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新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な混乱もあり、最近あまり聞かれなくなっていた中国の通信機器メーカー華為技術(ファーウェイ)を巡る米中の貿易摩擦ですが、米国によるファーウェイへの制裁措置は現在でも続いています。
また、ファーウェイ排除の動きは米国以外の国へも広がりを見せています。例えば、英国政府は2020年11月、国内の通信事業者に対して2021年9月末以降は通信網にファーウェイ製品を組み込むことを禁止すると発表しました。
市場調査機関デローロのレポートによると、2020年第1四半期時点における世界の5G通信用設備の市場シェアは、ファーウェイが35.7%で、2位のエリクソン(24.6%)と比較してもダントツの1位となっています。ちなみに3位のノキア、4位のサムスンを加えた上位4社で、市場シェアの90%弱を占めています。
各国のファーウェイ排除の動きにより、今後ファーウェイの市場シェアが伸びていくことは難しく、競合他社にとってはシェア拡大の好機と言えるでしょう。実際、すでに米国などは、自国企業を支援して無線通信業界内での位置づけを高めようと動いているようです。
通信業界で注目される「オープンRAN」とは、
「共通規格に基づいた無線アクセスネットワーク」のこと
そうした状況のなか、現在、通信業界で注目されているのが「オープンRAN」という新たなネットワーク技術です。
5G基地局のシステムは、大別すると「アンテナ部分」「無線装置」「ベースバンド装置」という3つの装置で構成されますが、それぞれ異なるベンダー(販売会社)の装置同士に互換性がなく、組み合わせることができません。そのため、基本的に1カ所のベンダーの装置をワンパッケージで購入するしかなく、状況や価格に応じて異なるベンダーの設備をチョイスするといった柔軟な運用ができないことが大きな課題となっています。昔のガラケーに例えると、ドコモの携帯電話を持っている人は、予備の充電コードが必要になったとき、どこの製品でもいいわけではなくドコモの製品を買うしかない、という状況です。
そこで登場したのが「オープンRAN」です。「オープンRAN」とは、簡単に言ってしまうと「オープンな共通規格に基づいたRAN(無線アクセスネットワーク)」のこと。「オープンRAN」で定められた共通規格に基づいた装置であれば、アンテナ部分と無線装置、ベースバンド装置のベンダーを統一する必要がなく、さまざまなベンダーの機器を柔軟に組み合わせることが可能となります。
世界的に需要の高まる「オープンRAN」に関連する
通信事業者、通信機器やネットワーク機器のメーカーなどを紹介!
「オープンRAN」への関心や需要は世界的にも非常に高まっており、2021年2月にもNTTドコモやNEC、NVIDIA(NVDA)、インテル(INTC)、クアルコム(QCOM)など国内外の12社が、オープンな無線アクセスネットワーク(オープンRAN)の海外展開を目的とした「5GオープンRANエコシステム」の構築に合意しています。
そこで、今回は「オープンRAN」に関連する注目銘柄を紹介します。銘柄選定に当たっては、「オープンRAN」に関わる通信事業者のほか、通信機器やネットワーク機器、計測機器などを手掛けている企業をピックアップしました。
【NTT(9432)】
世界で初めて商用5Gサービスで「オープンRAN」を実現
NTT(9432)は、子会社のNTTドコモが早くから「オープンRAN」の重要性に着目。2018年2月にAT&TやChina Mobileなど5社とともに標準仕様の策定を行う「O-RANアライアンス」を設立。さらに2020年3月には世界で初めて商用5Gサービスで「オープンRAN」を実現するなど、「オープンRAN」の普及を推進してきました。前述した「5GオープンRANエコシステム」にも参加しており、「オープンRAN」に活用できる仮想化基地局(vRAN)について2022年度の商用化を目指して開発を進めています。
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【NEC(6701)】
「オープンRAN」推進のための事業開発拠点をイギリスに設立
NEC(6701)は、前述の「5GオープンRANエコシステム」のメンバーの1社です。2020年11月にイギリスに事業開発拠点を設立し、「オープンRAN」のグローバル展開を加速する体制を強化。また2021年2月には、スペインの大手通信事業者テレフォニカの英国事業者であるテレフォニカUKと「オープンRAN」に関する共同実証を行っています。
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【富士通(6702)】
楽天モバイルと共同で「オープンRAN」ソリューションを開発
富士通(6702)もNTTドコモやNECと並んで「5GオープンRANエコシステム」のメンバーです。2021年5月には、グローバル展開を見据えた「オープンRAN」ソリューションの共同開発について、楽天(4751)の子会社である楽天モバイルと合意に達したことを発表。楽天モバイルのモバイルネットワーク用プラットフォーム「RCP」に富士通の技術を提供することで開発を進め、通信業者の5Gと「オープンRAN」の導入を加速させることを目指しています。
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【アンリツ(6754)】
「O-RANアライアンス」に加盟
アンリツ(6754)は、無線・有線通信の品質を検証する測定器を手掛けており、2021年2月、前述した「O-RANアライアンス」に加盟。「O-RANアライアンス」が定義する仕様に基づいた無線評価や相互接続検証を中心に、他の加盟企業と協力して「オープンRAN」の推進を目指します。
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【電気興業(6706)】
「O-RAN アライアンス」の仕様に準拠した無線装置を開発
電気興業(6706)は無線装置を手掛ける企業で、2019年5月に「O-RANアライアンス」に加盟。2021年4月には、「O-RAN アライアンス」の仕様に準拠した無線装置が、NTTドコモが構築する5Gの商用サービス向けの無線装置に選定されたことを発表しました。電気興業の無線装置は、「O-RAN アライアンス」の仕様に準拠する基地局制御装置であれば、異なるベンダーの製品とも接続可能となっています。
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以上、今回は「オープンRAN」の関連銘柄を発掘しました。
なお、2021年4月に開催された日米首脳会談において、5Gやさらに次世代の通信規格である6Gにおける競争力を強化するため、日米の協力関係を一層強めて国際競争力の強化につなげていく考えが示されました。「無線通信」に関連する企業においては幅広く恩恵を受ける可能性が十分にあるので、そちらも併せてチェックしておくといいでしょう。
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