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東京都は4月27日、「水道スマートメータトライアルプロジェクト 推進プラン」を公表しました。「水道スマートメータトライアルプロジェクト」は、東京都全体にスマートメーターを普及することを視野に入れた実証実験で、今回発表された「推進プラン」によると、東京都は2024年度までに、都内全域にある約750万個の水道メーターのうち約13万個を「スマートメーター」に切り替えるそうです。
「スマートメーター」とは、通信装置を備え、遠隔地から検針や操作が可能なメーターのことで、東京都は以前からこの「スマートメーター」の導入を目指してきました。
東京都の「水道スマートメータトライアルプロジェクト」は、当初、2018年9月に開催されたIWA世界水会議で発表されました。その後、2020年3月に、より具体的な計画として「水道スマートメータトライアルプロジェクト 実施プラン」を策定。「自動検針」や「見える化サービス」「早期漏水検知」などに関する検証を実施し、2030年代までに都内の全戸にスマートメーターを設置していく計画を示しました。そして今回発表された「水道スマートメータトライアルプロジェクト 推進プラン」では、スマートメーターの設置場所や、製造メーカーに対するスマートメーターの発注計画など、より具体的なプランを提示しました。
水道に「スマートメーター」を導入することで、
検針の大幅な効率化や新サービスの創出などが可能に!
東京都による「スマートメーター」導入の背景として、将来的に検針員の不足が懸念されることや使用水量の増減に対する顧客の不信感、さらに漏水や逆流などの早期発見の必要性が挙げられます。
こうした課題に対して、「スマートメーター」を導入することで、検針・徴収業務の効率化が図れるほか、検針データの見える化や毎月検針・毎月徴収といった顧客サービスの拡充、漏水・逆流などの早期検知や効率的な施設運営、さらにはビッグデータの集積による社会還元といった新たな付加価値の実現が見込まれています。
■スマートメーター導入の意義 | ||||||
検針業務における現状と課題 | ◆将来的に検針員が不足 ◆使用水量の増減に対する顧客の不信感(2カ月に1回の検針のため、日々の使用水量がわからない) ◆漏水、逆流などの早期発見の必要性 |
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スマートメーター導入で期待される効果 | ◆検針・徴収業務の効率化 ◆顧客サービスの向上(見える化・見守りサービス、毎月検針・毎月徴収) ◆水道事業への活用(漏水、逆流などの早期検知・効率的な施設運営) ◆新たな付加価値の実現(ビッグデータ活用による社会全体への活用) |
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※東京都水道局「水道スマートメータトライアルプロジェクト 実施プラン」より編集部が作成 |
検針・徴収業務については、現在、検針員が一軒一軒、直接、家庭や工場などを訪れて検針しています。しかし、水道の検針機器は家の裏にあることも多くて作業がしにくい上、工場などでシャッターが閉まっていたりすると再度訪問しなければならない場合も出てくるため、非常に非効率です。もし「スマートメーター」が導入されれば、現地に向かうことなく遠隔地からでも検針ができるようになり、業務の効率化の効果は相当大きいと考えられます。
また、「スマートメーター」は1時間ごとに使用水量を計測・集計できるため、顧客が自分のパソコンやスマホを使い、時間ごとや日ごと、週ごと、月ごとなど、使用水量を詳細にチェックすることが可能となります。
さらに「長時間使用されていない」、あるいは「不自然に連続した使用状態になっている」などの場合に登録された連絡先にメールで通知する「見守りサービス」といった、従来にない新サービスの創出という面でも注目されます。
東京都が「スマートメーター」導入の具体的プランを示したことで、
設備機器の値下がりと、それによる全国自治体への普及に期待!
