「夢の配当金生活」実現メソッド
【第12回】 2018年6月23日 個人投資家・立川 一(たちかわ・はじめ)

「配当利回りが高い株」に投資するより重要なのは、
「増配傾向にある株」を選んで投資をし続けること!
実現間近の「配当でモトを取る」途中経過も大公開!

上場企業の「決算」を見て優良銘柄を探すのは難しくても
「増配株」を選ぶだけで簡単に優良銘柄に投資ができる!

 こんにちは、個人投資家の立川です。

 さて、上場企業の約7割が3月決算ですので、4月から5月にかけて多くの上場企業の「決算」発表が続きました。

 「決算」とは、ざっくり言うと「企業が一定の期間内(一般的な上場企業の場合は1年、J-REITやインフラファンドは半年)に、どのようにお金を調達し、何を仕入れて、どのように加工して販売し、その結果としてどれだけの利益を出したか。そして次の半年~1年ではどれくらいの売上と利益が出せそうなのか」を企業が示すものです。昨今では事業の海外展開に伴って、海外では一般的な12月決算に変更する企業も増えているようです。

 株式投資をする際、読者の皆さんも「最近、あの店が流行っているなぁ。逆に、あっちの店は閑古鳥が鳴いているけど大丈夫かな?」といった、いわゆる「街角企業ウォッチング」をされる方も多いと思います。しかし、株で大きな資産を築いた投資家の多くは、外から見える部分だけではなく、「実際にどれくらい売れているのか、儲けているのか」ということを具体的な数字で表している「決算」の中身を確認して投資をしているのです。決算を見ることで「あの店は流行っているように見えるけど、実際は薄利多売なので、最近は人件費が増えて赤字らしい。逆に、あっちの店は客は少ないけど、一人当たりの売上も利益も大きくて本当はウハウハなんだな」とわかることもあります。

 つまり、「決算」とはズバリ、「企業の経営状況を数値で見える化」するツールと言えるでしょう。

 この連載で取り上げている「毎年のように配当を増やしてくれる銘柄=増配銘柄」の決算を見ると、そのほとんどが売上と利益を毎年のように増やしています。その理由は、連載第2回でも解説したとおり、企業の経営状況がいいからこそ増配ができるからです。
【※連載第2回の記事はこちら!】
「定期預金の金利より「株の配当」は数百倍もお得!増配銘柄を選べば、自動的に株価下落リスクが低く、優れたビジネスモデルの超優秀な銘柄に投資できる!

 仮に何も考えずに増配株を選んで何銘柄か買ったとしても、その選んだ銘柄は経営状況がいい可能性が高いので、かなりリスクが限定された優れたポートフォリオとなるでしょう。つまり、「増配株に投資をする」ということは、「決算内容を吟味して投資する」という、成功した投資家が欠かさず実行しているプロセスを知らず知らずのうちに実践できるということになります。

 そして、増配株投資には個人投資家にとってうれしいことがあります。増配株は経営状態がいい銘柄が多いため、倒産などのリスクを小さくできます。何より、増配株を何年も持ち続ければ配当金で元本の回収もできてしまうので、その後は株価を気にせずに、毎年1~2回の配当を受け取ることができるようになるのです(下記の関連記事参照)。
【※連載第4回の記事はこちら!】
増配株への分散投資は、預貯金よりもリスクが低い?配当金だけで投資元本を回収できる期間が短くなり、元本回収後はリスクフリーで高い配当金がもらえる!

「全国保証(7164)」を2012年の上場直後に買っていれば
わずか6年で投資元本の約6割は回収できていた!

