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米国の株式市場は、FOMC議事要旨の「ハト派的」な内容や
FRB高官の「タカ派的」な発言に振り回される相場が継続
FRBは11月23日、11月1~2日に開催したFOMCの議事要旨を公表しました。それによると、多くの委員が「FF金利(フェデラル・ファンド・レート)の誘導目標の上昇ペースを遅くすることがすぐに適切になる可能性が高い」と指摘したとのことです。つまり、過去4回の利上げ幅は0.75%でしたが、今後これを引き下げる可能性が出てきたことを意味します。また、一部の委員は、これまでの金融政策の引き締めによって「インフレ率を2%上昇の物価目標に戻すために必要な限度」を超えてしまうリスクが高まっている」と指摘しています。
市場では、今回の議事要旨をハト派的ととらえ、次回の12月13日と14日のFOMCで、これまでの4会合連続で行われた0.75ポイントの大幅利上げから、利上げ幅を0.5%に縮小するとの観測が高まりました。観測通りなら、FF金利の誘導目標は現在の3.75-4.00%から4.25-4.50%になる見通しです。
ただし、FRBは、利上げペースを減速させたとしても、ターミナルレート(利上げの最終到達点)を引き上げたり、利下げに踏み切るまでの時間を長引かせたりすることで、楽観に傾きがちな市場を牽制する見通しです。なぜならば、議事要旨によると、インフレ圧力の大幅後退に関する具体的な兆候が見られるまで利上げペースを減速させるべきではないとする委員も複数いました。また、ターミナルレートについては「不確実性がある」とし、多くの委員が今後の経済指標に依存すると指摘しているからです。
よって、今後も米国の金融市場は、発表される物価指標や雇用統計などの内容に一喜一憂し、右往左往することになるでしょう。
実際、11月28日にセントルイス連銀のブラード総裁は「FRBがインフレ抑制のために2023年、一段と積極的に利上げを行う必要が生じる可能性を、金融市場が過小評価している」と指摘しました。また、同日、NY連銀のウィリアムズ総裁は「当面は制約的な政策を続ける必要がある。少なくとも2023年を通してこうした政策を維持しなくてはならない」「FRBは、おそらく2024年に利下げに着手する」と語っています。
これらのタカ派的なFRB高官の発言を嫌気する形で、11月28日のNYダウは4日ぶりに反落し、前週末比497.57ドル(1.45%)安の33849.46ドルまで下落しました。また、ナスダック総合株価指数は続落し、同176.86ポイント(1.58%)安の1万1049.50ポイントとなりました。
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金融引き締めの早期終了を見込んで米国の株式相場が上昇するほど、
FRB高官による楽観論への「牽制発言」に対する警戒が必要
思い起こせば11月10日、10月の米国のCPIが市場予想を下回ったことを背景に、株価の急騰、債券価格の急騰(急速な金利低下)、急激なドル安が発生する「逆CPIショック」が発生しましたが、その後、FRB高官の相次ぐタカ派的な発言を受け、金融引き締めが早期に終了するという市場の楽観見通しは大幅に後退し、株価の上昇も一服しました。
今後も、FRB高官による牽制発言で株式が調整することはたびたび発生することでしょう。だからこそ、米国の株式相場が上がれば上がるほど、彼らからの牽制発言を警戒しておく必要があるのです。
とにかく、現在は、FRBが強烈な金融引き締めを断行し、自国の景気を全力で人為的に悪化させようとしている「異常事態」なのです。11月23日発表の議事要旨が多少ハト派的だっただけで「Don't fight the Fed」の精神を忘れてはなりません。少なくとも利上げ停止が議論されるステージになるまでは「FRBはタカ派」という認識でよいと思います。
その一方で、利上げペースの鈍化がコンセンサスになってきていることは素直に喜んでいいでしょう。そのため、米国の株式市場では「ベアマーケットラリー(下落相場における一時的な上昇局面)」が継続していると見ています。当然、日本株も連れ高する見通しです。
米国では数多くの経済指標の発表やFRB高官の発言を控えているが、
長期金利が上昇に転じない限り、ベアアーケットラリーが継続
今週は、週末の12月2日に発表される11月の米・雇用統計だけでなく、11月の米・消費者信頼感指数、11月の米・PMI、1月の米・ISM製造業景況感指数など、米国の主要な経済指標の発表が相次ぎます。また、パウエルFRB議長、クックFRB理事、バーFRB副議長の講演など、FRB高官の発言機会が多数予定されています。
米国の金融市場は、これらのマクロ指標やFRB高官の発言に敏感に反応する見通しです。しかしながら、米国の長期金利が上昇基調に転じない限り、米国の株式市場は堅調を維持することでしょう。
ちなみに、11月28日の米国10年債利回りは、前週末比で0.01%低い3.68%でした。これが4%を超えるような状況にならない限り、米国株の「ベアマーケットラリー」は続くというのがメインシナリオです。
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日経平均株価は2万9222円を目指した「ジリ高」の見通し!
マザーズ指数も25日移動平均線を割り込むまでは堅調に推移
日経平均株価については、8月17日の2万9222.77円を目指した「ジリ高(上げ下げを繰り返しながら、下値・上値ともにジリジリと切り上げていく相場)」を想定しています。
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米国の長期金利が低下傾向を維持するなら、米国の株式市場では半導体関連銘柄など高PERのグロース株が物色の中心となり、その結果、ハイテク比率の高いナスダック総合株価指数が強い動きを続ける見通しです。その影響で、日本でも東証マザーズ指数や東証グロース市場指数が強い値動きを続けることになると考えています。
実際、11月28日の東証マザーズ指数は続伸し、終値は4月6日以来、約8カ月ぶりに800ポイント台を回復。さらに29日も続伸し、前日比2.09ポイント(0.26%)高い803.32ポイントとなりました。5日移動平均線(29日現在796.14ポイント)、25日移動平均線(同762.29ポイント)、75日移動平均線(同738.95ポイント)、100日移動平均線(同728.49ポイント円)、200日移動平均線(同716.22ポイント)のすべてを上回っており、短期・中期・長期のすべてのスパンでのチャートが良好です。
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今後に関しては、東証マザーズ指数が25日移動平均線を割り込み、かつ25日移動平均線が下向きに転換するまで、堅調に推移する見通しです。
ただし、12月は例年通りIPOラッシュとなり、現時点で26社のIPOが予定されています。今後「12月IPO」の購入資金を捻出するための“換金売り”が加速すると思われます。
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また、個人投資家からの“節税売り(その年の課税所得を減らすため、含み損のある銘柄を売却すること)”も加速することでしょう。このため、12月相場では「強い銘柄」と「弱い銘柄」の2極化が鮮明になると見ています。
気分よく年末年始を過ごすために、あなたが今やるべきことは一つです。それは、ご自身のポートフォリオを見直し、弱い銘柄を損切り、強い銘柄だけにしておくことです。ポートフォリオの大掃除は年末では遅いのです。やるのは「今」です。思い切った「銘柄入れ替え」の実行をおすすめします。
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