<5368> 日本インシュレ 923 -6
日本インシュレーション<5368>はPBR0.5倍台で推移するなか、配当利回り4%超えで推移している。株価は1倍に是正された場合でも現状から5割高(1,530円程度)の水準となろう。安定的な収益と株主還元を兼ね備えた中小型バリュー株として引き続き注目に値する。
同社は5月13日、2026年3月期決算を発表した。売上高は14,393百万円(前期比17.8%増)、営業利益は1,611百万円(同56.9%増)で着地した。同社は3Q発表時に業績予想の上方修正を発表していたが、上方修正水準(売上高14,125百万円、営業利益1,458百万円)を大きく上回った。期中で受注したものが期末までに計上される特徴を持っており、建築関連では、工事部門は物流施設やオフィス等の耐火被覆工事の受注が増加。また、販売部門でも、住宅向け耐火被覆材や煙突用ライニング材の販売が好調に推移した。
プラント関連では、販売部門でメンテナンス案件向け保温材の需要が減少したものの、工事部門では鉄鋼・化学・石油分野等のメンテナンス工事および建設工事が堅調に推移したことから、プラント関連セグメント全体でも好調に推移した。
2027年3月期の会社計画は、売上高13,050百万円(前期比9.3%減)、営業利益は1,125百万円(同30.2%減)を見込んでいる。受注確保が厳しさを増しているほか、利益面では、人材確保の観点からベースアップの継続実施を予定している一方で、中東情勢の緊張が影響し、資材やエネルギーの価格上昇等により、同社の収益の悪化が懸念されている。期中での案件積み増しや周辺領域の開拓強化、価格転嫁の実施、更なる原価の低減、経費の削減等を行うことで、収益の確保に努めていくようだ。
従来の中期経営計画において、2024・2025年度は計画を達成も、2026年度は2024年度並みの収益を予想。当初は売上高15,000百万円、営業利益1,750百万円を計画していた。今期計画はやや保守的すぎる計画にも見えなくはないが、新事業の遅れが計画に影響した格好となる。元より、2024~26年度中期経営計画における売上高の計画に対する達成率は、プラント関連事業104%、建築事業95%と既存事業は堅調に推移した一方で、新事業9%となっている。新事業として位置付けていた環境エンジニアリング事業の立ち上がりの遅延、これが実証研究段階にとどまったことが影響となる。今期は、既存事業分野での受注促進、新製品、新用途開拓を進め、事業拡大を目指すほか、利益改善のための生産設備への省エネ等投資を行って、次期中期経営計画の実行基盤を構築する方針となる。併せて、代表取締役2名体制による経営体制の強化も行った。
同社は、ゾノトライト系けい酸カルシウムを基材とした各種の防耐火建材、保温材等の製造、販売および設計・施工を手掛ける建材メーカーである。耐火被覆材とは、熱に弱い鉄骨のはり・柱、免震装置など、建物の構造部材を被覆するもので、火災時に火炎や熱から守り建物の倒壊を抑制する役割を担う。通常、はり/柱などで使用されている鉄は400℃を超えると大きく強度が低下。そして、1,000℃を超える火災に遭うと鉄骨造の建物は倒壊してしまう。ただ、同社のゾノトライト系けい酸カルシウムの耐火被覆材は1,000℃に耐える高い耐熱性を有している。建築関連の主な施工事例では、虎ノ門麻布台ヒルズ、阿蘇くまもと空港、虎ノ門ステーションタワーなどに使用された。また、プラント関連では、けい酸カルシウム保温材がプラント内の配管や機器などに使用されている。工場の配管や機器を被覆して内部の熱を逃さないようにする製品で、エネルギーのムダを防ぐ役割を担っている。
事業は「建築関連事業」と「プラント関連事業」に大別され、前者では物流施設やデータセンター向けなどの新築耐火被覆工事や住宅・非住宅分野向けの耐火被覆材などの供給を、後者では鉄鋼・化学プラント等の保温・耐火・断熱工事や資材供給を行っている。両セグメントともに、工事部門と販売部門に分かれており、建築関連は工事部門5割・販売部門5割、プラント関連は工事部門7割・販売部門3割程度となっている。
同社の強みとしてはまず、独自の製造技術力と他分野展開に結びつく研究開発力が挙げられる。膨大なノウハウの蓄積により確立された製造技術が耐火被覆材・保温材の無石綿化の基礎となり、海外技術輸出へとつながった。また、自社工場製造と材工一貫による高い収益性と品質管理の実現も強みの1つで、現場廃材の極小化や現場直送、施工現場での作業生産性アップ等によりコスト削減が可能。自社製品であるので工場との納品調整が容易であり、材料の増減も迅速対応できるため、材料の無駄が少なくなる。さらに、同社には長年にわたり育んできた安定した顧客基盤も存在する。建築関連では、不動産デベロッパー・設計事務所・ゼネコンのほか、プラント関連では、電力・石油・化学・鉄鋼等の施主、プラントメーカー、サブコンなど多岐にわたっている。
市場環境としては、建設業界全体が慢性的な人手不足と資材価格の上昇に直面しており、同社の事業にもコスト高が影響を与えている。しかし、同社は短期的な事業環境の変化に対応して、価格転嫁の実施、更なる原価の低減、経費の削減等を行うことにより、一層高い収益体質の実現を目指す。また、データセンター、物流施設、製造業の再投資などを背景とした非住宅建築需要が一定の底堅さを見せる一方、案件の大型化・長期化により、売上計上のタイミングが期をまたぐ傾向が強まっている。プラント関連では、カーボンニュートラルや省エネルギー対応を背景としたメンテナンス・更新需要が継続しており、同社にとって中長期的な市場拡大の機会となっている。
今後の見通しとして、同社は既存市場である建築関連事業・プラント関連事業の拡大や用途開発による新市場創出に加え、海外への展開を視野に入れる。東南アジア・東アジアで環境配慮型製品として、保温材「ダイパライトーE」が温室効果ガス抑制につながることをセールスポイントにベトナム工場製保温材の拡販を目指す。これは、カーボンニュートラルや省エネに加え、超高温の配管を保温材で保護することにより操業後の現場作業者の安全を確保するなど社会課題への対応を念頭に、新製品開発や用途開拓を進める取り組みである。また、DX推進による生産性向上、人材強化、内部統制の強化など、経営基盤の強靭化も中期的な成長を支える重要施策とされている。
株主還元は、1株当たり配当金を37円以上の水準を確保しつつ 配当性向30%以上を目標とした安定した配当の継続に取り組んでいる。また、2025年9月末基準で株主優待制度の詳細も決定しており、300株以上の保有者を対象に年1回の優待を提供する。株主優待の内容に関しては、自社製品、グルメ(同社事業所所在地ゆかりのものや人気ギフト)や社会貢献ギフトなど 20点以上の商品を掲載したオリジナルカタログギフトを、保有株式数に応じて贈呈するようだ。長期保有者に対する還元は、今後も検討していく方針で、個人株主の中長期保有を促進する狙いがあるとみられる。優待+配当の総合利回りは5%を超える。
そのほか、同社は健康経営優良法人に5年連続で認定され、「従業員が活き活きと働くことができる職場環境と風土作り」をさらに発展させるため、社員の健康維持・増進を支援している。
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