「お宝銘柄」発掘術!

「電子コミック(Web漫画)」関連銘柄を解説! 人気の漫画アプリ“ピッコマ”のIPOで投資家の関心を集める「電子コミック」は、市場拡大が続く有力テーマ株!

2022年8月25日公開(2022年8月25日更新)
村瀬 智一
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漫画アプリ「ピッコマ」を運営するカカオピッコマのIPOが、
成長著しい「電子コミック」市場の刺激材料に!

「ピッコマ」アプリ画面「ピッコマ」アプリ画面

 米Bloombergは8月23日、韓国のメッセージアプリ大手・カカオの日本法人で、漫画アプリ「ピッコマ」を手掛けるカカオピッコマが、2023年上期にもIPO(新規株式公開)する計画があることを複数の関係者の話として報じました。この報道によると、上場先は東京証券取引所で、時価総額は8000億円以上、主幹事の1社は野村ホールディングスとのことです。

 なお、カカオピッコマ(当時はカカオジャパン)は、2021年6月に投資ファンドのアンカーエクイティパートナーズと海外の政府系ファンドに対して第三者割当による新株式を発行し、約600億円の資金調達を行いました。この金額は、2021年の日本国内におけるコンテンツ企業への投資としては最大規模です。

 「ピッコマ」は、「LINEマンガ」と国内シェアトップを争う人気漫画アプリで、漫画アプリサービス市場では、2021年の国内年間セールスで国内、海外ともに1位を獲得しました。実は筆者のスマホにも「ピッコマ」のアプリが入っています。

 世界最大のコミック市場である日本でカカオピッコマが上場することにより、「ピッコマ」自体への関心が高まるとともに、同じような漫画アプリの運営企業など、電子コミック市場に関わる企業への刺激材料になる可能性がありそうです。そこで今回は「電子コミック(Web漫画)」関連銘柄に注目しました。

年々拡大を続ける「電子出版」市場のなかでも、
「電子コミック」はその約90%を占める有力コンテンツ

 出版業界の調査研究機関である全国出版協会・出版科学研究所の発表によると、出版物の推定販売金額は1996年の2兆6564億円(雑誌:1兆5633億円、書籍:1兆931億円)をピークに減少傾向が継続し、2021年には雑誌が5276億円、書籍が6804億円にまで減少しました。一方で、2014年から発表を始めた電子出版は右肩上がりの成長を続け、2014年の1144億円から2021年には4662億円に急増しています。

 電子出版の市場規模の内訳を見ると、電子書籍は2014年の192億円から緩やかに増加し、2021年には449億円の市場規模になりました。一方、電子雑誌は2014年の65億円からは増加したものの、2017年の178億円をピークに2021年には99億円に減少。そして、もっとも市場が大きいのが電子コミックで、2014年の887億円から2021年には4114億円まで増加しており、電子出版におけるシェアは約90%に迫っています

 また最近は、電子コミックの作品をアニメ化や映画化、ドラマ化するメディアミックスの動きも目立っています。例えば2022年7月には、「ピッコマ」の看板作品のひとつである「俺だけレベルアップな件」が2023年にアニメ化されることが発表されました。当然、アニメ化によって、改めて漫画アプリで原作の電子コミックを読み直す動きも出てくるでしょう。

 今回「電子コミック」関連の具体的な銘柄としては、漫画アプリを運営する企業や電子書籍の関連事業を手掛ける企業、有力IP(知的財産)を有する企業などのなかから、今期2ケタ増収・2ケタ営業増益を計画し、なおかつ13週移動平均線を上回って推移している銘柄を中心に取り上げました。

【エディア(3935)】
Web小説のコミカライズ作品やオリジナルコミックを配信

 エディア(3935)は、「ゲーム」「音楽」「声優コンテンツ」「キャラクターグッズ」「コミック」「ライトノベル」など、幅広くコンテンツ事業を展開する企業です。異世界ファンタジーやラブコメなどのジャンルで、Web小説のコミカライズ作品やオリジナルコミックを配信しています。株価は2月の安値300円をボトムに、切り上がる13週移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドを形成。目先的には、2021年7月の高値540円が意識されます。

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エディア(3935)チャート/週足・2年エディア(3935)チャート/週足・2年(出典:SBI証券公式サイト)
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【はてな(3930)】
漫画ビューワ「GigaViewer」や小説プラットフォーム「カクヨム」を提供

