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先週の米国株式は上昇!
主要3指数の中でナスダック総合指数の戻りが速い
先週の米国株式は、週間ベースでダウ工業株価平均指数(NYダウ)が+2.2%、S&P500指数が+3.0%、ナスダック総合指数が+6.1%でした。年初来のパフォーマンスは、ダウ工業株価平均指数が-15.1%、S&P500指数が-11.0%、ナスダック総合指数が-3.6%となっています。
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明らかに、ナスダック総合指数の戻りが他の指数より良くなっています。
政府から1人13万円の支給が実施され、
新型コロナにより生活が困窮する米国民もホッとひと息
今、アメリカのほとんどの州で外出禁止令が出ており、米国民は、一部のどうしても維持しなければいけない公益事業や医療関係、食料品の小売業を除いて在宅勤務しています。食料品以外の小売店やレストラン、理容店などの従業員は、自宅で待機しています。
先週、一部高額所得者を除くほぼ全家庭に、米国政府から最低13万円、扶養家族が沢山いる家庭については30万円を超える支援金が届きました。これで家賃、クルマのローンの支払い、クレカ債務の支払いなどでホッと一息つくことができました。
もうひとつの朗報として、先に議会が可決した2.2兆ドルの景気刺激策の一環として行われていた中小企業向け賃金保護プログラム(PPP)での貸出しが、当初の予定である3500億ドルに達しました。レストランや専門店などのスモール・ビジネスは、この融資で何とかやりくりすることができるのです。
今、米議会は春休み中ですが、来週になって審議が再開されればさらに追加の支援金が議論されることになると思います。
米国民の多くは、「よし、これで何とか乗り切れるぞ!」と希望を見出しています。
NYは新規感染者数が鈍化しないことから、
外出禁止令が少なくとも5月15日まで延長に
その反面、他州より一足先に外出禁止令が発令されたニューヨーク州では、「ひょっとすると来月から外出禁止令が解除されるかも?」という期待に反し、「少なくとも5月15日までは外出禁止令を解除しない」と宣言されました。その理由は、新規感染者数がいまだ十分に鈍化してないからです。
外出禁止令は、それが発せられている間の1日1日が、ボディブローのようにずっしりと経済に響いてきます。多大な経済的犠牲を払っているわけです。したがって、外出禁止令解除の延期は株式市場にとっても明らかにマイナス要因です。
ギリアド・サイエンシズが開発する
新型コロナ治療薬「レムデシビル」への期待が高まる!
そんな状況にもかかわらず先週の米国の株式市場がしっかりした展開になった背景には、「良い薬がありそうだ!」という期待が広がったことがあります。
3月30日付の本コラムでも紹介したギリアド・サイエンシズ(ティッカーシンボル:GILD)の抗ウイルス薬「レムデシビル」が、シカゴ大学病院の臨床試験で良い効果が出ているという報道が出ました。
【※新型コロナの「治療薬・ワクチン」に関する関連記事はこちら!】
⇒米国株が二番底リスクを警戒する中、狙い目は「新型コロナ治療薬・ワクチン」の関連銘柄! 一方で米国市場全体の株価推移は、新型コロナの感染者数次第!
「レムデシビル」は、いまだ米国食品医薬品局(FDA)の承認を得ていません。しかし、ギリアドは、FDAなど関連当局と緊密な連絡を取り合った結果、重篤な患者に対して「レムデシビル」をどんどん供給できるよう量産に踏み切ることにしました。
現在「レムデシビル」は、世界で多くの臨床試験が進行中です。しかし、臨床試験に参加できているのは新型肺炎の患者のごく一部だけであり、その間にもどんどん尊い生命が失われています。
普通、バイオテクノロジー企業は、新薬が承認されるまでは臨床試験に必要な量だけしか生産しません。「レムデシビル」も臨床試験の規模に合わせて限定的に生産されていました。しかし、事態は深刻であり、ひとたび承認されたらすぐにでも大量の「レムデシビル」を提供できる生産能力を整えておく必要があることから、ギリアドは今から新しい生産設備を準備しています。
ギリアドは、生命の危険にある患者に対して例外的に未承認薬の使用を認める「特別配慮(compassionate use)」制度に基づいた使用などのために、すでに確保している14万人分、150万回投与できる量の「レムデシビル」を寄付しました。さらに、10月までに50万人分、年末までに100万人分を「レムデシビル」供給したいと考えています。
この生産量を確保するために、ギリアドは他の製薬会社に呼びかけ、世界の複数の拠点で同時に生産に入ります。また米国外へも供給する考えです。
ギリアド・サイエンシズが目先の利益に囚われず
「レムデシビル」を無料で配る理由とは?
なお「レムデシビル」は無料で提供され、ギリアドは対価を受け取りません。ギリアドは、なぜ無料でこんな大事な薬を世界に配るのでしょうか?
これには2つの説明ができると思います。
まずギリアドは、数年前にC型肝炎の治療薬「ハーボニ」でホームランをかっ飛ばしたのですが、薬価を高く設定したことで患者や保険会社から恨まれました。彼らは、ギリアドが暴利をむさぼっていると感じたわけです。その関係もあってギリアドは、唸るほどの利益を上げたにもかかわらず、株価は反落し、その後長期にわたって低迷しました。
今回、世界が危機に瀕しているこの局面でギリアドがまたボロ儲けしたら、企業イメージはいよいよ地に堕ちます。そこでギリアドは、「レムデシビル」を無料で提供することに踏み切りました。
「レムデシビル」は、早ければ5月にも米国食品医薬品局(FDA)から承認が下りると予想されています。
新型コロナウイルスは、インフルエンザのように毎年ぶり返す可能性があります。その場合、来年以降のウイルスは変異(mutation)し、今年とは少しタイプが変わる可能性があります。その場合ギリアドは、新しいタイプのウイルスに対応する必要があり、その分に関しては有料にするのだろうと予想されます。言い換えれば、ギリアドとしては「なにも急いで今年儲ける必要は全然ない」ということです。
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経済復活のカギを握る「バイオ企業」が相場のテーマに!
「リジェネロン」や「モデルナ」にも要注目
外出禁止令は経済に甚大なダメージを与えます。外出禁止令が解かれるためには、新規患者数が下がって来ることが必要です。しかし、人々が昔のように自由に動き回り経済が活気を取り戻すためには、どうしても「安心」が必要になります。
その「安心」を提供するのは、究極的には治療薬やワクチンの存在です。「良い薬がある!」という事になれば、新型コロナウイルスに対する恐怖は大いに和らぎます。それだけ世界経済が「V字回復」しやすくなるというわけです。
経済の復活が治療薬・ワクチンにかかっているわけですから、当然、それらを開発している企業は注目されます。つまり、「バイオ」は相場のテーマになるということです。
ただ、だからといってバイオ株を片っ端から買っても意味がありません。なぜなら、新型コロナウイルスという疾病は、バイオ企業の研究対象の中でもほんの小さな“ニッチ”でしかないからです。そのため、この分野に特化して技術力を持ったリーダー企業を「銘柄一本釣り」で買うほうが、ETFなどで買うよりはるかに効率が良いでしょう。
具体的な銘柄としては、今回説明したギリアドのほかに、関節炎治療薬の「ケブザラ」が新型コロナウイルスに効くのではないかと期待されているリジェネロン・ファーマシューティカルズ(ティッカーシンボル:REGN)や、新たにワクチンを開発しているモデルナ(ティッカーシンボル:MRNA)が良いと思います。
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