 参考までに、私が2012年の上場当日(12月19日)に購入し、今もそのまま保有し続けている「全国保証(7164)」の配当金の推移を見てみましょう。なお、下の表は株式分割を考慮した配当金の推移を表しています。

■全国保証(7164)の配当金の推移
基準月 2013年
3月
2014年
3月
2015年
3月
2016年
3月
2017年
3月
2018年
3月
配当金額
(税引前)
21.5円 30.0円 48.0円 55.0円 62.0円 80.0円
※株式分割考慮後の配当金額

 私はこの「全国保証」を上場日に1016円で購入しました。2014年に1:2の株式分割をしているので、現在の株価に換算すると508円で買ったのと同じことになります。

 私が「全国保証」から過去6年間に受け取った配当金の合計額は21.5+30+48+55+62+80=296.5円となるので、投資した金額のうち、およそ60%はすでに回収できていることになります。仮に、この後は増配がストップしたとしても、あと3年も保有していれば80円×3年=240円の配当を受け取ることができるので、「296.5円+240円=総配当金額536.5円>購入時の株価508円」となり、「全国保証」に投資した元本は完全に回収できる計算になります。

全国保証」を上場時から保有している私は、わずか9年で投資元本をすべて回収することになり、今後は株価などを気にすることなく、毎年配当を受け取れるようになります。ちなみに、「全国保証」は中期経営計画で2019年3月期は82円、2020年3月期は86円の予想と、さらなる増配を計画しているので、実現すればあと2年で463円(投資元本の約90%)を回収できることになります。

 このように、増配株ばかりを何銘柄か購入すると、それらの銘柄の中には短期間で元本を回収できる銘柄が出てきます。また、売上や利益は伸びないのに配当性向(=利益から配当に回す割合)の引き上げや自社株買いで配当金を増やす企業もあれば、利益を急速に伸ばしているのに配当はゆっくり増やす銘柄もあります。配当の増え方は企業によって異なりますが、さまざまな傾向の増配株を保有することで、そのポートフォリオが生み出す配当は毎年安定して成長していくことでしょう。

「増配株」と「増配しない株」では、
投資元本の回収までの期間が大きく変わる!

 今、30代のサラリーマンが「増配株投資」を始めた場合、配当金で15年程度の期間をかけて元本を回収できれば理想的だと言えるでしょう。というのも、60歳が定年だとすると、30歳から「増配株投資」を始めた場合の運用期間は約30年になり、その間に毎年投資資金を追加していくと、それらの投資資金の運用期間は平均15年になるからです。15年以内に配当金で投資元本が回収できれば、定年退職時点では投資元本はすべて回収したうえに、配当をもらい続けることができるのです。

 しかし、増配しない銘柄に投資して15年で投資元本を回収したい場合、6.67%の高い配当利回りが必要になります(100%÷15年≒6.67%)。しかも、特定口座では受け取った配当金から20.315%が源泉徴収されるので、15年で元本を回収するためには、実際には8.37%の配当利回りが必要です。

 昨今、8%を超える金融商品なんてありませんし、株の配当でも6%、8%を超える銘柄はほぼありません。でも、増配株に投資することで話が少し変わってきます。配当利回りが1.5%~3.0%の増配株を購入して、15年間で配当だけで投資元本を回収しようとした場合に必要な毎年の増配率は次のようになります。

■「配当」だけで15年間で投資元本を回収する場合に必要な増配率は……
当初受け取れる
配当利回り
(税引後)
必要な
配当利回り
(税引前)
投資元本の
回収に必要な
増配率
3.0% 3.76% 10.7%
2.5% 3.14% 12.9%
2.0% 2.51% 15.7%
1.5% 1.88% 19.1%

「増配率」とは、「一年でどれくらいの割合で配当金を増やしているか」というのをパーセントで示した数字です。例えば、10円→11円→12.1円と増配している場合は増配率10%、10円→12円→14.4円の場合は増配率20%です。この程度の増配を実施してくれる企業はたくさんあるので、十分に実現が可能です。例で示した「全国保証」も、前年の62円から今年は80円になっていますので、この間の増配金額は18円、増配率は29%(=18円÷62円×100%)ということになります。