「スマートメーター」導入の最大のデメリットは、コストの高さです。現状では、設備機器の価格や通信費が高額なため、どうしても一定のコストがかかってしまい、それが普及の妨げとなっています。全国の自治体でも「スマートメーター」の導入について検討自体はされているものの、やはりコスト面が大きな障害となっているようです。
しかし今回、東京都の導入計画がある程度具体的に示されたことで、大量発注により「スマートメーター」の製品価格が低下する可能性が見えてきました。これにより、今後、全国の自治体への普及が加速していくことが期待できます。
今回は、そんな「スマートメーター」関連銘柄に注目しました。具体的な銘柄としては、水道用の「スマートメーター」を手掛けている企業に加え、水道設備や部材を手掛けている企業を取り上げています。
【東光高岳(6617)】
水道事業者向けのほか、電力会社やガス事業者向けの計器を販売
東光高岳(6617)は、グループ会社の東光東芝メーターシステムズが、電力会社やガス事業者、水道事業者向けに計器の製造・販売を行っています。「スマートメーター」のほかに、異常監視機能や通信機能を持った「電子式水道メーター」や、検針員が直接メーターを確認することが困難な場所での検針を可能にする「ハンディ無線検針システム」などを手掛けています。
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【愛知時計電機(7723)】
水道用「スマートメーター」の実証実験を実施
愛知時計電機(7723)は、時計製造で培った精密加工技術をベースに、電磁計測技術を用いた水道メーターを提供しています。また、2020年11月から2021年3月にかけ、水道用の「スマートメーター」の導入に向けた実証実験を行っています。その他、公共施設向けソリューションとして、上下水道や農業・工業用水施設における水位や水質などの計測データに基づいた監視・制御を行っています。
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【アズビル(6845)】
無線検針などの水道メーター検針ソリューションを手掛ける
アズビル(6845)は、グループ会社のアズビル金門が、無線検針や隔測検針に対応した水道メーター検針ソリューションを手掛けています。その他にも、マンションなどの集合住宅において検針を1カ所で管理できる集中検針盤も販売。さらに2020年には、LPWA通信技術の一つである「LTE-M」を活用したスマート水道メーター自動検針の実証実験を実施しています。
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【大崎電気工業(6644)】
検針用ハンディターミナルや上下水道料金管理システムを開発
大崎電気工業(6644)は、グループ会社の大崎データテックが、検針用ハンディターミナルや検針システムに係わるソフトウェアの開発・販売を手掛けています。また自治体向けとして、クライアントサーバ型の上下水道料金管理システム「Park Water X」を展開しています。
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【OKK(6205)】
水道メーターや検針システム、積算システムなどを展開
OKK(6205)は、グループ会社の大豊機工が、水道メーターや検針システム、精算システムなどを展開。その他、上下水道の中央監視に対応したシステムや、流量計・水位計などの計測機器も手掛けています。
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【前澤給装工業(6485)】
水道用給水装置の総合メーカーとして幅広く事業を展開
前澤給装工業(6485)は、水道用給水装置の総合メーカーで、サドル付分水栓や止水栓、継手などの製造・販売を行っています。また、集合住宅用や戸建住宅用のメーターセットやメーターバイパスユニットなども手掛けています。
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以上、今回は「スマートメーター」関連銘柄を発掘しました。
東京都が今回公表した「水道スマートメータトライアルプロジェクト 推進プラン」では、メーカーに対する「スマートメーター」の発注計画も示されています。それによると「スマートメーター」には「分離型」「一体型」「アタッチメント型」の3タイプがあり、そのうち「一体型」と「アタッチメント型」に関しては「当局が求める性能を有する製品は国内で流通していない」との理由から、今後、広く企画立案を公募し、実用化に向けた事業者の製品開発を促進していくとされています。
「水道スマートメータトライアルプロジェクト 推進プラン」で掲げられた「2024年までに13万個」というのはあくまでも東京都の実証実験の話ですが、「スマートメーター」の導入自体は、この先時間をかけて全国に広がっていくことが予想されます。そのため「スマートメーター」関連については、機器の開発状況なども含め、長期的にチェックしていきたいところです。
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