「夢の配当金生活」実現メソッド
【第16回】 2018年12月28日 ザイ・オンライン編集部

インフラファンドが抱える「出力制御」「自然災害」
「売電価格の低下」という“3つのリスク”を解説!
投資対象としてのインフラファンドに未来はあるか?

 こんにちは、個人投資家の立川です。

 前回は、投資した銘柄にネガティブなニュースが流れたらどうするか、というテーマで、増配株投資の場合はネガティブなニュースが出ても致命傷になりにくく、しかも分散投資をすることで1つの銘柄で失敗しても、ほかの銘柄が損失を十分にカバーしてくれる、という記事を書かせていただきました。
【※第16回の連載記事はこちら!】
株式投資に「損切り」は必要なのか? 悪材料が出た場合の「損切り」の必要性や増配の継続性を判断する方法など、ネガティブなニュースへの対処法を検証!

 さて今回は、今年5月(第11回)に当連載で紹介した「インフラファンド」の話題です。2018年9月、「インフラファンド」にネガティブなニュースが流れました。私は実際に「インフラファンド」に投資をしているので、まさに前回の記事のような状況になってしまったわけです。
【※第11回の連載記事はこちら!】
インフラファンドのメリット・デメリットを解説!「J-REIT」と比較しても、「インフラファンド」には高利回り+安定度、不況に強いなど、メリット多数!

 「インフラファンド」のネガティブなニュースの内容は、大きく分けて次の3つです。

①冷暖房の需要が少ない時期に「出力制御」が実施されて、予定通りの売電ができなくなる可能性がある
②将来的に売電価格を現在の半分以下に引き下げられて、十分に利益が得られない可能性がある
③従来よりも高い風圧に耐えられるように太陽光パネルの設置基準が見直されて、設備投資の負担が増える可能性がある

 これらの内容が事実なら「インフラファンド」のホルダーにとっては大問題です。ということで、今回はこの3つの問題について考えてみたいと思います。

太陽光発電の「出力制御」とはいったい何?
「インフラファンド」の収益にどれほど影響があるのか?

 まずは、①の「冷暖房の需要が少ない時期に『出力制御』が実施されて、予定通りの売電ができなくなる可能性がある」についてです。

「出力制御」とは、資源エネルギー庁のサイトによると「電力の需給バランスを保ち、広域で停電が起こることを回避するため、発電量が需要量を上回ってしまう場合には、発電量を調整」すること。つまり、発電量が需要量を上回ってしまう場合、「インフラファンド」が運営する太陽光発電の施設で出力を抑えるように要請され、売電ができなくなる可能性があるのです。

 「電気」ではなく「水」で考えるとわかりやすいのですが、皆さんが住んでいる地域が水資源の豊富な地域だったとしましょう。水が豊富だからと、家庭に届く水の圧力が必要以上に高かったらどうなるでしょうか。蛇口をひねった途端に勢いよく水が出てきて水浸しになったり、老朽化した水道管が破裂したりと、とても危険なことになります。

 電気の場合はさらに複雑で、需要量より供給量が多くなると周波数(東日本50Hz、西日本60Hz)が上昇して悪影響が生じるほか、大規模停電の発生が起こり得るそうです。そのため、各電力会社は火力や水力発電所の出力量を調整してバランスを取り、安定した電気の供給に努めています。

カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人の「CS益城町発電所」カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人のポートフォリオの中でパネル出力が最大の熊本県「CS益城町発電所」(カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人HPより)
拡大画像表示

 現在、九州電力では全体の需要量のうち、太陽光発電の比率が最大で8割になるくらい、太陽光発電の比率が高くなっています。そのため、冷暖房の需要が少ない割に日照量は確保できる秋になると、ピーク時の発電量が需要をはるかに上回り、火力や水力発電所の発電量を調整しただけでは間に合わず、太陽光発電の「出力制御」が行われる可能性が出てきたのです。現在、上場している「インフラファンド」は5社ありますが、中でもカナディアン・ソーラー・インフラ投資法人」は九州電力管内の太陽光発電施設の比率が全体の85.9%と高いことから、「出力制御」が実施されれば、その影響は小さくないと言われています。以下の数字は、各「インフラファンド」の総出力ワット数に対する九州電力管内の出力ワット数の比率を表したものです。

カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人85.90%
日本再生可能エネルギーインフラ投資法人7.80%
いちごグリーンインフラ投資法人4.90%
タカラレーベン・インフラ投資法人2.89%
東京インフラ・エネルギー投資法人0.00%

 太陽光発電の場合、「出力制御」が実施されると「売電」ができなくなりますが、1年のうち決まった期間は「出力生制御」されても無補償となる30日ルールや360時間ルールなどがあります。仮に、無補償の「出力制御」が全発電施設で1日だけ実施されたとすると年間の売電量は365分の1が減少しますし、1時間だけ実施されたとすると年間の売電量は約3000分の1が減少すると考えられます(1日の日照時間を8~9時間程度とすると、2920~3285時間なので、ざっくり1時間だけ「出力制御」されたとすると、この程度でしょう)。もちろん、実際には日照量は季節によっても変わり、発電量も異なるはずですが、「出力制御」が実施されるのは日照量がそこそこあって、冷暖房の需要が少なくなる春または秋の可能性が高いと思われるので、年間の平均的な発電量と考えて上記の数値としました。

 この数字をもとに、実際の「出力制御」の規模はわからないものの、九州電力管内で「2時間程度の制御が30日間実施された」と仮定した場合、全体の売電量にどの程度の影響を及ぼすのかを試算してみました。なお、「東京インフラ・エネルギー投資法人」は九州電力管内の比率が0%なので省略しています。

カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人
 85.90%×(1/3000)×2時間×30日間≒1.718%
日本再生可能エネルギーインフラ投資法人
 7.80%×(1/3000)×2時間×30日間≒0.156%
いちごグリーンインフラ投資法人
 4.90%×(1/3000)×2時間×30日間≒0.098%
タカラレーベン・インフラ投資法人
 2.89%×(1/3000)×2時間×30日間≒0.0578%

 「2時間程度の制御が30日間実施された」場合、もっとも影響が大きい「カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人」でも、その影響は2%を下回っています。ほかの「インフラファンド」は1%以下なので、ほぼ心配いらないレベルでしょう。ちなみに、「カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人」は、前期実績で発電量が予想を約3%上回っており、「出力制御」の影響を吸収できてしまうレベルです。

 「インフラファンド」は、基本的に売電量に関わらずに賃料を受け取る仕組みになっており、直近の売電量の減少がダイレクトに営業収益に影響しないようになっていますので、それほど大きな影響はなさそうです……と、のんびりと分析していると、実際に2018年10月13日と14日の9時~16時に、九州電力で7時間×2日間の出力制御が実施されました。そして10月15日、「インフラファンド」各社から一斉に「出力制御」によってどの程度の影響が出たのかが発表されました。

カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人
 10月14日の9~16時に「S-08_CS日出町発電所」が「出力制御」の対象となって稼働停止。「『S-08_CS日出町発電所』の今期の投資法人全体の予想賃料に対する遺失賃料収入の比率」は0.01%、「遺失変動賃料」は約8万3000円
日本再生可能エネルギーインフラ投資法人
 10月14日の8時51分~16時10分、「大分県宇佐市2号太陽光発電所」が「出力制御」の対象となって稼働停止。ただし、基本賃料は固定賃料のため、運用状況(分配金)の予想への影響なし
いちごグリーンインフラ投資法人
 10月14日に「いちご都城安久町ECO発電所(宮崎県)」が「出力制御」の対象となるも、分配金予想に与える影響なし
タカラレーベン・インフラ投資法人
 「出力制御」の実施対象とはならず、影響なし

