つみたてNISA(積立NISA)おすすめ比較&徹底解説[2019年]
2018年9月14日 深野 康彦

「つみたてNISA」は少額で投資が始められ、いつでも
引き出せる、若年層&投資初心者にピッタリの制度!
時間を味方にして、長期の積立で資産運用を始めよう

つみたてNISAのおすすめ証券会社はココ!

 今回は、20代から30代前半にかけての若年層に「つみたてNISA(積立型の少額投資非課税制度)」がおすすめである理由と、実際に20代・30代の若年層が「つみたてNISA」で運用する際の具体的な商品選びの考え方などを見ていきます。また、20代・30代ではなくても、投資初心者や資金に余裕のない人に共通する内容ですので、そうした人たちはぜひ参考にしてください。

【※30代・40代の人、50代以上の人の「つみたてNISA」活用法はこちら!】
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投資の“ハードル”が低い「つみたてNISA」は
資金の余裕や投資の経験がない人の資産形成に最適の仕組み

 最初に、「つみたてNISA」について簡単におさらいしておきましょう。「つみたてNISA」は、年間40万円までの投資額の枠で、投資で得た利益が全額非課税になる制度です。非課税になる期間は最長で20年と長期にわたります。仮に毎年40万円を投資したとすると、40万円×20年=800万円の資金を、運用益非課税で投資できることになります。

 「つみたてNISA」で買える運用商品は、金融庁が定めた要件を満たす投資信託とETFに限られ(要件については後ほど解説します)、2018年9月13日現在、投資信託155本とETF3本が対象になっています。

 「つみたてNISA」は、日本に住む20歳以上の人なら誰でも利用できますが、「これから資産形成をしていきたい」「初めて投資にチャレンジする」という若年層に、非常に向いている制度だと私は考えます。それは、次のような理由からです。

1:まとまった資金がなくても投資を始められる
2:運用商品が絞り込まれており、投資初心者でも選びやすい
3:一度設定すればあとは自動的に積立投資が行われるので、手間がかからない
4:買いのタイミングで悩まなくていい
5:積み立てた資産はいつでも現金化して引き出せる

 それでは、1つずつ見ていきましょう。

理由1
まとまった資金がなくても投資を始められる!
金融機関によっては月100円から積立投資が可能

 資産形成に興味があっても、働き始めてそれほど年月のたっていない20代の場合、ほとんどの人が投資に回せる「まとまったお金」を持っていないのではないでしょうか。しかし「つみたてNISA」では、ごく少額から投資を始めることが可能で、投資の“ハードル”が非常に低くなっています。

 前述のとおり、「つみたてNISA」では1年に投資できる金額が40万円、月額にすると約3万3000円までです。これはあくまで上限で、もっと少額、たとえば月1万円でも、あるいは1000円でも、自分のできる範囲で積立投資を行うことができます。ちなみに、SBI証券楽天証券松井証券マネックス証券などネット証券の中には毎月100円から積立可能というところもあります(あまり積立額が少ないと、なかなか資産が増えていかないという難点はありますが)。

 ただし、少額で投資できるからといって、預貯金ゼロで投資を始めようというのは厳禁です。投資に足を踏み出してもいいのは、最低でも生活費の4カ月分、もしくは20代ならキリのいいところで100万円くらいの預貯金を確保してから、と覚えておきましょう。

理由2
運用商品があらかじめ絞り込まれていて
投資初心者でも選びやすい!

 証券会社や銀行には、「つみたてNISA」以外の投資信託の積立サービスもあり、同様に少額から投資することができます。ただ、「つみたてNISA」の場合は運用で得た利益が全額非課税になることが大きなメリットです(通常は、運用益に約20%の税金がかかります)。それに加えて、あらかじめ商品がかなり絞り込まれているのも、投資未経験や投資初心者が多い20代・30代にとって、心強いポイントと言えます。

 日本で販売されている投資信託は全体で6000本以上もあり、その中から自分に合った適切な商品を選ぶのは大変です。一方「つみたてNISA」では、「売買手数料が無料」「運用コスト(信託報酬)が一定以下」「運用期間が5年以上(アクティブ型投資信託の場合)」などの金融庁が定めた条件に当てはまらないと、対象商品として認められません。先述のとおり、2018年9月13日時点で対象となっているのは投資信託155本とETF3本のみです。

 つまり、高コストの投資信託や、長期投資に向かない投資信託はあらかじめ除かれています。そのため、投資経験がまったくない人、または少ない人でも、商品を選択しやすくなっているのです。

【※関連記事はこちら!】
「つみたてNISA」で積み立てられる投資信託とETFが“積立&長期投資向き”な理由とは?金融庁が課した“一定の条件”と、対象となった商品の概要を解説!

