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著名起業家たちの宇宙飛行やスペースXの子会社のIPOから、
米国株式市場では、にわかに「宇宙関連株」への注目が集まる!
ヴァージン・アトランティック航空などの創設者として知られる起業家のリチャード・ブランソンが、7月11日にヴァージン・ギャラクティック(ティッカーシンボル:SPCE)の宇宙船に搭乗して宇宙遊覧飛行を敢行します。この飛行は、アマゾン(ティッカーシンボル:AMZN)の創設者のジェフ・ベゾスが、自身が創設した宇宙開発ベンチャーのブルー・オリジンの宇宙船で7月20日に宇宙に飛び出すと発表したことを受け、それに先んじるために急遽決定されました。
また、別の話として、「テスラ(ティッカーシンボル:TSLA)を創設したイーロン・マスクのもうひとつのビジネスであるロケット打ち上げ企業・スペースXが、衛星を通じてインターネット・サービスを提供する子会社・スターリンクを近くIPO(新規上場)するのではないか」との観測が流れています。スターリンクのビジネスは中長期的に安定した売上が見込めるため、株式市場で人気化する可能性があります。
これらの要因により、下の表のような宇宙関連株がにわかに注目を集めています。今週は、これらの銘柄を紹介します。
■注目される米国の宇宙関連株 | ||||||
銘柄名 | ティッカーシンボル | 業務内容 | ||||
ヴァージン・ギャラクティック (VIRGIN GALACTIC HOLDINGS) |
SPCE | 大気圏遊覧飛行 | ||||
アストラ・スペース (ASTRA SPACE) |
ASTR | 小型ロケット打ち上げ | ||||
ロケットラボ (Rocket Lab) |
VACQ※1 | ロケット打ち上げ | ||||
ブラックスカイ (Black Sky) |
SFTW※2 | 人工衛星による地球観測 | ||||
スパイア・グローバル (Spire Global) |
NSH※3 | 人工衛星による地球観測 | ||||
※1 ベクター・アクイジション(VACQ)というSPAC(特別買収目的会社)と合併して上場予定で、現在は暫定的なティッカーシンボル。※2 オスプレイ・テクノロジー・アクイジション(SFTW)というSPACと合併して上場予定で、現在は暫定的なティッカーシンボル。※3 ナビサイト・ホールディングス(NSH)とというSPACと合併して上場予定で、現在は暫定的なティッカーシンボル。 |
【ヴァージン・ギャラクティック(SPCE)】
宇宙で無重力体験ができる遊覧飛行を提供
ヴァージン・ギャラクティック(ティッカーシンボル:SPCE)は、宇宙旅行を企画する会社です。具体的には、宇宙船を双胴の飛行機(母船)で高高度まで運び、切り離した後はロケット噴射で大気圏を超え、宇宙空間で数分間にわたって無重力の世界を体験。その後、大気圏に戻ってからは滑空して米国・ニューメキシコ州の基地「スペース・アメリカ」へ帰還します。
ヴァージン・ギャラクティックのフライトでは、一応民間企業のリサーチ・プロジェクトも行えますが、メインの目的は宇宙の観光旅行です。
宇宙船は、グライダーのように滑空して基地に帰ってくるので何度も使用できますし、これまでに何度もテストが行われて安全性が証明されています。つまり、ロー・リスクで宇宙飛行士になったかのような体験ができるのが、ヴァージン・ギャラクティックのサービスのポイントです。
これまでのヴァージン・ギャラクティックのテストフライトでは、高高度で母船から切り離した後、ロケットを噴射する際に点火に失敗し、すごすごと地上に戻ってくるということを繰り返していました。しかし、最近になってようやく点火装置の不具合が直ったことでテストフライトに成功し、6月25日には連邦航空局から「飛んでよろしい」という承認が下りたことを発表しました。そのため、7月11日にヴァージン・ギャラクティックの元々の出資者であり、連続起業家のリチャード・ブランソンを乗せて宇宙遊覧飛行を行う運びとなったわけです。
ヴァージン・ギャラクティックは、まだ正式に営業を開始していないので、「将来どのくらいの売上高が見込めるのか?」を議論するにはまだ早い段階です。今は「世界中の人が注目するセレブのリチャード・ブランソンを乗せた宇宙旅行が、成功するかどうか」が最も重要となります。
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【アストラ・スペース(ASTR)】
低コストで小型の人工衛星を、低軌道まで打ち上げることに特化
アストラ・スペース(ティッカーシンボル:ASTR)は、低コストで小型の人工衛星を低軌道(Low Earth Orbit)に打ち上げることを目的とするロケット打ち上げ会社です。