 さらに、このあと10月20~21日に「出力制御(第二次)」、11月3~4日に「出力制御(第三次)」、11月10~11日に「出力制御(第四次)」が実施されましたが、もっとも影響が大きかった「カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人」の第四次までの「出力制御」の影響は、合計で「今期の投資法人全体の予想賃料に対する遺失賃料収入の比率」が0.2%、遺失変動賃料は383万3000円となっています。しかし、「カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人」の2017年12月~2018年11月までの直近1年間の合計の発電電力量は、4回の「出力制御」があったにもかかわらず、予想発電電力量と比較しても102.54%と上ブレしています。

 2018年10~11月の「出力制御」の結果を見る限りでは、九州電力管内で「出力制御」が実施されたとしても「インフラファンド」が九州に保有する発電設備のすべてが稼働停止になることはありませんでした。したがって、今後、同様の規模の「出力制御」が発生しても過剰に心配する必要はなさそうです。「出力制御」のニュースが流れて、「インフラファンド」の投資口価格が下がれば、逆に投資のチャンスということになるかもしれません。

「インフラファンド」が新規導入する発電施設の売電価格は
確実に下がるものの、逆にライバルが減ってチャンスになる!?

 ここまで解説してきたとおり、①の「冷暖房の需要が少ない時期に『出力制御』が実施されて、予定通りの売電ができなくなる可能性がある」というのは、それほど心配することはなさそうです。

 では、②の「将来的に売電価格を現在の半分以下に引き下げられて、十分に利益が得られない可能性がある」というのはどうでしょうか?

 まず、既存の設備に関しては、期間の終了まで売電価格が下がることはないので、影響はないはずです。しかし、固定価格で売電できる期間が終了したら売電価格は確実に下がります。また、「インフラファンド」が成長するためには増資と、新規設備を導入し続けて規模を拡大していく必要がありますが、これから導入する新規設備に関しては確実に今よりも低い売電価格となります

 しかしながら、「インフラファンド」の場合は「電気がいくらで売れるか」ではなく、「投資金額に対しどれだけの利回りが得られるか」のほうが重要です。つまり、買取価格が40円なのか、8円なのかが問題ではなく、投資金額に対して何%の利回りを得られるのかに注目すべきなのです。今後の新規設備は、買取価格の低下に見合ったコストダウンが確実に進めば利回りは確保されるので、「インフラファンド」が投資先に困ることはありません。

 ただし、同じ売電額を確保するためには、仮に先ほどの例のように買取価格が5分の1(40円⇒8円)に下がった場合、今の5倍の発電量が必要になります。もし仮に、パネルの能力が2倍に上がったとしても、同じ発電量を確保するためにはパネル面積が今の2.5倍の広さが必要になりますから、メンテナンス費用も考慮すると、残念ながら高い利回りを確保できる物件が減少していくことは間違いないでしょう。

 しかし、そうなると個人や一般の企業が軽々しく太陽光発電に手を出すことは難しくなるので、逆に「インフラファンド」並みの規模でないと高利回り案件が確保できなくなるかもしれません。となると、売電価格の低下によって「インフラファンド」のライバルが減少する可能性もあるほか、安易なパネルの設置も少なくなり、景観の悪化や環境への負荷も低減も期待できそうです。

「インフラファンド」は台風や地震などの自然災害のリスクと、
自然災害のリスクへの対策による負担増で儲からなくなる!?

 最後に③の「従来よりも高い風圧に耐えられるように太陽光パネルの設置基準が見直されて、設備投資の負担が増える可能性がある」について考えてみましょう。

 日本で太陽光発電施設をつくる場合、地震や台風などの自然災害の影響は無視できません。実際、2018年には10月末時点で全国44か所の太陽光発電施設が被災したそうで、残念なことに周囲の民家等に被害が及ぶなど、2次災害を起こしたケースもあるそうです。また、太陽光発電施設に直接的な損傷を与えなくても、台風などの自然現象で発電量が低下することも十分にあり得ます。