理由3
一度設定すれば自動的に積立投資が行われるので
手間がかからない“ほったらかし”投資が実現できる!

 資産形成は“投資を続ける”ことが重要ですが、面倒くさいとなかなか続きません。その点、「つみたてNISA」なら、口座を開く金融機関を決めて、積立金額や引き落とし口座などを設定し、投資する商品を選んでしまえば、あとは設定したとおりに、毎月オートマチックに積立投資が行われます。手間がかからず、投資初心者でも続けやすい仕組みになっているのです。

「つみたてNISA」を始めた後は、基本は“ほったらかし”でも大丈夫です。積立をしていることを忘れるくらい淡々と、積立投資を続けていきましょう。ただし、年に一度くらいは運用レポートなどで運用状況を把握しておく習慣をつけてほしいと思います。

理由4
買いのタイミングを考える必要がなく
一時的に損が出ても取り戻せる可能性が高い!

 「つみたてNISA」は、たとえば毎月1万円といった形で、一定額の投資信託(またはETF)を定期的に購入していく仕組みです。購入するタイミングを計る必要がないので、投資初心者でも難しくありません。また、一度に投資するのではなく複数回に分けて投資する「時間分散」によって、高値つかみのリスクを低減することができます。

 さらに、投資信託の価格(基準価額:株式で言えば株価にあたるもの)が高いときには買う量が少なくなり、逆に価格が安いときには多く買うことになるので、平均取得単価を下げる、つまり平均すると安く買えるという効果も期待できます(これを「ドルコスト平均法」と言います)。

 もっとも、「時間分散」でリスクを抑えられるとはいえ、投資に絶対はありません。たとえばリーマンショックのようなことが起きると、運用成績が落ち込んで元本割れになることもありえます。しかし、「つみたてNISA」の場合、運用期間は最長20年もあります。過去の経験則からいうと、10年、20年と長く運用を続けていけば、一時的に損が出ても取り戻すことは十分可能です。

 特に20代・30代の若年層は、今後の運用にかけられる時間が長いことが強みです。さらに、一般的に若年層は投資に回せる金額が少ないぶん、仮に失敗したとしても傷は浅く、リカバリーしやすいと言えます。

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理由5
いざとなればいつでも現金化して引き出せる!
若年層には「iDeCo」より使い勝手がいい

 「つみたてNISA」は、長期的な資産形成のための仕組みです。投資は長く続けるほど、利益が利益を生んで雪だるま式に増える「複利効果」が働いて、効率的に資産を増やすことができます。一度始めたら、一時的な相場の下落に左右されてすぐにやめたりせず、積立を続けていくことがとても重要です。冒頭で説明したように、まずは生活費の4カ月分を貯めてから投資を始めるというのも、一つには「お金が足りなくて積立を続けられない!」といった事態を避けるためです。

 とはいえ、急に想定外のお金が必要になることもあるでしょう。そんなときに「つみたてNISA」であれば、積み立てた資産をいつでも好きなときに必要な分だけ売却して、口座からお金を引き出すことが可能です。一方、「つみたてNISA」と比較されることの多い「iDeCo(個人型確定拠出年金)」の場合は、「老後資金づくり」が目的のため、60歳より前にはお金を一切引き出すことができません。

 この先、何にお金が必要になるかわからず、あまり資産も多くない若年層のうちは、資産運用の際にいつでも現金化できるという「流動性」の確保にこだわるべきです。「iDeCo」の口座にはお金があるのに、引き出せずに高い金利のローンを利用する、というようなことになってしまっては本末転倒です。

 「でも、『iDeCo』は掛金が全額所得控除になるという税制メリットがあるからお得だ」と考える方もいるでしょう。しかし、20代のうちは給与所得水準が高くないので、所得控除によるメリットはさほど大きくありません。「所得控除があって得だからiDeCoを選ぶ」という考え方はおすすめできません。「iDeCo」を否定するつもりはもちろんありませんが、ライフプランが定まっていない20代や30代のうちは、「iDeCo」よりも「つみたてNISA」のほうが使い勝手はいいと私は考えます。