近年は半導体技術の進歩により、人工衛星のサイズがどんどん小さくなっています。以前であればスクールバスくらいの大きさがあった人工衛星と同じ仕事を、今ではトースターくらいの小さい人工衛星でもこなすことが可能となりました。また、地球に近い低軌道に人工衛星を打ち上げる場合、それほど大きなロケットは必要ないため、打ち上げ費用も低コストで済みます。
そのため、今は低軌道がちょっとしたブームとなっており、最近の宇宙ビジネスの大半は低軌道を飛行する人工衛星によって創り出されています。
アストラ・スペースのロケットは手間がかからないため、作業員が4名ほどいればどんどん打ち上げることが可能です。実際、アストラ・スペースは、ゆくゆくは1日1回のロケット打ち上げを目指しています。
アストラ・スペースの本社は、サンフランシスコからベイブリッジを渡った対岸のアラメダ旧米海軍基地跡地にあります。そのため、広いスペースでのびのびと研究開発ができるだけでなく、そこから打ち上げを行うことも可能です。さらに、港から船にロケットを積み込んで世界へ出荷することもできます。つまり、最初からしっかりと事業計画を練り上げ、それをもとに粛々と事業を進めていることがわかります。
この会社は「華々しい夢のある宇宙ビジネス」というより、運送会社に近い地味な企業になると思います。なぜなら、一番達成しやすく難易度の低いロケット打ち上げに特化し、黙々と数をこなすことを考えている会社だからです。
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【ロケットラボ(VACQ)】
小型ロケットから大型ロケットまで展開するロケット打ち上げ会社
ロケットラボ(ティッカーシンボル:VACQ)は、スペースXを除き、今までロケット打ち上げに関しては一番多くの成功実績を持つ企業です。ロケットラボのロケットは、スペースXのそれより少し小さいものの、小型ロケットから大型ロケットまでそろえています。積荷も人工衛星を運ぶだけではなく、有人飛行も想定しています。
ロケットラボの特徴は、技術力がしっかりしている点にあると思います。
なお、ロケットラボは、ベクター・アクイジション(ティッカーシンボル:VACQ)という名前のSPAC(特別買収目的会社)との合併が発表された段階のため、現在の暫定的なティッカーシンボルは「VACQ」となっています。株主投票で合併が承認され次第、新しいティッカーシンボルに変わる予定です。
【ブラックスカイ(SFTW)】
小型人工衛星から観測したデータを米・国防省などに提供
ブラックスカイ(ティッカーシンボル:SFTW)は、小型の人工衛星で地球を観測し、そのデータを米国の国防省などの顧客に届ける仕事をしています。
こうした情報は機密性が高く、外部に漏れてはいけないタイプのデータと言えます。ブラックスカイは、多くのお金を持ち、今後ずっとデータを買い続けることが期待できる得意先に対して、長期に渡って提供することを狙っています。
なお、ブラックスカイの小型人工衛星は、すでに低軌道上で稼働しています。
ブラックスカイもオスプレイ・テクノロジー(ティッカーシンボル:SFTW)というSPACとの合併が発表された段階のため、現在のティッカーシンボル「SFTW」は暫定的なもとなります。
スパイア・グローバル(NSH)
人工衛星からの観測データを、低コストで複数の利用者に提供!
スパイア・グローバル(ティッカーシンボル:NSH)もブラックスカイと同じように、小型人工衛星から地球を観測するビジネスを行っていますが、ブラックスカイが軍事関連のような極秘のプロジェクトを扱っているのとは対照的に、同じようなデータを広くネットで公開し、複数の利用者に何度も再利用してもらうビジネスモデルとなっています。
同じデータを何度でも重複販売できることから、1回当たりのアクセス・コストを低く抑えることができます。これにより、数多くの民間ビジネスにとって、衛星データサービスがより身近なものになることを狙っています。
現時点では、そうしたビジネスの有用性は未だ実証されておらず、「実際にやってみたら、需要がまったく足りなかった」ということになるリスクもあります。その代わり、このビジネスが当たれば、ブラックスカイのようなオーダーメイドの発想より、成長の伸び代が大きいことが予想されます。
なお、スパイア・グローバルも現在はナブサイト(ティッカーシンボル:NSH)というSPACとの合併が発表された段階で、暫定的なティッカーシンボルとして「NSH」が使用されています。
【今週のまとめ】
7月11日のリチャード・ブランソンの宇宙遊覧飛行の前に、
気になる「宇宙関連株」を仕込んでおこう!
今週は、7月5日の月曜日が独立記念日の振替休日となるため、株式の立会は4日間だけです。しかし、7月11日にリチャード・ブランソンの宇宙遊覧飛行が控えているので、その前に宇宙関連株を仕込んでおきたいと考える投資家が、関連銘柄に殺到する場面があるかもしれません。その辺りにも注目したいと思います。
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