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新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、重症化してしまった患者の治療に必要な「人工呼吸器」の不足が懸念されています。
各所で報じられているように、新型コロナウイルスによる死者数が各国で増加していることに関して、医師や看護師、病床が不足しているなど数多くの要因が挙げられますが、「人工呼吸器」の数が増え続ける患者の数に追いついていないことも要因のひとつと見られています。
新型コロナウイルスの治療に必要な「人工呼吸器」が不足し、
世界中で官民一体となって開発や増産が進められている
このような状況を改善するため、トランプ大統領は3月27日、非常時において大統領権限で企業に指示を可能にする「国防生産法」に基づき、自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)に対して「人工呼吸器」の生産を命じました。また、正式な命令が出たわけではないようですが、フォード・モーター(F)も4月下旬から人工呼吸器の生産を始めると発表しています。
また、掃除機などで知られるイギリスの家電メーカーのダイソンも、ジョンソン英国首相の要請により新たに人工呼吸器の設計を始め、わずか10日間で製品の開発にこぎつけたと報じられています。
一方、日本企業でも、トヨタ自動車(7203)や旭化成(3407)が「人工呼吸器」の生産を進める動きを見せています。また、西村康稔経済財政・再生相は3月29日、「人工呼吸器」の増産を関連企業に要請し、応じた企業には補助金などの支援策を講じる方針を明らかにしました。政府関係者によると、日本光電工業(6849)やアコマ医科工業などの企業と増産について調整をしている、と報じられています。
このように、現在、新型コロナウイルスによる死者数をできる限り抑えるため、世界中で官民一体となって「人工呼吸器」の確保を進めている状況です。
今回は、そんな「人工呼吸器」関連株の中から5銘柄を紹介したいと思います。
「人工呼吸器」は関連銘柄が限られているため、
投資資金が集中すると大きな値動きにつながりやすい
「人工呼吸器」が不足することへの懸念から、足元では、すでに一部の関連銘柄で株価が急騰しています。しかし、東京都が「ロックダウン」に突入する懸念も依然として残っており、新型コロナウイルスの感染収束の兆しが見えない現在の状況下では、投資家の思惑的な資金がさらに集中する可能性もあるので、注目しておく価値はあるでしょう。
また「人工呼吸器」は、直接的な関連銘柄がそれほど多くないため、投機的な資金が集中した際、大きな株価上昇につながりやすいと考えられます。
直接「人工呼吸器」に関連する上場企業が少ないことから、以下で紹介する5銘柄については、グループ企業が「人工呼吸器」を手掛けている、もしくは「人工呼吸器」を手掛けている企業と業務提携している、といった企業も選んでいます。
【日本光電工業(6849)】
医用電子機器のトップメーカー
日本光電工業(6849)は、「人工呼吸器」などの「治療機器」の分野のほかに、生体計測機器や生体情報モニターなど、すべての分野で前年同期から伸びを見せています。3月29日には、前述のとおり、西村康稔経済財政・再生相から「人工呼吸器」の増産を要請された、と報じらました。2020年3月期の第3四半期の業績は、売上高が前年同期比7.7%増の1295.25億円、営業利益が同31.9%増の83.96億円と好調に推移しています。
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【エア・ウォーター(4088)】
医療関連分野で幅広く事業を展開
エア・ウォーター(4088)の「人工呼吸器関連システム」は、新生児・小児向けが中心です。また、院外型・院内型受託滅菌サービスを展開するなど、医療関連分野で幅広く事業を展開しており、新型コロナウイルス対策の現場においても需要は大きいでしょう。2020年3月期の第3四半期の業績は、売上収益が前年同期比10.1%増の5920.77億円、営業利益が同23.4%増の388.21億円と好調でした。
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【フクダ電子(6960)】
在宅医療で使用可能な「人工呼吸器」を開発
フクダ電子(6960)は、「予防・検査」「経過観察・リハビリ」「在宅医療」と、医療分野において総合的に事業を展開。「人工呼吸器」については、在宅医療で使用可能なタイプを手掛けています。また2012年には、人工呼吸器や麻酔器、モニター、Auto CPAP、酸素濃縮器などの開発製造・販売を行っている医療機器メーカー、メトラン社と協力し、製品開発のための合弁会社を設立しています。2020年3月期の第3四半期決算では、売上高が前年同期比5.8%増の953.45億円、営業利益が同11.7%増の91.62億円と堅調に推移しました。
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【旭化成(3407)】
米国の子会社を通じて人工呼吸器を大幅に増産!
旭化成(3407)は3月30日、子会社である米国の医療機器メーカー、ゾール・メディカル社を通じて「人工呼吸器」を増産すると発表。早期に生産量を現状の25倍にあたる月1万台に増やす計画です。なお、ゾール・メディカル社の「人工呼吸器」は信頼性が高く、集中治療室(ICU)や救急車両にも採用されています。2020年3月期の第3四半期決算では、売上高が前年同期比0.1%増の1兆5885億円、営業利益が同10.7%減の1402.39億円で着地しました。
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【大陽日酸(4091)】
子会社のパシフィックメディコが人工呼吸器を手掛ける
大陽日酸(4091)は、完全子会社のパシフィックメディコが、乳児から成人まで対応する「人工呼吸器」を手掛けています。現在、救急や病棟から在宅治療まで、幅広い引き合いがあるようです。2020年3月期の第四半期決算は、売上収益が前年同期比22.3%増の6334.35億円、営業利益が同60.9%増の718.96億円と好調でした。
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「人工呼吸器」に比較的近い投資テーマとして「人工心肺」「補助人工心臓」があり、その関連銘柄としてニプロ(8086)やJMS(7702)、ハイレックスコーポレーション(7279)などの名前が挙げられます。今後の投資テーマの広がりを期待して、その辺りの銘柄を調べてみるのもおすすめです。
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