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20代・30代には海外株式に投資する投信がおすすめ!
リスクを取って大きなリターンを狙うべき

 ここまでは20代から30代にかけての若年層に「つみたてNISA」が向いている理由を説明してきましたが、次にどんな商品を選べばいいのかを考えてみましょう。「つみたてNISA」で買えるのは、株式に投資する投資信託(およびETF)か、株式や債券などを組み合わせた「バランス型」の投資信託です。若年層の人であれば、「株式100%」の投資信託、それも、海外に投資するものがいいと思います。海外株は、日本株より高い成長が見込めるためです。

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 株や債券に分散投資する「バランス型」がダメというわけではありません。しかし、20代・30代はリスク許容度(どこまでリスクを取れるかという度合い)が他の年代より高く、しかも一般的には他にあまりリスク資産を持っていないはずです。したがって、リスクが相対的に高めでも、大きなリターンが期待できる「株式100%型」を選ぶべきと考えます。

 また、株式100%の投資信託でも、運用方法の違いによって「インデックス型」と「アクティブ型」がありますが、低コストで内容がわかりやすい「インデックス型」の投資信託がおすすめです。

 「インデックス型」は「日経平均株価」などの指数に連動する運用成果を目指す投資信託です。簡単に言うと、たとえば日本株などの“市場全体”に広く分散投資するということで、運用成績は基本的に「市場平均並み」となります。一方「アクティブ型」は、運用会社が独自に投資する銘柄を選んで組み合わせ、「市場平均を超える」ことを目指す投資信託です。しかし「アクティブ型」の実際の成績はまちまちで、投資初心者には選ぶのが難しい面があります。また、運用コスト(信託報酬)が相対的に高いのも難点です。

 「インデックス型」の投資対象(連動する指数)もいろいろありますが、先述のとおり海外に投資するもの、具体的には、先進国の株価指数である「MSCIコクサイ・インデックス」や「FTSE ディベロップド・オールキャップ・インデックス」などへの連動を目指すタイプのインデックス型投資信託を選ぶといいでしょう。

 これらのなかで信託報酬が低い投資信託としては、「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」「SBI・先進国株式インデックス・ファンド(「EXE-i つみたて先進国株式ファンド」からファンド名変更)」などが挙げられます。

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これからの時代は、若いうちからの投資による資産形成が必須!
早いうちから「つみたてNISA」で“投資に慣れる”のが得策!

 米国などに比べると、日本の個人は資産形成においてこれまでリスクを取ってきませんでした。それが、海外と日本の個人の、金融資産の増え方の差に表れています。今後の日本が、かつてのような高金利になることは考えにくく、預貯金だけで資産を増やすことは期待できません。豊かに暮らしていくためには、ある程度のリスクを取った資産運用が必須になっていくと私は考えます。

 特に、今の20代・30代など若年層は、いずれどこかのタイミングで必ず投資をすることになるのではないでしょうか。そうであれば、できるだけ早いうちから少しずつ投資を始めて、「習うより慣れろ」で上手なやり方を身につけていったほうが得策です。年齢が上がってから、いきなり多額の投資を始めるのはリスクが高すぎるからです。

 実際、若い世代の投信積立の利用が徐々に増えているようです(日経新聞の調査によると、たとえば楽天証券では「つみたてNISA」利用者の57%を20代・30代が占めています)。今回見てきたように、「つみたてNISA」はさまざまな面で“投資のハードル”が低く設定されており、若年層や投資初心者が投資を始めるのに非常に適した制度です。まずは「つみたてNISA」で投資に慣れて、関心ができたら個別株投資に進むのもいいでしょう。この機会にぜひ、「つみたてNISA」を利用した資産形成をスタートしていただきたいと思います。

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(構成:肥後紀子)

深野康彦(ふかの・やすひこ)[ファイナンシャルプランナー]
ファイナンシャルリサーチ代表。AFP、1級ファイナンシャルプランニング技能士。クレジット会社勤務を3年間経て1989年4月に独立系FP会社に入社。1996年1月に独立し、現職。あらゆるマネー商品に精通し、わかりやすい解説に定評がある。主な著書に『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない』『ジュニアNISA入門』(ダイヤモンド社)など多数。