つみたてNISA(積立NISA)おすすめ比較&徹底解説[2019年]
2018年10月30日 深野 康彦

「つみたてNISA」で投資デビューした人が抱きがちな
疑問に回答!「運用商品や金融機関を変更したい!」
「積立投資を中止したい!」などの悩みを一挙解決!

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 2018年1月からスタートした「つみたてNISA(積立型の少額投資非課税制度)」。口座開設数は2018年3月末からの3カ月で36%増え、6月時点ですでに約69万口座と、「iDeCo」加入者の95万人(6月末時点)にも迫りそうな勢いです。また「つみたてNISA」口座開設者の51%を、投資経験のない人が占めています。

 しかし、「つみたてNISAで積立投資を始めてはみたものの、活用方法で迷いや悩みがある」という人も少なくないようです。そこで今回は、「つみたてNISA」を始めた人たちからよく聞く、「こんなはずじゃなかった!」「こんなときどうすればいい?」という不満や疑問を、まとめて解決していきます。

※「つみたてNISA」を始める前の疑問・不安についてはこちら! 
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疑問① 
深く考えずに国内株のインデックス型投資信託を選びましたが
海外株のほうがいい気がしてきました。今から変更すべきでしょうか?

 基本としては、「つみたてNISA」を始める前によく考えて投資信託を選び、最初に選んだ商品で運用を続けていくことをおすすめしたいと思います。

 とはいえ、日本の経済成長率は海外に比べて低いため、国内株式のインデックス型投信と世界株式のインデックス型投信では、期待リターンに年率2%ほどの差があります。長期になればなるほど、その差は運用結果に響いてきますから、現在の国内株式のインデックス型投信に不満に感じているのであれば、早いうちに海外株式のインデックス型投信に乗り換えるというのも悪くない判断だと思います。

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疑問②
インデックス型投信を買ったのですが、もっと信託報酬の低い商品が
ラインナップに追加されました。乗り換えるべきでしょうか?

 これは、信託報酬の差がどの程度あるのかで判断が分かれます。たとえば信託報酬0.2%と0.3%のように、もともと信託報酬が低い商品で0.1ポイント程度の差であれば、わざわざ手間をかけて変更するほどではないかもしれません。

 そもそも「つみたてNISA」は制度上、長期投資に適した低コストの投資信託のみが対象商品になっています。しかしそれでも、信託報酬の差によっては、運用成績に無視できない違いが生じます。このコスト(信託報酬)がリターンに与える影響は、長期になるほど大きくなります。信託報酬の差がある程度大きい場合は、できるだけ早く乗り換えたほうがいいというのは合理的な考え方です。具体的には、信託報酬の差が0.3ポイントを超えるようであれば、乗り換えを検討してもいいでしょう。

 ただ、今後も「つみたてNISA」の対象商品が増えていくと考えられる中、よりコストの低い商品が出てくるたびに乗り換えを繰り返すというのは、手間がかかりすぎておすすめできません。

 したがって、「つみたてNISA」を始めるときや商品を乗り換えるときは、投資対象(連動する指数)が同じ投資信託の中で、できるだけ信託報酬が低いものを選ぶのが大切です。徹底的にコストを重視したいという人は、「eMAXIS Slim」シリーズあるいはニッセイの「購入・換金手数料なし」シリーズを選ぶといいでしょう。この2シリーズの投資信託は、“最低水準”の信託報酬にこだわっていて、他社でもっと信託報酬の安い商品が出れば同じ水準まで引き下げているからです。

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疑問③
インデックス型の投資信託で積立投資をしていますが、好成績の
アクティブ型投信が気になります。乗り換えてもいいでしょうか?

 積み立てる投資信託を変更するというのも選択肢ではありますが、積立の配分を変える、あるいは追加で積立を行うという方法を考えてみてはどうでしょうか。

 配分を変えるというのは、たとえばこれまで毎月3万円ずつインデックス型投信を積み立てていたのであれば、今後はインデックス型投信2万円+アクティブ型投信1万円のような形にするということです。もちろん、インデックス型投信とアクティブ型投信の割合は自由に決めてかまいません。

 また、毎月の積立金額の上限(約3万3000円)に達していない場合に限られますが、追加で積立投資を行うという方法もあります。つまり、たとえばこれまで毎月2万円のインデックス型投信を積立投資していた場合、それに加えて、新たに毎月1万円でアクティブ型投信を積み立てるということです。

