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日本経済新聞は9月26日、2020年度に上場企業が非正規従業員を合計で約21万人も減らしたことを報じました。一方、正社員の減少数は約1万5000人とのことで、非正規従業員の雇用の落ち込みが相当大きかったことが分かります。
同一労働同一賃金などを定めた「パートタイム・有期雇用労働法」が大企業では2020年4月から、中小企業では2021年4月から適用になるなど、非正規従業員の待遇改善に向けたルールづくりは進んでいるものの、実際の非正規従業員と正社員との格差は依然として大きいです。新型コロナウイルス感染症による店舗の休業や工場の稼働低下などによって企業が働き手を減らすなか、そのしわ寄せが非正規従業員に向かってしまった面もあるでしょう。
一方、企業の倒産も増えています。帝国データバンクが9月28日に発表したデータによると、新型コロナウイルス関連の倒産は、累計で2020年12月には844件、2021年8月には2012件にまで増加しています。
業種別の倒産件数を見ると、緊急事態宣言の影響を大きく受けた「飲食店」や「ホテル・旅館」「アパレル小売」などが上位に並んでいます。営業再開の目途が立たないなか、多くの飲食店やホテルなどが倒産を余儀なくされ、なんとか営業を続けているところも、アルバイトなどを中心に従業員を大幅に減らさざるを得ない状況となっています。
当面は厳しい事業環境が続き、新型コロナウイルス関連の倒産は高水準で推移すると見られています。
緊急事態宣言が解除され、経済活動の再開が進むにつれ、
先行する米国のように深刻な人手不足に陥る可能性も!
国内では、このようにコロナ禍の長期化で厳しい雇用情勢が続く一方、ワクチン接種率で米国を上回り、新規感染者数の減少傾向が続いていることから、徐々に改善の方向に進む可能性も見えてきています。
実際、いち早く経済活動の再開が進んでいる米国では、現在、人手不足が深刻化しています。米国の労働省が9月8日に発表した7月の雇用動態調査では、求人数が1093万人、求人数から採用数を引いた人数が426万人と、いずれも過去最多を更新しました。また、FRB(連邦準備委員会)が8日に発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)でも、米国の人手不足問題が指摘されていました。
実際、小売各社では、人手不足から時給引き上げ競争が激化しているようです。また、ロサンゼルス港とロングビーチ港など主要港では貨物の陸揚げが進まず、入港待ちのコンテナ船が過去最多となっていますが、これも荷揚げに携わる労働力が不足していることが要因のひとつとなっています。
こうした人手不足は、今後、経済再開が進んでいく日本でも十分に起こりうることだと考えられます。そこで今回は、「人材」関連銘柄に注目しました。
人材派遣や人材紹介、転職サイトの運営などを行っている企業のなかから、個人投資家による売買を想定して「時価総額3000億円以下」の中小型株をピックアップ。さらに、株価的に強いトレンドが継続している銘柄に絞り込みました
【パソナグループ(2168)】
即戦力となる人材派遣や人材紹介、再就職支援を手掛ける
パソナグループ(2168)は、幅広い業界・職種に対し、必要なスキルや経験を持った即戦力となる人材を届ける「人材派遣」を実施。また、中途採用に関する課題やニーズに合わせた「人材紹介」や、セカンドキャリアづくりをサポートする「再就職支援」などを行っています。2021年5月期はコロナ禍で派遣需要が減少したものの、期間限定の業務を含めて人材需要は回復傾向が見られました。2022年5月期についても、引き続き人材需要の緩やかな回復が見込めるとのことです。
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【夢真ビーネックスグループ(2154)】
機電系、建設系、IT系のエンジニア派遣が主力事業
夢真ビーネックスグループ(2154)は、2021年4月にビーネックスグループと夢真ホールディングスの2社が合併したことで誕生。機電系や建設系、IT系のエンジニア派遣が主力事業で、職種別稼働数ではITソフト領域が50%を超えています。2022年6月期から2025年6月期までの4年間を対象とした中期経営計画では、2025年6月期の売上高として2500億円(2021年6月期実績は951億円)を計画しています。
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【ヒューマンホールディングス(2415)】
人材派遣や人材紹などの人材事業が売上の過半を占める
ヒューマンホールディングス(2415)は、人材事業として人材派遣や人材紹介、さらに転職サイト運営やRPA導入支援、業務受託などを展開する企業です。人材事業の取引社数は2020年度実績で4800社にのぼり、売上構成比で57.5%を占めています。人材事業のほかに、教育事業や介護事業などを手掛けています。2022年3月期の第1四半期には、企業のDX推進を背景にRPA導入支援サービスの利用企業数が堅調に推移しました。
⇒ヒューマンホールディングス(2415)の最新の株価はこちら!
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【UTグループ(2146)】
3年間で約3000名のエンジニアを育成するプロジェクトを開始
UTグループ(2146)は、大手製造業向けの人材派遣を主力事業とする企業です。2022年3月期の第1四半期は、自動車関連分野や半導体・電子部品分野における生産活動が急回復したことによる旺盛な人材需要から、受注獲得状況が好調に推移しています。研修施設をつくり、3年間で約3000名の半導体製造装置エンジニアを育成、輩出していくプロジェクトを進めており、顧客工場内でのシェア拡大にも努めています。
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【ビジョナル(4194)】
「ビズリーチ」「キャリトレ」など複数の人材系サービスを提供
ビジョナル(4194)は、「ビジネスプロフェッショナル」「国内街の優良・成長企業」「ヘッドハンター」の三者を効率的にマッチングする転職サイト「ビズリーチ」を主力に、人財活用プラットフォーム「ハーモス」、20代のための転職サイト「キャリトレ」、転職プラットフォーム「BINAR」などのサービスを運営しています。2021年7月期は、プロフェッショナル領域の採用市場の回復から「ビズリーチ」が2ケタ成長となりました。ビジョナルでは、コロナ禍によって働き方が根底から変化したことにより、国内の採用市場は成長局面にあると見ているようです。
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【メイテック(9744)】
全国の製造業のもとで技術サービスを提供
メイテック(9744)は、約7000名の正社員エンジニアが全国の製造業のもとで技術サービスを提供。子会社を含めたエンジニア数は1万1400名を超えています。機械系、電子系、マイコンシステム系に強みを持っており、研修の機会を提供することでエンジニアのキャリアアップも支援しています。エンジニアの稼働率は2021年4月に87.8%に低下したものの、その後は回復傾向にあり、2022年8月には93.0%にまで上昇しています。
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以上、今回は「人材」関連の銘柄を紹介しました。
政府は9月28日、緊急事態宣言とまん延防止等重点措置について、30日をもってすべて解除することを決定しました。これにより経済活動の正常化に向けた動きが進み、企業も需要に見合った採用拡大を目指すことでしょう。今後、人材需要は少しずつ高まってくることが見込まれるので、「人材」関連銘柄の株価にも期待したいところです。
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