<4125> 三和油化工業 2703 +84
リユース事業・リサイクル事業・ファインケミカル事業・ベーシックケミカル事業・エンジニアリング事業と5つの事業を展開する三和油化工業<4125>の株価は、2025年4月7日に底値1080円を付けて以降、2026年5月15日には年初来高値4,050円(3.75倍)を付け、結果として1年でトリプルバガーを達成した。その後、同日(5月15日)の決算発表を経て、翌日以降は利食い売りが広がり2,500円付近まで低下している。ただ、バリュエーション面では、PER10倍前後・PBR0.8倍台まで低下して割安水準、足元の株価の下落は一時の調整局面とも捉えられよう。
まずは、5月15日の2026年3月期決算から振り返る。2026年3月期の売上高は202.63億円(前期比26.3%増)、営業利益15.43億円(同84.6%増)と2桁増収8割増益となり、上方修正後の計画を上回る着地となった。リユース・リサイクル事業は安定、エンジニアリング事業の拡大により増収を確保しており、既存事業の拡大とA&H Japan 株式会社のM&A等により売上高・営業利益は過去最高となった。
事業環境の好転が、足元の業績に寄与している。中東情勢の悪化を背景に資源供給不安から再生製品の需要が増加しているほか、インフレによる原材料価格・エネルギー価格・人件費等の高騰によりコスト負担は増加している。足元の事業環境が急激に変わった中、同社は競争力のあるリユース・リサイクル事業に注力し、設備稼働率上昇や販売数量の増加させたうえ、中長期的な競争力強化に向けた技術開発や設備投資を実施した。
足元の株価下落は、2027年3月期計画の伸び率が影響した可能性があるが、これは中期経営計画通りの進捗となっている。2027年3月期(今期)は、売上高235億円(前期比16.0%増)・営業利益17億円(同10.1%増)を見込んでおり、リユース事業及びリサイクル事業を中心に再資源化事業の拡大により増収を計画している。今期から事業分類の屁校を発表しており、従来の「化学品」「自動車」を「ファインケミカル」と「ベーシックケミカル」に分けた。「ベーシックケミカル」には汎用化学品と自動車事業を含め、エレクトロニクス業界向けの高付加価値製品を「ファインケミカル」に含めた。「ファインケミカル」では中長期的な拡大を見込み、今期はA&H Japan社の通期寄与による利益貢献、既存の溶剤再生も数量の増加を見込んでいる。事業拡大に備えて、賃金・給与及び研究開発費用は継続的に増加するなかでの2桁増収増益見込みとなっている。
同社は、中期経営計画を策定、決算を受けて2028年3月期は売上高250億円・営業利益15.5億円(前回公表時12億円)に変更している。2029年3月期は売上高265億円・営業利益20億円を掲げている。また、2031年3月期の売上350億円・営業利益42億円目標は据え置いている。大企業を中心としたサステナブルニーズに貢献し、半導体・電池・電子部品のマーケットの拡大を見込んでいる。成長ドライバーは主にリユース・リサイクル・化学品・エンジニアリングであり、半導体・電池・電子部品分野で需要を取り込む。九州工場や電池用バインダー製造設備を戦略拠点として半導体・電池関連及び再資源化設備の稼働率向上のほか、東西拠点を中心とした新規顧客開拓を行っていく。また、M&Aも成長施策の一環として事業成長も図る。
フィスココメントでは10月・1月と株価を試算してきたが、従来通りCAGR30%成長、中長期的に市場平均程度のPER15倍までの評価に回復すると株価は4800円台に迫る数値を目安に置けそうだ。過去最高値は2022年8月につけた7320円となっているが、業績が回復基調にある中で依然として上値余地は大きいといえるか。
同社は、主力3事業のリユース・リサイクル・ケミカル領域で売上高全体の80%を占める。各事業が単独で関わっているのではなく、同社の技術や中間処理を介して互いに関連しながら、製品の製造・販売から産業廃棄物の有効利用まで一気通貫で対応することができ、環境負荷の低減と資源有効利用を通じて顧客及び社会へ貢献することが同社グループの事業内容となる。
主力のリユース事業では、使用済み廃溶剤、廃酸、有用金属等を含む産業廃棄物などを中間処分・再資源化し、元の用途や素材として再生している。販売先に最終製品を販売して獲得する販売代金がメインの収益となる。リサイクル事業では、使用済み廃溶剤、汚泥、廃プラスチック類などの産業廃棄物を中間処分・再資源化し、再生燃料やセメント・石灰・鉄鋼の副原料及び副資材としての2次利用を中心に再資源化。こちらでは産業廃棄物排出事業者から得る処理費用が収益元となる。ファインケミカルでは高純度溶剤の精製と化学品の受託製造を行い、有機または無機化学品の製造やフルオーダーの受託加工を行っている。ベーシックケミカルに含まれた自動車事業では、各種油剤製品の製造や廃油の再資源化に取り組み、エンジニアリング事業はPCB処理で培ったノウハウを活かし、プラント改廃時の清掃・解体・廃棄物処理をワンストップで実施している。
同社の強みは、高度な分離技術と品質管理力にあり、再生品および製品の品質管理を高い水準で行うことにより高付加価値化を行っている。リユース・リサイクル・化学品を相互に補完し、廃液を再生可能か検討し、困難な場合は別事業へ振り分ける循環型モデルを構築している点が特徴。リユース事業では廃溶剤を高品質な再生品として提供し、リサイクル事業では再生燃料を安定供給する。化学品事業では半導体・電池業界向けに高純度製品等を製造し、他社が難しい領域を担う。さらに自動車事業では廃油を活用した環境対応型製品を展開し、祖業を生かしたシナジーを発揮する。総じて、大手専業他社と異なり、複数事業の横断的展開による付加価値創出が差別化の源泉となっている。そのほか、全国から様々な廃棄物を集める仕組みと特徴ある産廃許可を保有しており、全国の優良企業と直需取引を行っているリサイクル企業でありメーカーでもある稀有な企業となる。
同社は産業廃棄物を扱っているためすべての製造業が顧客になり得るなか、将来の半導体・電池・電子部品業界からの需要拡大に対応するための投資を計画通り実施している。九州エリアを中心に成長が見込まれる半導体関連企業等の産業廃棄物をマテリアルリサイクルする工場を北九州市に2027年4月の稼働を目指して建設中で、投資額は約80億円(うち最大18億円の補助金)に上る。また、希少金属マテリアルリサイクルの取扱数量増加を目的として、大阪市のA&H Japan株式会社を子会社化した。A&H Japanの子会社化により、金属関係の廃棄物からのマテリアルリサイクルを強化でき、来期以降同社とのシナジー効果も着実に出てくる。そのほか、次世代自動車の生産増に合わせ、車載電池向けバインダー製造設備に投資して試作中。同社生産設備も2025年4月より稼働しており、2028年度以降のフル生産に向け増産をかけていく予定であるが、こちらは計画にズレ込みがある見込み。
配当は今後の事業展開及び財務体質の充実等を勘案のうえ、非減配を基本方針として安定的な配当を継続して実施していくようで、今期年間配当予想は50円(前期50円)で据え置き。現状の配当利回りは1.9%水準となる。PBR1倍割れ改善を目指す中、社会的意義のある事業として環境ニーズへの対応や再生品価値の訴求を重視するなか、IR施策を強化する予定で引き続き同社の株価動向も注目しておきたい。
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