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政府は7月30日、「ポスト・コロナ社会における新たな日常」について話し合う未来投資会議を、前回より参加メンバーを拡大して開催しました。
未来投資会議では、検討項目のタタキ台となる「ウィズ・コロナ、ポスト・コロナ社会の4つの基本理念」として、以下の4つが示されました。
(1)新しい働き方(働き方改革)を定着させ、リモートワークにより地方創生を推進し、デジタルトランスフォーメーションを不退転の決意で進めることで、分散型居住を可能とする、
(2)資本主義の形が、変化への対応力があり、強靱性・復元力を持った長期的な視点に立った像へ変化(特定の場所・国に過度に依存しないサプライネットへ)、
(3)眼前の利益にとらわれず、長期的なビジョンに立った企業像、
(4)持続可能性を持った社会像(脱炭素社会・循環経済の実現のためのエネルギー供給構造改革)の設計
が求められている。
出典:「拡大未来投資会議の検討項目のタタキ台」[未来投資会議(第42回)配布資料]
今回は、この4番目に挙げられた「持続可能性を持った社会像の設計」に注目したいと思います。
「再生可能エネルギー」関連銘柄は、大手電力株が持つ
「ディフェンシブ性」と高い「成長性」の2つを両立!
小泉進次郎環境相は、未来投資会議において「2050年に脱炭素社会を目指すべき」だと提言し、さらに7月31日の閣議後会見でも改めて「2050年にできるだけ近い時期に脱炭素社会を実現できるよう努力する」と政府目標の前倒しに触れるなど、環境問題に対して力を入れているようです。ちなみに小泉環境相の言う「政府目標」とは、「2050年までに二酸化炭素を含めた温室効果ガスを80%削減する」ことを指します。
新型コロナウイルスについては、感染症による直接的な被害やそれに伴う深刻な経済ダメージなど、ネガティブな影響が甚大です。しかし一方では、テレワークが一気に普及するなど、今回のコロナ禍が社会全体の方向性が大きくシフトする転換点となる可能性も指摘されており、その一環として脱炭素社会への取り組みが加速していくことが期待できます。
そこで今回は「持続可能性を持った社会像の設計」に関連する投資テーマとして、「再生可能エネルギー」に焦点を当てたいと思います。
「再生可能エネルギー」とは、風力や太陽光、地熱、中小型の水力、バイオマスなどを用いてつくられる電気のことです。
「再生可能エネルギー」関連銘柄は、東京電力ホールディングス(9501)や関西電力(9503)といった昔ながらの電力株が持つ「ディフェンシブ性」と、そうした大手電力株よりも高い「成長性」の2つを兼ね備えているのが特徴です。実際、新型コロナウイルスの影響で全体相場が荒れる中でも、「再生可能エネルギー」関連銘柄は、比較的強い値動きを保つ銘柄が多かった印象があります。
具体的な銘柄選定に当たっては、今後の「成長性」を考慮して、従来の大手電力株は除外しています。その他、太陽光パネルメーカーなど、その会社が直接的に再生可能エネルギー事業を手掛けていない企業も除外し、より直接的に「再生可能絵エネルギー」に関わる企業をピックアップしました。
【ウエスト(1407)】
メガソーラー建設や工場への電力の供給など、幅広く事業を展開
ウエスト(1407)は、再生可能エネルギー事業と電力事業の2事業を主力としています。具体的には、メガソーラー建設のほか、工場や事務所を中心とした電力の供給や、稼働している太陽光発電所の売買仲介や買い取りなど、幅広く事業を展開しています。さらに海外事業として、電力不足が課題となっているタイに進出している日本企業に対する電力需要のサポートも手掛けています。業績を見ると、2020年8月期の第3四半期決算では、営業利益が前年同期比30.0%増の39.78億円と、通期計画に対して好調に推移しています。
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【レノバ(9519)】
太陽光やバイオマス、風力、地熱などの発電施設を開発・運営
レノバ(9519)は、再生可能エネルギー事業を展開しています。太陽光やバイオマス、風力、地熱といった再生可能エネルギーの発電施設を開発・運営し、電力会社を通じて電力を提供。発電量が不安定な太陽光に限定されない幅広い事業展開は魅力のひとつです。業績面では、2021年3月期からIFRS適用となるため、2020年3月期との単純比較ができない点には注意が必要。各種先行投資が業績の重しとなっているものの、九州地方における大雨の影響も軽微で、月次で発表している売電量が足元で安定している点は高評価です。
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【イーレックス(9517)】
M&Aを活用し、既存事業のテコ入れや新規事業への参入を進める
イーレックス(9517)は、日本有数のバイオマス発電事業者です。M&Aを活用して、既存事業のテコ入れや、蓄電池などの新規事業への参入を進める方針を示しており、その動向には注目です。2019年10月には、カンボジアにおける水力発電事業への出資参画を発表。初の水力発電事業で、しかも海外発電事業への参画に踏み出したことで、中長期的な事業展開の加速が期待できます。なお、2021年3月期の売上高は前期比8.2%増の958.80億円、営業利益は同10.1%減の83.11億円との見通しです。
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【ジャパンインベストメントアドバイザー(7172)】
全国26カ所で太陽光発電所を運営
ジャパンインベストメントアドバイザー(7172)は、オペレーティング・リース事業を中心に「金融ソリューション事業」として幅広い事業を展開しており、その一環として環境エネルギー事業を手掛けています。全国26カ所で太陽光発電所が稼働しており、その運営業務委託料や売電収入が安定した収入源となっています。2020年12月期は5月1日に下方修正済みで、売上高が前期比18.5%増の197.30億円、営業利益が同2.6%増の84億円の見通しとなっています。
⇒ジャパンインベストメントアドバイザー(7172)の最新の株価はこちら!
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【エフオン(9514)】
一度は撤退した小売電気事業を今夏から再開
エフオン(9514)は、省エネルギー支援事業とバイオマス発電事業を展開する企業。2009年に小売電気事業から一度撤退したものの、世界的に低炭素社会の実現に向けた取り組みが進んでいることを踏まえ、7月17日に、九州において同事業を再開することを発表。8月1日から、同グループの豊後大野チップセンターに電力供給を開始しています。小売電気事業の再開により、今期は3億円程度の売上増を見込んでいます。これを契機に、電力の外部販売に注力するとしており、今後の販売動向に注目したい企業です。
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「再生可能エネルギー」の推進については、政府だけでなく、民間企業も注力しています。例えば、経済同友会は、再生可能エネルギーの比率を現状の17%程度から40%(2030年目標)まで高めるべきとする提言をまとめています。2030年時点の政府目標(エネルギー基本計画より)が22~24%であることを考慮すれば、かなり踏み込んだ内容と言えます。
「再生可能エネルギー」はテーマの性質上、今すぐ大きな変化が現れるというものではありませんが、このように政府と民間の積極姿勢を背景に規制緩和や新規投資などの動きが徐々に活発化していくことが期待できるので、投資テーマとしても大いに注目しておきたいところです。
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