 積み立てる投資信託を完全に変更するのが悪いとは言いませんが、短期間でコロコロ商品を変えるのはおすすめできません。また、一般的にアクティブ型投資信託はインデックス型投資信託に比べて運用成績の“ブレ”が大きいため、アクティブ型を買う場合でも、インデックス型で“ベース”を作っておくことをおすすめします。 

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疑問④
なじみの銀行で「つみたてNISA」の口座を開いたけれど、運用商品が
少なすぎる! 選択肢が豊富なネット証券に乗り換えたいのですが……

 「つみたてNISA」の制度上は、1年に一度、金融機関の変更が可能です。ただし、金融機関の変更は、結構な手間と時間がかかります。変更しようとする前年の10月1日から当年の9月末までに、変更元と変更先の双方の金融機関に所定の書類を提出して、手続きを完了する必要がありますが、新しい口座で積立投資が可能になるのは手続き開始から1~2カ月後となります。また、つみたてNISAで一度でも取引(投資信託等の売買等)を行っている場合、その年内の変更はできません。

 その手間と、いったん積立投資が途切れてしまうことを考えると、わざわざ金融機関まで変更しなくてもいいのではないか、というのが“基本の回答”です。しかし、疑問①や疑問②のように投資信託を買い換えたい場合に、「その商品を扱っていなくて不満だ」という理由なら、金融機関を乗り換えるのも手だと思います。

 なお、金融機関を変更した場合、元の金融機関の「つみたてNISA」口座で積み立てていた資産を新しい口座に移行することはできませんが、すでに積み立てていた分については、そのまま元の金融機関の口座で最長20年間、非課税で保有を続けられます。

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疑問⑤
「つみたてNISA」を始めましたが、やはり個別株が買いたい!
1年で従来の「NISA」に切り替えてもいいものでしょうか?

 結論から先に言えば、切り替えるのは“あり”です。ただしよく考えて判断しましょう。

 制度上は1年に一度、「つみたてNISA」から従来の「NISA」に、あるいは「NISA」から「つみたてNISA」に切り替えることが可能です。極端なことを言えば、1年ごとに「つみたてNISA」と「NISA」を切り替えることもできます(頻繁に切り替えていては、「つみたてNISA」のメリットである長期の時間分散投資ができなくなるので、おすすめはしません)。

「つみたてNISA」から従来の「NISA」に変更しても、「つみたてNISA」で積み立てた資産についてはそのまま非課税で最長20年間保有し続けることが可能です。逆に、従来の「NISA」から「つみたてNISA」に変更した場合も、「NISA」で購入した資産は最長5年間、非課税で保有できます。

 「つみたてNISA」で買えるのは、金融庁が定める条件を満たした投資信託とETFだけですから、個別株を買いたいとなったら、従来の「NISA」に切り替えるのは選択肢としてありでしょう。

 ただし、従来の「NISA」は法律が改正されない限り2023年で制度が終了します。制度終了後も5年の非課税期間は有効ですが、新規に投資できるのは2023年いっぱいまで、また運用期間を延長する「ロールオーバー」が使えるのは2018年の投資分までとなります。たとえば2019年に買い付けた商品は2023年まで非課税で運用できますが、現在の株価が高値圏であることを考えると、今後5年で利益を上げられない可能性もあります。 そうしたことも考慮に入れたうえで、慎重に決めたほうがいいでしょう。

 なお、「つみたてNISA」から従来の「NISA」に、あるいは「NISA」から「つみたてNISA」に切り替えるには、変更しようとする前年の10月1日から当年の9月末までに手続きを完了する必要があります。また、「つみたてNISA」あるいは「NISA」で一度でも取引を行っている場合、その年内の変更はできません。

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疑問⑥
毎月3万3000円ずつ積み立てていますが、正直家計が苦しいです。
「つみたてNISA」をやめたほうがよいでしょうか。

 「そのまま続ける」と「完全にやめてしまう」という選択肢のほかに、「積立額を減額して続ける」という方法もあります。「つみたてNISA」の積立枠が毎月約3万3000円というのは、あくまで“上限”です。現在、上限いっぱいまで積み立てているなら、減額して続けることをまずは考えてみるといいでしょう。