 とはいえ、保有しているすべての銘柄が15年間も理想的な増配を続けてくれる必要はありません。なぜなら、複数銘柄に投資すると、期待を大幅に上回る高い増配率を実現してくれる銘柄が出てくるからです。例えば、「シーティーエス(4345)」という銘柄は、2017年3月期は6円だった配当金を、翌年度には50%アップの9円にしてくれました。つまり、「配当利回り○%以上、増配率○%以上の銘柄を見つけなくてはならない」というわけではなく、増配傾向にある銘柄を毎年2~3銘柄ずつ購入していけばいいのです。その中には理想的な増配銘柄、理想よりスローペースの銘柄、理想以上にハイペースで増配する銘柄など、さまざまな銘柄があるでしょう。年数の経過とともに、経済状況も変わり、それぞれの銘柄の増配傾向も変化すると思います。しかし、ポートフォリオ全体で増配傾向が続いてさえいれば、増配株投資を始めて15~30年が経過すると、その間に受け取った配当金で投資元本を回収できるようになるのです。

 昨今、日本の上場企業は株主への還元を重視して配当性向を引き上げる傾向にありますが、米国の上場企業と比べるとまだまだ配当性向が低いのが現状です。今後は、利益の伸びに加えて配当性向を引き上げることで、さらに増配ペースを上げることも可能ですから、増配株投資がますます有利になると考えています。

 また、長い人生の中には、景気がいいときも悪いときもあります。不況のときには企業の業績が落ち込み、場合によっては増配銘柄でも配当を減らすかもしれませんし、その増配銘柄のビジネスが永遠に順調であるとも限りません。そもそも増配銘柄は不況に強いビジネスである可能性も高いのですが、大切なお金の運用のリスクは少しでも減らしたいところです。そこで、連載第10~11回で紹介した、家賃収入や売電収入を利益の源泉とする「J-REIT」や「インフラファンド」を組み入れて、ポートフォリオ全体の受取配当金のブレを小さくするのが重要になってきます。
【※連載第10回目の記事はこちら!】
高配当な「米国株」や「J-REIT」の魅力を分析!増配株投資で成功した投資家が実践する「米国株」と「J-REIT」を利用した「分散投資」の戦略を公開!

【※連載第11回目の記事はこちら!】
インフラファンドのメリット・デメリットを解説!「J-REIT」と比較しても、「インフラファンド」には高利回り+安定度、不況に強いなど、メリット多数!

 「J-REIT」や「インフラファンド」は安定して高利回りな半面、毎年の増配率は緩やかです。そこで私は「J-REIT」や「インフラファンド」は今のところ少しだけポートフォリオに組入れて、こらから時間をかけて組み入れる比率を増やしていく計画です。

投資するのが難しいときでも、最小単位を保有し続けて、
株式投資の「試合勘」が鈍らないようにしよう!

 さて、資産形成は人生設計の中でとても大切なことではありますが、その一方で人生には結婚や子供の教育、自宅購入など、多額の出費が必要になるときがあります。たくさん稼いでいる人ならともかく、一般的なサラリーマンだと投資資金を積み立てるのを中止したり、せっかく購入してきた増配株を売却して現金化したりしなくてはならない事態があるかもしれません。

 ただし、そういう場合でも1~2銘柄だけで構わないので、株式投資を継続することが大切だと思います。というのも、少しでも保有しておけば、定期的に株式関係書類が届くので、再び資金を振り向けることができるようになったときに備えて、実践的な勉強を継続することができると思うからです。

 保有銘柄をすべて売却し、完全に投資をやめてしまうと、投資の勉強に対するモチベーションは確実に下がってしまうでしょう。そうなると、再び資金を投資に振り向けることができる状況になったとしても、投資を再開することが億劫になるかもしれません。お金に余裕ができたときに、自信をもって投資に取り組めるように、少しでも株式を保有し続け、株式市場に関心を持ち続けたほうがいいでしょう。

 私は、「投資」は「スポーツ」と似たような部分があると思っています。スポーツでは基礎体力を作ったり、基本的なトレーニングをしたりすることも大切ですが、試合に出て経験を積まなければモノにはなりません。だからといって、いきなり試合に出たら怪我をしてしまうでしょう。投資もスポーツと同様に、勉強や研究だけでなく、自分のお金を投じることによって得られる経験がとても大切です。いわゆる「試合勘」と呼ばれるものですが、この「試合勘」を一度でも途切れさせると、取り戻すことはなかなか難しくなります

