くまでは、国内外の機関投資家の押し目買いが見込める「東証プライム市場上場の大型株」の押し目買いを狙う戦略を強く推奨します。
日本株については、9月下旬以降、難易度の非常に高い相場が続いています。このため、当面は資金管理を厳格にして「生き残る」ことを最優先にして、相場に臨んでください。
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