世界投資へのパスポート

米国の景気後退が確実な今、あえて米国株を買うなら「リモートワーク」関連株! ただし、二番底を形成する可能性もあるので、慌てて飛び乗る必要はなし!

2020年3月23日公開(2022年9月22日更新)
広瀬 隆雄
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米国の経済活動はパッタリ止まった状態となり、
新規失業保険申請件数も今後激増していく見通し

 米国政府は、新型コロナウイルスの拡散を最小限に食い止めるため、アメリカ国民に対してなるべく外出を控えるよう要請しています。

 いくつかの州では、レストランでの着席が禁止され、テイクアウトもしくはドライブスルーだけになりました。スポーツ・イベントやコンサート、劇場、見本市なども中止されています。ニューヨークやカリフォルニアでは、住民の外出禁止令も出ています。さらに、小・中・高校の3分の1が休校となり、多くの会社員が自宅からリモートワークしています。

 これらの一連の措置により、アメリカのサービス業は大打撃を受けています。レストランや百貨店、専門店、ホテル、航空会社、クルーズ船などが、売上高の激減に見舞われています。

 このため「もう出社に及ばず」と言われたウエイトレスやシェフ、バーテンダー、舞台俳優、パイロットなどは、失業保険を申請し始めています。

 経済統計の中でこうした動きを最も早く反映するのが、毎週発表される新規失業保険申請件数です。先週木曜日に発表された3月9日の週の新規失業保険申請件数は、28.1万件でした。

 下は、新規失業保険申請件数の過去4週の平均値をプロットしたチャートです。

 この数字は、まだ増え始めたばかりですが、今後、激増すると予想されています

 サービス業はアメリカ経済の中で大きな割合を占めており、それが一時的にせよストップしてしまったことで、企業や消費者はキャッシュフロー、すなわち日々の資金のやりくりの問題に直面しています。

「アメリカ国民ひとり1人に約12万円の一時金を支給」など、
2兆ドル規模の景気刺激策を週末返上で検討中!

 連邦準備制度理事会(FRB)は3月の3日と15日、続けざまに2回の緊急利下げを発表し、フェデラルファンズ・レートを0~0.25%に引き下げました。同時にFRBは、7000億ドルの量的緩和政策を行うと発表しました。

 またFRBは、コマーシャル・ペーパーの買い入れプログラムも発表しています。コマーシャル・ペーパーとは、企業が短期の資金繰りをやりくりする目的で出す借用書です。

 さらにFRBは、マネーマーケットファンド(MMF)への貸付ファシリティを設置すると発表しました。この仕組みを通じ、必要に応じて100億ドルをMMFに貸せるようになります。MMFは、短期の安全な固定利付の投資対象に投資をする「現金代わり」の投資信託ですが、先週あたりからMMFの解約が増えています。今回のFRBの措置は、MMFが円滑に解約に応じられるようにするためのものです。

 FRBは、米国債の入札の際に重要な役割を果たすプライマリー・ディーラーへの融資ファシリティも設置しました。

 このように、米国の中央銀行であるFRBは、矢継ぎ早に「金詰り感」を解消するための方策を打ち出しています。しかし、金融政策だけでは今回の難しい局面は乗り切ることは出来ません。財政出動が望まれているのです。

 そのための臨時の予算を策定するのは、議会の仕事です。現在、議会は大急ぎで2兆ドル規模の景気刺激策を策定中です。

 上院は上院案を、下院は下院案をそれぞれまとめている段階で、その中には、航空会社などの大企業に対する支援や中小企業への支援、アメリカ国民ひとり1人に約12万円の一時金を支給するなどの方策が盛り込まれています

 細部に関しては、週末返上で詰めている段階で、週明け早々にも投票に付されて大統領の署名を得ることが期待されています。

株式市場はリーマンショック以来の急落を記録し、
「リセッション入り」がほぼ避けられない状態に!

 先週の米国株式市場は、NYダウ(ダウ工業株価平均指数)が-17.3%、S&P500指数が-15%、ナスダック総合指数が-12.6%と、リーマンショックのあった2008年10月以来、最悪の週間パフォーマンスでした

■NYダウチャート/日足・3カ月
NYダウチャート/日足・3カ月NYダウチャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 株式市場は、2月19日の高値から-30%以上下落し、いわゆる「ベアマーケット(弱気相場)」入りしており、リセッション(景気後退)入りはほぼ避けられないと思います

 米国の場合、「リセッションが来たのかどうか?」を判定するのは、全米経済研究所(NBER)の役目です。NBERのメンバーは、ノーベル経済学賞受賞者20人を含んだ数多くの経済学者から構成されています。

 NBERにおけるリセッションの定義は「経済活動の広範に渡る低下を指し、普通、それは数カ月以上続き、GDP、実質所得、雇用、鉱工業生産、卸売ならび小売売上高などに顕著に表れる」というものです。

 NBERによると1980年以降、アメリカは5回のリセッションを経験しました。

■アメリカにおける1980年以降のリセッション
リセッション 直前のエクスパンション
(景気拡大)期間
開始年月 終了年月 期間
1980年1月 1980年7月 6カ月 58カ月
1981年7月 1982年11月 16カ月 12カ月
1990年7月 1991年3月 8カ月 92カ月
2001年3月 2001年11月 8カ月 120カ月
2007年12月 2009年6月 18カ月 73カ月

 この5回のリセッションのときのS&P500指数の動きを示したのが、下のチャートです。

 表内でオレンジ色の網がかかった時期が、NBERの定義するリセッションです。リセッションの期間は6カ月から18カ月とばらつきがありますが、株価の動きは、リセッション期間の少なくとも前半では下落基調であることが読み取れます。そして、実際にリセッションが終わるよりも一足先に株価は大底をつけ、反転していることがわかります

