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世界最大のスポーツ実況データ配信企業「スポートレーダー」が、
近くナスダックに新規株式公開(IPO)することを発表!
今週は、近くナスダックに新規株式公開(IPO)するスポートレーダー(Sportradar、ティッカーシンボル:SRAD)を紹介します。
スポートレーダーは、スイスに本社を置く、売上高ベースでは世界最大のスポーツ実況データ配信企業です。具体的には、自社開発したスポーツ実況プラットフォームを使い、メディアやスポーツ・ベッティング会社などに対して信頼できるゲームスコアやデータをリアルタイムで配信します。スポートレーダーは、そうしてコンテンツを配信した見返りとして、取引先企業の売上高の一部を折半する契約を定期購読の形で締結します。
そんなスポートレーダーが8月15日、米国の証券取引委員会(SEC)に対してIPOに関する書類を提出したと発表しました。上場先はナスダック、ティッカーシンボルは「SRAD」になる予定です。現時点ではまだ詳しい発行条件は決まっていません。
スポーツ中継では、データのグラフ化やAR化が必要不可欠に。
スポーツ・ベッティングの市場も急速に拡大中!
最近のスポーツファンは、単にテレビの前に座ってゲームを視聴するだけでは飽き足らず、スマホなど別のデバイスからもゲームのリアルタイムデータにアクセスし、スコア分析やベッティングを楽しみます。このため、スポーツに関するデータのグラフ化やAR(拡張現実)化が必要不可欠になりつつあります。
スポーツ市場は、2019年時点で1840億ドルありました。しかし、その多くは受動的なテレビ放映などであり、イノベーションが望まれています。ゲーミフィケーション、データ・ビジュアライゼーション、ARなどをスポーツ実況中継に持ち込む試みは、まだ始まったばかりです。
また、スポーツ・ベッティング(スポーツに対する賭け事)に関しても、今や世界的に認可される方向にあり、新しい商機が出現しています。
さまざまなベッティング(賭け事)チャンネルの中で、スポーツ・ベッティングは年率+50%と最も急成長しているカテゴリーで、その市場規模は410億ドルになります。スポーツ・ベッティングに対する規制緩和は欧州が先行しており、米国は遅れています。その関係で米国での市場規模は、現在10億ドルに過ぎません。しかし、新型コロナウイルスが州政府の財政を直撃したことから、今、オンラインの賭け事を許可する州が増えています。
900のスポーツ・ベッティング業者と350のテレビ局などに
正確で信頼できるスコアやデータを安定的に配信
リアルタイムでのゲームスコアやデータの提供者として信頼を得るには、まず公式データを配信できる立場を確保しなければいけません。
スポートレーダーは150のスポーツリーグと業務提携し、リアルタイムの動画をコンピュータ・ビジョン(勝敗や不正などをAIで判定する機能)を利用しながら収録する権利を得ています。
正確な公式スコアは、ロー・レイテンシー(通信の遅延が少ないこと)かつ安定して世界中に配信される必要がありますが、スポートレーダーは、それを可能にするための最新鋭の技術を持っています。さらに、スポートレーダーのデータ・インフラストラクチャーでは、AIや機械学習が活躍しています。
また、ベッティング業者からは、掛金データの提供を受けており、それをスポートレーダーがリアルタイムで世界中に再配信します。さらに、マスコミなどのメディア企業からは、視聴者にまつわる統計の提供を受けています。
このようにして、正確で信頼できるスコアやデータを900のスポーツ・ベッティング業者と350のテレビ局、その他のメディア企業に配信しているのです。
具体的に、スポートレーダーは「対戦前オッズ」「ライブ・データ」「ライブ・オッズ」「マネージド・トレーディング」「マネージド・プラットフォーム」「バーチャル・ゲーム」「シミュレーテッド・リアリティー」「ベッティング・エンターテインメント・ツール」「インテグリティー、アナリティックス」などのサービスを提供しています。
NBAやメジャーリーグなどのスポーツ連盟と提携!
過去5年間の売上高成長率は年率+25%に
スポートレーダーは現在、ナショナル・バスケットボール・アソシエーション(NBA)やメジャーリーグ・ベースボール(MLB)、国際テニス連盟(ITF)、フォーミュラ1(F1)など、幅広いスポーツ連盟と提携しています。
2020年末におけるスポートレーダーの顧客企業数は1612社で、ダラー・ベースト・ネット・リテンション率(ドル建ての売上膨張率)は118%でした。
2020年の売上高は4.05億ユーロで、過去5年間の売上高成長率は年率+25%になります。2020年の修正フリー・キャッシュフローは1480万ユーロ、過去5年の修正フリー・キャッシュフロー成長率は+26.5%でした。また、2020年の修正EBITDAマージンは19.0%になります。
「新型コロナによるゲームの中止」や「スポーツチームからの解約」
「スポーツ・ベッティングに対する世間の反発」などが事業リスク
スポートレーダーの競合他社には、ジーニアス・スポーツ、スタッツ・パフォーム、IMGアリーナ、ベットコンストラクトが挙げられます。
事業のリスクとしては、まず新型コロナウイルスの感染拡大でゲームが中止になる危険性があります。次に、スポーツチームから解約されるリスクや、スポーツ・ベッティングが過熱しすぎると世論の反発が予想されます。さらに、競合他社にビジネスを奪われるリスクや、提供するデータの信頼性がユーザーから疑われるリスク、ハッキング・リスク、サービス中断リスクなどが考えられます。
なお、スポートレーダーはアマゾン(ティッカーシンボル:AMZN)のAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)を利用しています。
【今週のまとめ】
スポーツ実況データ配信のニーズが高まるなか、
今後の成長が期待できる「スポートレーダー」のIPOに注目!
スポートレーダーは、信頼できるゲームスコアやデータをメディアやスポーツ・ベッティング会社などに対し配信しています。スポーツ実況データ配信会社としては世界最大で、すでに黒字化を果たしています。
テレビのスポーツ中継では、データのグラフ化やAR化が必要不可欠です。また、スポーツ・ベッティング市場は年々拡大しており、この先も成長が期待できます。
そんなスポートレーダーのIPOは、まだ詳しい発行条件などは決まっていませんが、ぜひ注目しておくといいでしょう。
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