 とはいえ、台風や地震で発電量に多少の影響があった太陽光発電施設はあるものの、その設備に大きな打撃を受けた「インフラファンド」はなく、当面は予想通りの発電が可能なようです。また、「インフラファンド」では発電施設を日本全国に分散して保有しており、自然災害に対するリスク軽減を図っています。そういう意味では、特定の地域に多くの発電施設が集中している「インフラファンド」は、投資家側からするとリスキーに見えます。

 しかし、発電施設を特定の地域に集中させることによって、全国に分散しているよりも管理コストを低減できるメリットがあります。そこで、九州に多くの発電設備を保有する「カナディアンソーラー・インフラ投資法人」と、東北に多くの発電設備を保有する「東京エネルギー・インフラ投資法人」を購入することで、利回りを確保しつつ、発電施設の地域分散を図るといった投資もよいかもしれません。

 また、「日本再生可能エネルギーインフラ投資法人」などは、万一、予想通りの売電ができなくなったとしても、2年程度の賃料が確保できるような積立を実施していますし、「東京インフラ・エネルギー投資法人」は「費用・利益保険(日射量保険)」に加入することによって、最低保証賃料を保険金で確保する仕組みになっています。

 しかし、現状では既設の発電施設に大きな設備投資が必要になる「インフラファンド」はなさそうですし、今後「より厳格化された設置基準を満たした上で十分な利回りを確保できる発電施設」を取得していけば、「インフラファンド」への投資は問題がなさそうです。

「インフラファンド」に限らず、大切なお金を投資する際は
自分が納得できて、不安を感じない投資対象を選ぼう!

 今回は「インフラファンド」に投資する際に目先の懸念材料となる「①出力制御のリスク」のほか、「②売電価格が低下するリスク」「③自然災害や災害対策によるリスク」という3つの問題をどのように考えるべきかを取り上げました。

 現状では、以前の記事(※第11回「インフラファンドのメリット・デメリットを解説!『J-REIT』と比較しても、『インフラファンド』には高利回り+安定度、不況に強いなど、メリット多数!)で紹介したとおり、「インフラファンド」にはインフレや金利上昇ほうが影響が大きいと言えそうです。また、二重課税を回避する仕組みである「税務上の導管性」が現状では期間限定で導入されていますが、「J-REIT(Jリート)」同様に恒久的な導入が実施されるかどうかも大きな課題の一つでしょう。

 「インフラファンド」に限らず、個別株や投資信託はそれぞれ固有のリスクを抱えています。まして「インフラファンド」は上場して間もないため、まだ誰も知り得ないリスクもあるはずです。したがって、リスクが隠れていることを前提に、分散投資の一環としてポートフォリオに組み入れることが大切でしょう。自分が納得できない、不安を感じるような投資対象に投資して「大丈夫かな?」と思いながら日々を過ごすのは投資としては失敗です。私は自分が納得できる投資対象に、枕を高くして眠ることができる金額だけ、大切なお金を投じることにしています。

 それでは、今回のポイントをまとめてみましょう。
【ポイント①】
実際に「出力制御」が行われても、今のところ「インフラファンド」への影響は軽微
【ポイント②】
今後、新規設備の売電価格が低下するのは間違いないが、「インフラファンド」が利回りを確保できる発電設備に投資をしていけば問題はない
【ポイント③】
発電施設の地域分散により「インフラファンド」は自然災害のリスクの軽減を図っている。また、投資家は銘柄選択時に地域分散を考慮すれば自然災害のリスクはさらに軽減できる
【ポイント④】
「インフラファンド」に限らず、個別株でも投資信託でも、その投資対象が抱える「固有のリスク」を理解したうえで大切なお金を投資をしよう!

 さて次回ですが、2018年末は「リーマンショックの再来か」と噂されるほど株価が下げました。そこで、増配株投資を心がける投資家は、個人投資家の多くが恐れる市場暴落時にどのように対処したらよいのかを考えてみたいと思います。
【※連載第17回はこちら!】
個人投資家は「株価暴落」にどう対応すべきなのか?株価の急変に右往左往しないためには「株価の変動を気にしなくていい投資手法=増配株投資」を選ぶこと