 問題は、NBERは事後的に「あのときは実はリセッションだった」と判定しますが、リセッションの真っ只中に「今がリセッションです」とは教えてくれないことです。これは、NBERの判定が多くのエコノミストの合議によって下される性質上、どうしても避けられないことです。

 NBERによるリセッションの定義からすれば、これまでに発表された経済指標はまだ当てはまっていません。なので、リセッション入りは早くても3月以降だと思われます。

 今回の景気悪化は、新型コロナウイルスの拡散を防ぐために無理矢理、経済の動きを止めてしまったことが原因なので、過去のリセッションより急激かつ唐突な始まり方だったと言えます。経済活動の瞬間風速での落ち込みも激しくなりますが、その分、回復が早い可能性も排除できません。

 いずれにせよ、今後の株式市場や経済の動きは「新型コロナウイルスの患者数のピークアウトがいつ来るか?」ということに大きく左右されそうです。

「二番底」を試す場合も多いので、慌てて買う必要はなし!
強いて今買える銘柄を挙げれば「リモートワーク」関連

 今は株式市場が“つるべ落とし”に落ちているところであり、まだ反発らしい反発すらありません。まずは、反発局面が出ることが第一条件になると思います。そして通常だと、1回反発したあと後に「二番底」を試しに行くことが多いので、反発があったからといって慌てて飛び乗る必要はないでしょう。言い換えれば、いくらでも安いところで買うチャンスはあるということです。

 強いて今買える銘柄を挙げると、自宅待機や一時帰休が長期におよんだ場合でも業績に悪影響が出ない銘柄を選ぶ必要があります。それは「リモートワーク」関連銘柄ということになるでしょう。

【クラウドストライク】
経営陣が「新型コロナの悪影響はまったくない」とコメント

 クラウドストライク(ティッカーシンボル:CRWD)はクラウドを通じてインターネット・セキュリティーを提供する企業ですが、今後、社員が自宅からリモートワークすることが増えるにつれ、同社の提供する分散型のセキュリティー・サービスへのニーズは高まると思われます。

 先週発表されたクラウドストライクの第4四半期(1月期)決算は、EPSが予想-8セントに対して-2セント、売上高が予想1.38億ドルに対して1.52億ドル、売上高成長率が前年同期比+88.9%でした。

 アニュアル・リカーリング・レベニュー(ARR)は、+92%の6億ドルでした。

 第1四半期のEPSは予想-8セントに対して新ガイダンス-7〜-6セントが、売上高は予想1.49億ドルに対して新ガイダンス1.643億~1.676億ドルが提示されました。

 2021年度のEPSは予想-18セントに対して新ガイダンス-16〜-14セントが、売上高は予想6.8億ドルに対して新ガイダンス7.23億~7.34億ドルが提示されました。

 なお経営陣は、「新型コロナウイルスはクラウドストライクのビジネスにまったく悪影響をおよぼしていない」とコメントしていました。

⇒クラウドストライク(CRWD)の最近株価はこちら!

クラウドストライク(CRWD)チャートクラウドストライク(CRWD)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ】
世界中で在宅勤務が増加していることで、需要が爆発!

 ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ティッカーシンボル:ZM)は、クラウドを通じたビデオ通話サービスを提供する会社です。今、世界のワーカーが在宅勤務に切り替えているので、需要が爆発しています。

 第4四半期(1月期)決算は、EPSが予想7セントに対して15セント、売上高が予想1.77億ドルに対して1.88億ドル、売上高成長率が前年同期比+77.9%でした。

 第1四半期のEPSは予想6セントに対して新ガイダンス10セントが、売上高は予想1.86億ドルに対して新ガイダンス1.99億~2.01億ドルが提示されました。

 2021年度のEPSは予想29セントに対して新ガイダンス42~45セントが、売上高は予想8.7億ドルに対して新ガイダンス9.05億~9.15億ドルが提示されました。

⇒ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)の最近株価はこちら!

ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)チャート/日足・6カ月ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)チャート/日足・6カ月
(出典:SBI証券公式サイト) ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます。
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【スラック・テクノロジーズ】
ここに来て課金ユーザーの増加ペースが加速!

 スラック・テクノロジーズ(ティッカーシンボル:WORK)は、クラウド上でエクセルやワード、パワーポイント、ビデオなどのアプリをシェアできるサービスを提供しています。

 第4四半期(1月期)決算は、EPSが予想-7セントに対して-4セント、売上高が予想1.74億ドルに対して1.82億ドル、売上高成長率が前年同期比+49.1%でした。

 第1四半期のEPSは予想-7セントに対して新ガイダンス-7〜-6セントが、売上高は予想1.88億ドルに対して新ガイダンス1.85億~1.88億ドルが提示されました。

 2021年度のEPSは予想-22セントに対して新ガイダンス-21〜-19セントが、売上高は予想8.48億ドルに対して新ガイダンス8.42億~8.62億ドルが提示されました。

 なお、スラックは先週、2月1日から3月18日にかけて課金ユーザー数が7千件増えたというリリースを出しています。通常、スラックは四半期ごとに5千件ほど課金ユーザーを追加しているので、増加ペースが速まっていることがわかります。

スラック・テクノロジーズ(WORK)の最近株価はこちら!

スラック・テクノロジーズ(WORK)チャート/日足・6カ月スラック・テクノロジーズ(WORK)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 以上、「リモートワーク」関連で業績の良い代表的な銘柄を紹介したので、参考にしてください。

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