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新たな「レアメタル」資源として期待される、
「コバルトリッチクラスト」の採掘に世界で初めて成功
国内での採掘が難しかった「レアメタル」資源に、最近新たな可能性が出てきたことをご存知でしょうか?
石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は8月21日、日本の排他的経済水域(EEZ)で、コバルトやニッケルを含む鉱物「コバルトリッチクラスト」の採掘に世界で初めて成功したと発表しました。採掘場所は南鳥島の南方沖に位置する水深約930メートルの海底で、JOGMECの調査によれば、この海域には年間の国内消費量ベースで約88年分のコバルトや、約12年分のニッケルが存在することが期待できるそうです。
そこで今回は「レアメタル」関連銘柄に注目したいと思います。
「レアメタル」はリチウムイオン電池などに不可欠な重要資源だが、
国内消費のほとんどを外国からの輸入に頼っているのが現状
「コバルト」と「ニッケル」は、いわゆる「レアメタル」の一種で、電気自動車やスマートフォンで使われるリチウムイオン電池などに不可欠な材料であることが知られています。
「レアメタル」は、地中の埋蔵量が少ない、あるいは採掘コストが高いといった理由から、その名の通り希少性が高い金属です。また、産出地が限られているケースも多く、例えばコバルトの場合は世界生産量の約半分がコンゴで産出されています。当然、日本でも国内消費量のほとんどを輸入に頼っています。
以前に本連載で「食のサプライチェーン」関連銘柄を取り上げた際、企業の生産設備を他国に依存することのリスクについて触れましたが、「レアメタル」のような重要資源に関しても他国に頼っている今の状況が非常にリスキーであることは明白です。
【※関連記事はこちら!】
⇒「食のサプライチェーン」関連銘柄は、政府の「骨太の方針」にも関わる“国策テーマ株”! 新型コロナの影響が残る中、食料の安定供給を支える5銘柄を紹介!
実際、過去には、当時輸入先として頼りにしていた中国に「レアアース(レアメタルの一種で、希土類に属する17種類の元素の総称)」を政治カードとして利用され、輸出規制がかけられてしまったことがありました。このときは供給確保に奔走すると同時に、日本企業が一斉に技術開発を進めたことで「レアアース」の使用量削減を達成することができ、中国の思惑通りの結果とはなりませんでしたが、日本経済にとって大きな危機であったことは間違いないでしょう。
もちろん、今回「コバルトリッチクラスト」の採掘が成功したからといって、今すぐ「レアメタル」の一部を国産化できるという単純な話ではありません。しかし、「レアメタル」の国産化自体は日本の競争力強化にとって非常に重要であることは間違いなく、国としては今後も積極的に取り組みを進めて行くと見られます。
そのため「レアメタル」関連は、今後大きな成長が期待できる分野と言えるでしょう。
「非鉄金属」セクターの中小型株の中から、
過去の「レアメタル相場」でも資金を集めた注目銘柄を紹介!
具体的な銘柄としては、当然、非鉄金属銘柄が多くなります。その中から、住友金属鉱山(5713)などの大型株は避け、個人投資家からの資金流入で大きな値動きが期待できる中小型株を選びました。また、過去の「レアメタル相場」において大きく値動きを見せた銘柄を中心に取り上げたので、今後、「レアメタル」関連に注目が集まる場面においても資金が集中しやすいと考えられます。
なお、厳密に言えば「レアメタル」と「レアアース」は異なりますが、株式市場で投資テーマとして注目される際は明確に区別されているわけではないため、まとめて「レアメタル」関連としました。また、「レアメタル」と直接的な関連は薄くても「レアメタル相場」で物色された実績がある銘柄も選定しています。
【アサカ理研(5724)】
「レアメタル」関連銘柄の主力として注目される銘柄
アサカ理研(5724)は、有価貴金属の回収などを手掛けています。以前から「レアメタル」関連銘柄の主力として市場で位置づけられており、たびたび思惑的な買いが集まっています。株価は、7月末に荒い値動きを見せた後、多少の調整がありましたが、現在も上昇する25日移動平均線が下値支持線とした上昇トレンドが継続しています。
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【アサヒホールディングス(5857)】
廃電子基板に含まれる貴金属量を高精度に把握
アサヒホールディングス(5857)は貴金属やレアメタルのリサイクルを手掛ける企業で、廃電子基板に含まれる貴金属量を高精度に把握することができるサンプリング・分析新技術を確立しています。株価は7月下旬に急騰した後、高値圏でのもみ合いが継続していますが、利食いをこなしつつ「押し目買い」意欲の強さがうかがえます。
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【岡本硝子(7746)】
海洋探査機「江戸っ子1号」を製作
岡本硝子(7746)は、特殊ガラスなどに強みを持つ企業。海洋探査機「江戸っ子1号」を製作しており、海底鉱物資源開発を進める中で資金が向かう可能性があります。株価は、7月31日の安値157円を底値に、緩やかに上昇が続いています。
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【三井海洋開発(6269)】
「海底鉱物資源開発」を戦略のひとつとして位置づける
三井海洋開発(6269)は、「レアアース泥開発推進コンソーシアム(活動期間:2014年11月~2019年10月)」に参画していたことから、以前も「レアアース」関連銘柄として物色された局面がありました。「中期経営計画2020」の中でも、「新領域へのR&D投資の継続」として「海底鉱物資源開発」を戦略のひとつとして位置づけています。株価は、3月23日につけた安値1021円を底値に、緩やかな上昇基調が継続中です。
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【アルコニックス(3036)】
レアメタル・電子材料の精密金属加工などを手掛ける
アルコニックス(3036)は、アルミニウム、銅などのベースメタル製品およびレアメタル・電子材料などに関し、商社流通事業と非破壊検査、精密金属加工などを手掛けています。株価は、2020年3月13日の安値867円と2018年12月25日の安値923円の2つで「2番底」を形成しており、ここからのさらなるリバウンドが期待できます。
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【中外鉱業(1491)】
仕入れから精製・加工、販売まで一貫して行うリサイクル事業を展開
中外鉱業(1491)は、金やプラチナなど自社で精製する貴金属原料の仕入れをすべて自社でカバー。仕入れから精製・加工、地金販売までを一貫して行うリサイクル事業を展開しています。株価は7月末以降に急伸し、8月4日の高値69円をピークに調整中ですが、最近では25日移動平均線まで下げてきたので、ここを下値支持線としてのリバウンドが期待できます。ただし、超低位材料株としてややリスクがあるので、その点は要注意です。
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最近では、「5G」の本格化という背景もあり、リチウムイオン電池に使われるコバルトやニッケルをはじめとした「レアメタル」の需要が急増し、世界的に取引価格が上昇しています。今後もこの傾向が続くと見られる中で、冒頭で述べたように「コバルトリッチクラスト」の採掘に成功したことは、素直に好感できる材料と言えます。このニュースをひとつのきっかけとして、「レアメタル」関連が再び注目を浴びる局面を待ちたいところです。
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