 ただし、「つみたてNISA」を続けるために、他から資金を用立てるようなことは絶対にしないでください。低金利が続いていますが、借入金利は下がっていません。「つみたてNISA」のためにお金を借りるのは本末転倒です。

 住宅ローンの返済や子供の教育費などがかさんで厳しい場合には、まず積立額を減額して、それでも大変なら「つみたてNISA」をいったん中断し、いずれ状況が好転したら、積立を復活させることを考えましょう。もっとも、積立をやめたり、再開したりを繰り返すのはできるだけ避けましょう。できる範囲で、地道に積立投資を続けることが大切です。

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疑問⑦
今後の世界経済が不安です。運用成績がプラスの今のうちに
「つみたてNISA」の利益確定をしたほうがいいでしょうか?

 「つみたてNISA」の運用が非常にうまくいって、想定以上に利益が出ているという場合は、売却して利益を確定しても問題ありません。その場合は、全額を一度に売却するのではなく、半分あるいは3分の1ずつなど何回かに分けるのがおすすめです。

 しかし、「つみたてNISA」は今年スタートしたばかりですから、今すぐ利益確定のことを考えるのは間違いです。たとえば2倍、3倍になるなど、よほど儲かったときは別として、始めてから10年くらいの間は、売却は考えずにコツコツと積立投資を続けましょう

 また、含み損になっているときにあわてて売却するのも禁物です。相場が悪いときにも積立投資を続けていけば、その後の上昇でしっかりリカバリーできるからです。最近は世界的にマーケットが不安定ですが、「つみたてNISA」では短期的な相場状況は気にする必要はまったくありません

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疑問⑧
「つみたてNISA」を始めてから何も見直しをしていませんが、
“ほったらかし”のままでいいのでしょうか?

 「つみたてNISA」の制度がスタートして、まだ1年たっていません。当然ながら、利用者の方も今はまだ積立投資を始めたばかりという段階です。何か特別な問題が起きない限り、当分は見直しやメンテナンスは必要ありません念のため年に一度、運用状況を確認するくらいで大丈夫です。あとは積み立てていることを忘れるくらい淡々と、積立投資を続けていきましょう。

 10年以上経過したら、リスクを取り過ぎてはいないか、一度確認してみることをおすすめします。その際には、「つみたてNISA」だけでなく現預金や課税口座のリスク資産など、資産全体の状況を見ることが重要です。

 たとえば、株式100%のインデックス型投信を毎月3万円、10年間にわたって積み立てれば元本だけで360万円になりますが、保有する現預金も同様に増えていれば、リスクの取り過ぎとは言えないでしょう。一方、「つみたてNISA」以外に課税口座でも積極的に投資していれば、資産全体に占めるリスク資産の割合がかなり高くなっている可能性もあります。

 そして、もしもリスク過多ということになれば、「つみたてNISA」と課税口座いずれかの資産を一部売却する、「つみたてNISA」の運用商品を株式100%の投資信託からバランス型の投資信託に変更するといった方法で、資産配分の見直しを行いましょう。

 ただ、繰り返しになりますが今はまだ始めたばかりですから、すぐに見直しをする必要はありません。

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「つみたてNISA」は“あわてずじっくり”でOK!
最も重要なのは積立投資を“続ける”こと 

 以上、「つみたてNISA」を始めた人が抱えがちな疑問に答えてきましたが、「つみたてNISA」はスタートしたばかりの制度なので、始めた後に気になることも多いかもしれません。また、投資初心者の場合は、どう判断したらいいのか迷うことも少なくないと思います。

 ここまで読んでいただいてわかるとおり、投資する商品や金融機関にどうしても不満があれば、変更することは可能です。ただし、「つみたてNISA」は投資初心者でも失敗しにくい仕組みになっていますし、長期投資が基本ですから、あわてる必要はありません。じっくり考えて、納得のいく選択をしてください。そして、とにかく“積立投資を続ける”のが最も重要だということを、意識していただきたいと思います。

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(構成:肥後紀子)

深野康彦(ふかの・やすひこ)[ファイナンシャルプランナー]
ファイナンシャルリサーチ代表。AFP、1級ファイナンシャルプランニング技能士。クレジット会社勤務を3年間経て1989年4月に独立系FP会社に入社。1996年1月に独立し、現職。あらゆるマネー商品に精通し、わかりやすい解説に定評がある。主な著書に『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない』『ジュニアNISA入門』(ダイヤモンド社)など多数。