 はてな(3930)は、ブログサービス「はてなブログ」やインターネットの旬な話題を知れるソーシャルブックマーク「はてなブックマーク」などを手掛けています。個人向けWebサービスの開発で培った技術力やノウハウを法人向けに展開しており、漫画サービスを運営する出版社向けの漫画ビューワ「GigaViewer」や、集英社と共同開発・共同運営する漫画投稿サービス「マンガノ」、KADOKAWAと共同開発した小説投稿・収益還元プラットフォーム「カクヨム」などを手掛けています。株価は2月の安値991円をボトムに、切り上がる13週移動平均線を下値支持線としたリバウンドが継続しており、2021年11月につけた高値1489円が射程に入ってきました。

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はてな(3930)チャート/週足・1年はてな(3930)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
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【Link-U(4446)】
ジャンプ漫画が読める「ゼブラック」など、多くの出版社と事業を展開

 Link-U(4446)は、高性能オリジナルサーバーを中心に低コストで安全なプラットフォームを提供しています。コミック関連の事業としては、小学館のオリジナル漫画を毎日配信する「マンガワン」、ジャンプ連載漫画が読み放題の「ゼブラック」、集英社の人気漫画を英語やスペイン語で全世界に配信する「MANGA Plus」、スクウェア・エニックスの全レーベルが読める「Manga UP!」、「週刊少年サンデー」「ゲッサン」「サンデーGX」の3誌合同のコミック配信サービス「Sunday-Webry」などを提供しています。株価は620円辺りでの底固めから、7月以降はリバウンドを継続しています。まずは4月の高値901円をターゲットとし、そこを突破できれば1月の高値1066円を意識した展開が期待できます。

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Link-U(4446)チャート/週足・1年Link-U(4446)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
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【デジタルプラス(3691)】
漫画情報特化型のWebメディア「漫画大陸」を運営

 デジタルプラス(3691)は2022年4月にリアルワールドから商号変更した企業で、フィンテックとメディアの2つのセグメントで事業を展開。メディア事業では、漫画の最新刊情報から無料漫画サイトまで、漫画に関する幅広い情報を届けるWebメディア「漫画大陸」を運営しています。株価は、8月22日に企業ノベルティのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進や企業のファンマーケティングを支援する「NFTデジタルギフト」の提供を開始すると発表したことから急伸する動きを見せており、1月の高値1493円を意識したトレンド形成が期待されます。

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デジタルプラス(3691)チャート/週足・1年デジタルプラス(3691)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
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【KADOKAWA(9468)】
多彩なIP(知的財産)を活用してグローバル・メディアミックスを推進

 KADOKAWA(9468)は、総合エンターテインメント企業として、出版、映像、ゲーム、Webサービス、教育などのジャンルで事業を展開。多彩なIP(知的財産)を創出し、それをさまざまな形で世界中に展開する「グローバル・メディアミックス」の推進を基本戦略としています。株価は、2021年11月の高値3480円をピークに2022年2月には2026円まで下落。しかし、長期的な上昇トレンドは継続しているため、13週・52週移動平均線辺りでの押し目買いがおすすめです。

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【パピレス(3641)】
電子書籍のレンタルサイト「Renta!」を運営

 パピレス(3641)は、電子書籍レンタルサイト「Renta!」などを運営する企業です。また、自社やグループ会社のレーベルから、少年、少女、青年、ヤングレディースなど幅広いジャンルの漫画や小説をリリースしています。株価は、6月と7月それぞれの安値で二点底を形成後、リバウンドの動きを強めています。このまま52週移動平均線をクリアしてくるようだと、上昇の勢いが一段と強まりそうです。

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 以上、今回は「電子コミック(Web漫画)」の関連銘柄を発掘しました。

 コロナ禍による巣ごもり需要でコミック市場が急拡大した面はあるものの、それらの顧客はすでに定着しており、一過性のブームでは終わりそうにありません。今後、新たな顧客層が増えていくことが期待できるコミック市場には、まだまだ成長余地が残っていると思われます。

 なお、公開日は未定ですが、映画化が決定した主なコミック作品としては「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」「ゴールデンカムイ」「ブラッククローバー」「僕のヒーローアカデミア」「ワンパンマン」などが挙げられます。こうした映画が公開されるタイミングでコミック関連銘柄が注目を浴びる可能性もあるので、早めに銘柄をチェックしてチャンスに備えておきましょう。
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