 例えば、連載第8回で紹介したモデルプランでは、毎月3万円(毎年36万円)を30年間にわたって配当利回り2.5%、毎年10%増配する株に投資した場合をシミュレーションしました。その結果、30年後には投資元本をすべて回収し、その後は年間120万円の配当を受け取れることがわかりました。

●月3万円(毎年36万円)を積み立てて、投資する時点で配当利回り2.5%、その後は毎年10%増配する株を買った場合
・30年継続で積立金額の総額=1080万円
・30年間の受取配当金総額(税引後)=約1080万円
・実質的な積立金額=0円(1080万円-約1080万円、年0円/年)
・その後の受取配当金額=120万円/年、さらに5年後には約200万円/年
【※連載第8回の記事はこちら!】
億トレーダーが初心者におすすめの証券会社を紹介!NISA口座の売買手数料無料のSBI証券と、株主優待で売買手数料が無料になるGMOクリック証券がおすすめ

 しかし、上記のプランでも、きっちり毎年36万円を積み立てる必要はありません。1円も積み立てられない年もあれば、36万円より多くの資金を株式投資に振り向けられる年もあるでしょう。それでも、30年間で1000万円を目標に増配株への投資を継続すれば、元本は回収して、その後も株と年間100万円を超える配当が残るという状態が期待できます。一定のテンポでなくても、スローペースでも構わないので、絶えず歩き続けることが大切です。そうすれば、いつかゴールに辿り着くことができるはずです。積み立て金額をノルマのように考えて、厳しい状況なのに無理をしてしまい、逆に家計が苦しくなってしまっては資産形成の意味がありません。

 なお、先ほど紹介した「全国保証」は、増配に加えて、継続保有期間が1年未満の株主は3000円分の「QUOカード」、1年以上の株主には5000円分の「QUOカード」という株主優待もあります。最低単元(100株)を保有した場合の利回りは、この株主優待のお陰で年0.6%~1.0%が上乗せされることになります。配当と合わせて考えれば、投資元本の回収速度はさらに早くなるということです。これに関しては連載第5回に詳しく書いてあるので、ぜひそちらも参考にしてください。
【※連載第5回の記事はこちら!】
「株主優待」の有効活用は「配当金生活」への近道!配当だけでなく株主優待にも注目すれば、投資元本は15年以内で回収できて、リスク管理がパワーアップ!

 ここで、今回のポイントをまとめておきましょう。

【ポイント①】
配当金のみで投資元本を回収することは、十分に実現可能!
【ポイント②】
投資元本を回収するために、投資する銘柄の配当利回りや増配率を厳密に決める必要はなく、ポートフォリオ全体の平均で考えればOK!
【ポイント③】
ポートフォリオに「J-REIT」や「インフラファンド」を組み入れることで、受け取れる配当金が安定する!
【ポイント④】
投資元本を積み立てしづらい時期があっても、「試合勘」を鈍らせないために1~2銘柄だけでも保有し続けよう!
【ポイント⑤】
QUOカードなどの株主優待の利回りを加味すると、投資元本の回収はさらに早くできる計算になる!

 おかげさまで、「配当で投資元本を回収する」ことにこだわる私が連載を始めて、約1年が経過しました。しかしながら、国内外の投資家の言動を見ていても、同じように「配当でモトをとる」と考えている人をあまり見かけることはありません。そこで次回は、なぜ私がこの連載記事の中で「配当でモトをとる」ことにこだわり続けているのかを掘り下げて解説してみたいと思います。どうぞお楽しみに!
【※連載第13回はこちら!】
株式投資はそもそも「株の売買で稼ぐ」ことでなく、 「出資に応じた利益の分配=配当を受け取る」もの! サラリーマンに「増配株投資」がおすすめの理由は?